みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

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サタン様からのお願いは代理戦争介入!

南の大陸の大戦 新たな四魔将軍

「旅行……ですか?」

「そう!」

 リッカの無茶苦茶な話に困惑気味のお姫様。
 
「なぜ、人間を滅ぼす手伝いをしているんですか?」

「ん? ルーシェが好きだからだよ?」

「ああ……あなたはどうですか?」

 ヘレはフェリに視線を変えて質問した。

「私もルーシェが好きだからです」

「うーん……では、あなたは?」

 釈然としない様子だが、ヘレは見た目に恐れることなくクザンにも果敢に質問していく。

「俺か? 俺は……おまえさんと一緒で救ってもらったからだ……こいつらもそうだが、俺たちはエルフだ……そう言えばわかるか?」

 ヘレは目を見開いて三人を見つめ、言葉に詰まり二の句がつげないでいる。

「俺は同族殺しを強制させられてた……人間にな」

「私たちは大勢の男たちの慰み者だったの……人間のね」

 またしてもヘレは涙ぐんでいる。
 しかし、ヘレは負けずに言葉を紡いだ。

「あの……でしたら……私もその旅に参加させていただけないでしょうか?」

 ……なぜだ!?
 全然わからなかった……僕が一生懸命説得してもダメだったのに……こんなにもあっさりと……お涙頂戴の話に心が動いたとでもいうのだろうか?

「どうする、ルーシェ?」

「……人間に殺されるかもしれないぞ。それでもいいのか?」

 ヘレは涙ぐむ目でしっかりとこちらを見据えていた。

「わかっています……でも、虫のいい話だとは思いましたが……思いを分かち合える方たちと、一緒にいたいと思いました。死んだように暮らす日々はもう嫌なのです」

 なるほど……そういうことか。

「ヘレの親族も分け隔てなく殺すが……」

「……構いません」

「……わかった」

 なぜそこまで簡単に決意できたかはわからない。だが、わからないなら口を出すまでもないだろう。決意さえあれば十分だ。

 ……それでは始めるとしよう……戦争を。
 人間対魔王軍……いかにもファンタジーらしい構図じゃないか……クソ共をようやく葬れる。

 足りないんだ……全然。
 今聞こえている悲鳴なんか、全然足りない。

 だから、出し惜しみはするまい……

「……四魔将軍を呼ぶ」

「えっ!?」

「四魔将軍?」

 驚きを隠せないリッカ。
 存在を知らないヘレは不思議がっていた。

「ああ、今回のも凄いぞ!」

「アレより凄いものなんてあるのかよ……」

 呆れたようにクザンが苦言を呈する。

「いやいや……いっぱいあるだろう! 僕が四体に絞るためにどれだけ苦労したと思ってるんだ?」

「他にもたくさんあったのですか?」

 フェリが意外にも食いついた……ああ……そんなに食いつかれてしまったら、四魔将軍談義をしたくなっちゃう……でもだめだ。今は戦争の最中、ここはぐっと我慢しよう!

「フェリ……今、四魔将軍秘話を語れば夜になってしまう。今度ゆっくり話そう。クザンは興味なさそうだし」

「ほんとですか!? 四魔将軍秘話が聞けるなんて楽しみです!」

「私も聞きたい!」

 フェリとの話を聞いて、目を輝かせてリッカも四魔将軍談義に参加を表明した。
 よしよし、それなら語り明かそう……朝までな!

「ああ、もちろんだリッカ、これは長い夜になるぞ!」

「やったー!」

「お……俺も別に興味がないなんて言ってないぞ!」

 クザンがおずおずと割って入ってきた。

「……ツンデレか?」

「なんだよそれ?」

「いや……仲間外れになどしないさ! 四魔将軍について語り明かそうじゃないか!」

「おっし……」

 クザンのやつ……控えめに言って凄く嬉しそうだ。

「みなさん楽しそうです……」

 ヘレが羨ましそうにこちらを見ていた。
 少々置いてけぼりにしてしまったようだ……ちょっとはしゃぎ過ぎたかな。

「ヘレ、すまない。少々盛り上がりすぎてしまったようだ。今日は四魔将軍の一体を披露するから楽しみにしていてくれ!」

「わかりました!」

 ヘレは凄くいい返事と笑顔を返してくれた。
 うん、いい子だ。

「おいおい、そんなこと言って大丈夫か? ヘレさん、四魔将軍ってのは虐殺兵器みたいなもんなんだぜ! 楽しみにしてたらトラウマを植え付けられかねないぞ?」

 ……言われてみれば、確かにそうかもしれない。エルフの里の一件を見てきた三人とはわけが違う。普通はショックを受けるもんだよな……。

「……でも。それでもみなさんと一緒に楽しめるよう頑張ります!」

 前向きに、みんなと打ち解けようと頑張るヘレ。
 健気で……そして尊い。ならば遠慮はしない……存分にその威力を発揮してやろう!

「今回のコンセプトは……極大範囲魔法だ!」

「ん? どういうこと?」

 リッカが頭を捻る。

「ふふふ……魔法を使う時、魔法陣を描くこともあるだろう?」

「ありますね。私の結界も魔法陣の一種です」

「そうだ……だから、僕はもう、魔法陣が勝手に動けばいいんじゃね? ってことでこいつを生み出したのだ!」

 僕はローブのポケットから折りたたんだ紙を二枚取り出すと、綺麗に開いてそれをみんなに見せた。

「魔法陣ね」

「魔法陣ですね」

「魔法陣だな」

「これが魔法陣ですか」

 まじまじと見ているが、こいつの恐ろしさはこれからだ。

「出でよ! 対をなす転移魔法陣将軍!」

 僕の掛け声とともに、魔法陣が紙から飛び出し宙を浮く。
 くるくると回転しながら青白く光るそれは、まさしく魔法陣。誰もこれが生きているなどとは思うまい。

「なんか可愛い」

「綺麗ですね!」

「これで何するんだ?」

「綺麗ですー」

「まあまあ、これの凄いところだが……それはとても大きくなるということだ!」

「……」

「……」

「……」

「……」

 ……僕がこんなにも凄いことを言っているというのに、四人とも呆気に取られたように固まっている。

「大きくなるんだ!」

「ああ……うん。大きくなったら綺麗だよね!」

 リッカの苦笑いが僕の心に刺さった。
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