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東の大陸蹂躙
魔王討伐の軌跡 新たな四魔将軍
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周りを見渡せば、仲間たちは健在しており、なんとかリバースワールドの範囲外に出られたようだ。
「で? これからどうすんだよ」
クザンの言葉に頭を悩ませる。どうしたものかと。
「どうしようかね。今、勇者は召喚のやり直しを二回もしている最中だ。どうやら僕の強さを覗かれたようでね。おそらく対抗できるステータスを何度も構築し直しているのだと思う」
「それはどのようなことなのでしょうか?」
「うーん。みんなにはわからないかもしれないけど、この世界にはステータスっていうその者の強さを測る理があるんだ。それは——」
僕はみんなにざっくりとステータスについて、スキルについてを説明した。
また、僕が見た勇者のステータスと、みんなのステータスの差がどれだけあるのかも説明した。
さらに、異世界者がここに来る前、神に会いスキルやステータスを付与することも含めて。
「でも、みんなで立ち向かえばなんとかなるよ!」
リッカにはまだ事の重大さを理解できるほどの経験がないようだ。
「無理だ。アメスより強い……と言えばわかるか?」
「アメス?」
リッカは覚えていないようだ。
「あいつか……あれより強いんじゃどうしようもねぇな。俺たちが束になっても敵う相手じゃない」
「そういうことだ」
クザンには伝わったようだ。敵対しても、ただ死にに行くようなものなのだ。
しかし……
「でもよ……魔王様は戦うんだろ? 俺も行くぜ!」
「は? おまえ……ちゃんと理解したはずだろう? だったら——」
「私も行く!」
「私もです!」
「では、私も……私も行きます!」
ヘレまで……なにを言っているのかわかっているのだろうか?
なぜか三人とも熱い眼差しを僕に向けている。
「死にたいのか?」
「ルーシェが戦っても死んじゃうかもしれないんでしょ? なら絶対に行く!」
「私もです! 絶対に行きます!」
「娘を助けてもらった借りを返す前に死なれちゃ困るんでな。俺も連れてけ」
「みんなが行くなら私も行きます!」
三人とも決意は固いようで、思いの丈を叫んでいる。死ぬのが怖くないのだろうか?
……まったく……なにを熱くなっているんだか……僕が死ぬ? あんな姑息な勇者に倒されてしまう? なにを言っているんだか……そんなことあるわけないじゃないか。
足枷にしかならないかもしれないが、こいつらには死ぬよりも優先したいこがあるのだろう。
それが望みならば……叶えてやろう。
だけど……僕が守るのだから、こんなところでは死なせない。
「……わかったよ。ついて来たければついてこい。だけど、僕は誰も死なせるようなことはしない。いつもどうり、勇者にはむごたらしい死を与える……なぜなら……人間だから。生きてる価値なんてない……もう、理由なんて説明する必要ないだろう? クックックック……ヒヒヒ……」
「あ……また悪いこと考えてる」
「頼もしいですね」
「この笑い方を聞いて安心する日が来るとはな。わからないもんだぜ」
「笑顔が一番です!」
恐れることはない。ステータスがなんだ……スキルがなんだ……そんなものはまやかしだ。
みんな期待している……僕の恐ろしさを。
なら、答えようじゃないか。
魔力というものがどういうものなのか……あの勇者様に教えて差し上げよう。
僕は魔王なんだ……ステータスに固執したおこちゃまが相手にできるような存在じゃない。
勇者……勇敢なる愚者。証明しようじゃないか。どちらが強いのかを。
「……やつには四魔将軍をお披露目しよう……こんな日が来るんじゃないかと思って、じっくり練り上げた四魔将軍を……」
「でた!」
「楽しみです!」
「お……俺も楽しみだ!」
「私も!」
みんなが僕の四魔将軍を心待ちにしている。そうだ。それでいい。魔王となった僕が生み出す魔力の塊。魔力とはなにか? 身をもって教えてやろう。
「クックックッ……ではお見せしよう……四魔将軍が一人……ひょうたん将軍だ!」
