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サタン様からのお願いは代理戦争介入!
南の大陸の大戦 人間を殺す理由
「どうだ? ヘレ。君を苦しめていたものはなにもなくなったぞ?」
呆然とデガンニーク跡地を見つめるヘレ。
跡地といっても跡形もなく、砂と化した王都があった地を見つめていた。
「……」
僕の言葉を聞いて、また、ヘレは涙を流してしまう。
「死にたいなら手を貸すが?」
もう籠絡したようなものだろうからいいだろう。生かしておけとも言われていないので、死にたければ殺してやるのだが。
「いえ……少し、怖くなっただけです」
「そうか……それはよかった」
「え?」
「怖かったのだろう?」
「はい」
「まだ生きていたいか?」
「……はい」
「なら、慎ましく生きることだな」
「……はい」
人間なんて、純粋に悪意を向けられたらひとたまりもない。
ある日突然ナイフで刺されたり、電車のホームで押されたり……身の危険を全てを取り除くことは不可能だ。
そんな危険をはらんだ社会生活において、恨まれるということが何よりも危険であると僕は思っている。
抗うことなど不可能で、後悔もできずに殺されてしまうだろう。
だから、平和にとって恐怖はとても大事な要素なのだ。
正しい恐怖観念。
昔からそれをうまく使って平和を維持してきた経緯がある。
昔話や神話、宗教などがその一端を担っていただろう。だんだんと時が進むにつれて歪んでいってしまったが、元を正せばそこに行き着くはずだ。
神は恐らく救いを与えるものとして生まれたわけじゃない。
自然災害に恐怖し、疫病に恐怖し、集団行動から外れることを恐怖し、その戒めとして、畏怖の対象を神とした……そして、結果的にその教えを守れば平和が訪れただけのこと。
しかし、それはだんだんと畏怖の対象から益をもたらす……施しを授ける者として認識が変遷していき、教えを守れば救われる……などと変化していったのだろう。
こうなってくると、教えをいかに守り、神に愛されれば施しを受けられると勘違いが始まる。
そして、さらにねじ曲がった考え方が発生する。
なぜ私はこんなにも神に尽くしているのに救われないのか? と。
そもそもが畏怖の対象なのだから、救われると思う方がおかしいのだ。
神の存在なんて、リスク回避の建前でしかなかったのだから。
そうやって傲慢になった挙句、人間はクソ共と化していった。
自分は関係ない……そこまで恨まれるようなことはしていないとタカを括り、傍若無人に振舞っていれば、大なり小なり他人の悪意が襲ってくる。
悪意には誰も抗えないし、免れたとしても……度を超えた恐怖が日々の生活を困難な物へと変えるだろう。
一度でも悪意にまみれた殺意に触れてしまえば、いつ、どこで、誰に、悪意を向けられるかわからない状況を常に気を張って生活しなければならない。
それはとてもじゃないが、まともな生活を送れる心境にはならないだろう。
だから、人間は、恨まれることを酷く嫌うのだ。
だから、人間は、恨む人間を酷く嫌うのだ。
悪意を向けるという最低の行為を是としてしまう人間の醜悪な悪癖は、差し出した人間にはわからない、そんなつもりじゃなかったと……しかし、差し出された人間にとって、それは、人としての尊厳を踏みにじられたに等しい。
平和な世の中では、ほんの小さな悪意でも、大きな集団行動から外されるという恐怖を植え付けるものだ。
家庭、学校、会社、国、人種、地域……いろいろと小さな塊ではあるが、一人の人間の世界観なんてのは非常に狭く、ほんの小さな悪意でも、押し潰されてしまうものなのだ。
そんなことも理解せず、傲慢に生きる人間が増え、間違った恐怖観念で平和を高らかに誇るクソ共。
悪意を少数に向けさせ、人々の悪意のリソースを消費させるような平和なんて紛い物である。
そんな醜悪で最低な悪意を軽々と行使してしまう人間という知的生命体は、遺伝子レベルで腐っている生き物なのだ。……僕が人間を殺す最大の理由である。
ヘレの不安要素は綺麗サッパリと僕が葬った。
もうヘレに悪意を向ける者などいない。
次はラスフェリカだ……。
クソ共は生きていてはいけないんだ。
僕が殺さなきゃいけない。
やつらは永遠に平和というものの恐ろしさを盾に、傍若無人な悪意を持って行動する。
無意味で滑稽な平和ごっこはもう終わりだ。
死んでくれればそれでいい。
この世界からいなくなってしまえばそれでいい。
僕は粛々と実行するだけだ……断罪を。
前世で受けた最低最悪な思いは、この世界では絶対に受けたくない。
楽しい異世界生活のためには、人間の排除は絶対条件なのである!
呆然とデガンニーク跡地を見つめるヘレ。
跡地といっても跡形もなく、砂と化した王都があった地を見つめていた。
「……」
僕の言葉を聞いて、また、ヘレは涙を流してしまう。
「死にたいなら手を貸すが?」
もう籠絡したようなものだろうからいいだろう。生かしておけとも言われていないので、死にたければ殺してやるのだが。
「いえ……少し、怖くなっただけです」
「そうか……それはよかった」
「え?」
「怖かったのだろう?」
「はい」
「まだ生きていたいか?」
「……はい」
「なら、慎ましく生きることだな」
「……はい」
人間なんて、純粋に悪意を向けられたらひとたまりもない。
ある日突然ナイフで刺されたり、電車のホームで押されたり……身の危険を全てを取り除くことは不可能だ。
そんな危険をはらんだ社会生活において、恨まれるということが何よりも危険であると僕は思っている。
抗うことなど不可能で、後悔もできずに殺されてしまうだろう。
だから、平和にとって恐怖はとても大事な要素なのだ。
正しい恐怖観念。
昔からそれをうまく使って平和を維持してきた経緯がある。
昔話や神話、宗教などがその一端を担っていただろう。だんだんと時が進むにつれて歪んでいってしまったが、元を正せばそこに行き着くはずだ。
神は恐らく救いを与えるものとして生まれたわけじゃない。
自然災害に恐怖し、疫病に恐怖し、集団行動から外れることを恐怖し、その戒めとして、畏怖の対象を神とした……そして、結果的にその教えを守れば平和が訪れただけのこと。
しかし、それはだんだんと畏怖の対象から益をもたらす……施しを授ける者として認識が変遷していき、教えを守れば救われる……などと変化していったのだろう。
こうなってくると、教えをいかに守り、神に愛されれば施しを受けられると勘違いが始まる。
そして、さらにねじ曲がった考え方が発生する。
なぜ私はこんなにも神に尽くしているのに救われないのか? と。
そもそもが畏怖の対象なのだから、救われると思う方がおかしいのだ。
神の存在なんて、リスク回避の建前でしかなかったのだから。
そうやって傲慢になった挙句、人間はクソ共と化していった。
自分は関係ない……そこまで恨まれるようなことはしていないとタカを括り、傍若無人に振舞っていれば、大なり小なり他人の悪意が襲ってくる。
悪意には誰も抗えないし、免れたとしても……度を超えた恐怖が日々の生活を困難な物へと変えるだろう。
一度でも悪意にまみれた殺意に触れてしまえば、いつ、どこで、誰に、悪意を向けられるかわからない状況を常に気を張って生活しなければならない。
それはとてもじゃないが、まともな生活を送れる心境にはならないだろう。
だから、人間は、恨まれることを酷く嫌うのだ。
だから、人間は、恨む人間を酷く嫌うのだ。
悪意を向けるという最低の行為を是としてしまう人間の醜悪な悪癖は、差し出した人間にはわからない、そんなつもりじゃなかったと……しかし、差し出された人間にとって、それは、人としての尊厳を踏みにじられたに等しい。
平和な世の中では、ほんの小さな悪意でも、大きな集団行動から外されるという恐怖を植え付けるものだ。
家庭、学校、会社、国、人種、地域……いろいろと小さな塊ではあるが、一人の人間の世界観なんてのは非常に狭く、ほんの小さな悪意でも、押し潰されてしまうものなのだ。
そんなことも理解せず、傲慢に生きる人間が増え、間違った恐怖観念で平和を高らかに誇るクソ共。
悪意を少数に向けさせ、人々の悪意のリソースを消費させるような平和なんて紛い物である。
そんな醜悪で最低な悪意を軽々と行使してしまう人間という知的生命体は、遺伝子レベルで腐っている生き物なのだ。……僕が人間を殺す最大の理由である。
ヘレの不安要素は綺麗サッパリと僕が葬った。
もうヘレに悪意を向ける者などいない。
次はラスフェリカだ……。
クソ共は生きていてはいけないんだ。
僕が殺さなきゃいけない。
やつらは永遠に平和というものの恐ろしさを盾に、傍若無人な悪意を持って行動する。
無意味で滑稽な平和ごっこはもう終わりだ。
死んでくれればそれでいい。
この世界からいなくなってしまえばそれでいい。
僕は粛々と実行するだけだ……断罪を。
前世で受けた最低最悪な思いは、この世界では絶対に受けたくない。
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