僕はローブの中にしまっておいた手のひらサイズのひょうたん将軍をみんなに見せた。
「……え?」
「……なにかの入れ物ですか?」
「……酒でも入ってんのか?」
「なんだか可愛いですね!」
呆気に取られるのも無理はない。
この可愛い見た目に騙されてはいけない……これは、ステータスに魔力という数値があることを認識してすぐに思いついたものなのだが、より強力に……そして、誰も抗えないように丹精込めて力を注いだ逸品だ。
僕の最高傑作が一つ……その凄さを見せてやろう。
「ふっふっふ……こいつの凄さを見せてやろう……そうだな、おまえたち……身をもって知るがいい!」
僕は三人にひょうたん将軍の効果を身をもって知ってもらうことにした。
呆気なく、その素晴らしいひょうたん将軍の強大さを理解できるはずだ。
ひょうたん将軍が宙に浮かべば、みんな倒れこむように地に伏している。
「こ……れ……どういう……ことなの?」
「気持ち……悪いです。頭がクラクラ……します」
「お……い、なにが……起こって……んだ?」
「立て……ません……」
みんな話すのがやっとのようだ。
「クックックック……あーっはっはっは! 僕に勝とうなんて無駄なんだよ! 勝ち誇ったやつの死に顔はどんなものになるかなぁ? この世界の理を理解せず、スキルやステータスに縋る憐れな勇者様にはとってもお似合いな最後だ!」
「ルーシェ……楽しいのは……わかったから……早く……これどうにかして……」
「ん? ああ、悪い。ひょうたん将軍! 戻れ」
リッカが顔を青くしてひょうたん将軍を止めて欲しいと嘆願している。
楽しみ過ぎてすっかり忘れていた。
僕はひょうたん将軍に止めるよう指示を出し、手元へと戻ってきてもらった。
「うぅ……まだ気持ち悪い」
「これ、なんなんですか?」
「こんだけ気持ち悪くなるなら戦いになんかならねぇな」
「すごいけど……もう嫌です」
みんな身に染みてこいつの凄さをわかってくれたようで嬉しい。
「では、勇者が愚行を終えるまで待機だ。気がすむまでやらせてやろう。それまで、おまえたちもゆっくり休むといい」
何度も勇者召喚を繰り返す勇者に構ってあげることもない。
満足いくまで繰り返すがいい。
おまえが僕を倒そうと決意した時……それが、おまえの最後なんだからな。
「で? これからどうすんだよ」
クザンの言葉に頭を悩ませる。どうしたものかと。
「どうしようかね。今、勇者は召喚のやり直しを二回もしている最中だ。どうやら僕の強さを覗かれたようでね。おそらく対抗できるステータスを何度も構築し直しているのだと思う」
「それはどのようなことなのでしょうか?」
「うーん。みんなにはわからないかもしれないけど、この世界にはステータスっていうその者の強さを測る理があるんだ。それは——」
僕はみんなにざっくりとステータスについて、スキルについてを説明した。
また、僕が見た勇者のステータスと、みんなのステータスの差がどれだけあるのかも説明した。
さらに、異世界者がここに来る前、神に会いスキルやステータスを付与することも含めて。
「でも、みんなで立ち向かえばなんとかなるよ!」
リッカにはまだ事の重大さを理解できるほどの経験がないようだ。
「無理だ。アメスより強い……と言えばわかるか?」
「アメス?」
リッカは覚えていないようだ。
「あいつか……あれより強いんじゃどうしようもねぇな。俺たちが束になっても敵う相手じゃない」
「そういうことだ」
クザンには伝わったようだ。敵対しても、ただ死にに行くようなものなのだ。
しかし……
「でもよ……魔王様は戦うんだろ? 俺も行くぜ!」
「は? おまえ……ちゃんと理解したはずだろう? だったら——」
「私も行く!」
「私もです!」
「では、私も……私も行きます!」
ヘレまで……なにを言っているのかわかっているのだろうか?
なぜか三人とも熱い眼差しを僕に向けている。
「死にたいのか?」
「ルーシェが戦っても死んじゃうかもしれないんでしょ? なら絶対に行く!」
「私もです! 絶対に行きます!」
「娘を助けてもらった借りを返す前に死なれちゃ困るんでな。俺も連れてけ」
「みんなが行くなら私も行きます!」
三人とも決意は固いようで、思いの丈を叫んでいる。死ぬのが怖くないのだろうか?
……まったく……なにを熱くなっているんだか……僕が死ぬ? あんな姑息な勇者に倒されてしまう? なにを言っているんだか……そんなことあるわけないじゃないか。
足枷にしかならないかもしれないが、こいつらには死ぬよりも優先したいこがあるのだろう。
それが望みならば……叶えてやろう。
だけど……僕が守るのだから、こんなところでは死なせない。
「……わかったよ。ついて来たければついてこい。だけど、僕は誰も死なせるようなことはしない。いつもどうり、勇者にはむごたらしい死を与える……なぜなら……人間だから。生きてる価値なんてない……もう、理由なんて説明する必要ないだろう? クックックック……ヒヒヒ……」
「あ……また悪いこと考えてる」
「頼もしいですね」
「この笑い方を聞いて安心する日が来るとはな。わからないもんだぜ」
「笑顔が一番です!」
恐れることはない。ステータスがなんだ……スキルがなんだ……そんなものはまやかしだ。
みんな期待している……僕の恐ろしさを。
なら、答えようじゃないか。
魔力というものがどういうものなのか……あの勇者様に教えて差し上げよう。
僕は魔王なんだ……ステータスに固執したおこちゃまが相手にできるような存在じゃない。
勇者……勇敢なる愚者。証明しようじゃないか。どちらが強いのかを。
「……やつには四魔将軍をお披露目しよう……こんな日が来るんじゃないかと思って、じっくり練り上げた四魔将軍を……」
「でた!」
「楽しみです!」
「お……俺も楽しみだ!」
「私も!」
みんなが僕の四魔将軍を心待ちにしている。そうだ。それでいい。魔王となった僕が生み出す魔力の塊。魔力とはなにか? 身をもって教えてやろう。
「クックックッ……ではお見せしよう……四魔将軍が一人……ひょうたん将軍だ!」
僕はローブの中にしまっておいた手のひらサイズのひょうたん将軍をみんなに見せた。
「……え?」
「……なにかの入れ物ですか?」
「……酒でも入ってんのか?」
「なんだか可愛いですね!」
呆気に取られるのも無理はない。
この可愛い見た目に騙されてはいけない……これは、ステータスに魔力という数値があることを認識してすぐに思いついたものなのだが、より強力に……そして、誰も抗えないように丹精込めて力を注いだ逸品だ。
僕の最高傑作が一つ……その凄さを見せてやろう。
「ふっふっふ……こいつの凄さを見せてやろう……そうだな、おまえたち……身をもって知るがいい!」
僕は三人にひょうたん将軍の効果を身をもって知ってもらうことにした。
呆気なく、その素晴らしいひょうたん将軍の強大さを理解できるはずだ。
ひょうたん将軍が宙に浮かべば、みんな倒れこむように地に伏している。
「こ……れ……どういう……ことなの?」
「気持ち……悪いです。頭がクラクラ……します」
「お……い、なにが……起こって……んだ?」
「立て……ません……」
みんな話すのがやっとのようだ。
「クックックック……あーっはっはっは! 僕に勝とうなんて無駄なんだよ! 勝ち誇ったやつの死に顔はどんなものになるかなぁ? この世界の理を理解せず、スキルやステータスに縋る憐れな勇者様にはとってもお似合いな最後だ!」
「ルーシェ……楽しいのは……わかったから……早く……これどうにかして……」
「ん? ああ、悪い。ひょうたん将軍! 戻れ」
リッカが顔を青くしてひょうたん将軍を止めて欲しいと嘆願している。
楽しみ過ぎてすっかり忘れていた。
僕はひょうたん将軍に止めるよう指示を出し、手元へと戻ってきてもらった。
「うぅ……まだ気持ち悪い」
「これ、なんなんですか?」
「こんだけ気持ち悪くなるなら戦いになんかならねぇな」
「すごいけど……もう嫌です」
みんな身に染みてこいつの凄さをわかってくれたようで嬉しい。
「では、勇者が愚行を終えるまで待機だ。気がすむまでやらせてやろう。それまで、おまえたちもゆっくり休むといい」
何度も勇者召喚を繰り返す勇者に構ってあげることもない。
満足いくまで繰り返すがいい。
おまえが僕を倒そうと決意した時……それが、おまえの最後なんだからな。
応援ありがとうございます!
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