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東の大陸蹂躙
悪意
その日、短い時間だったがリッカとフェリは持ち場について冒険者の相手をしてくれた。
ヘレとクザンは城の裏手で僕が作った魔物と修行していた。
一方、僕はガーゴイルたちにいろいろと街の状況を聞いて今後の方針を決めることにしていたのだが……これがどうにも芳しくない。
獣人奴隷の中には魔道具を使って拘束されている者も多く、連れてこれないといった状況らしい。
「まったく……殺すのは簡単だが、救うのは難しいな」
強い勇者がいなくなったとはいえ、ガーゴイルだけでは歯が立たないくらいに強い勇者はまだ多い。
なら僕が出向こうかとも思ったが、先ほどのことがあるので単独行動はマズイ……。
「はぁ……」
忌々しい人間共には反吐が出る。やつらは自分のためなら平気で他者を陥れるクソ種族だ。
「……やつを使うか……」
こんな状況ならば致し方ない。惜しくも四魔将軍に選ばれることはなかったが、とても優秀なチート能力を持った魔物。
こいつはいざという時のためにずっと行動を共にしてきた小さき者。
「おまえたちの出番だ……東の大陸にいる人間を根絶やしにせよ……」
なにもないところで見えない彼らに話しかける。
仕方なく命じてしまった。
おそらく、10日もすれば東の大陸にいる人間共はほぼ全滅だろう。
僕がこれを作った時、人間共の全滅は確定したも同然だった。
では、なぜこのチート魔物が四魔将軍入りできなかったかといえば、魔物には無害だからだ。
魔力によって生み出された魔物にとって、こいつはただの小さき者。空気のような存在なのだ。
しかし、魔物以外の者に牙を剥けば、たちまち大厄災となる。
一つ一つは分子レベルに小さき者だが、兆を軽く超える軍隊だ。
「死の風」
そう命名した彼らは人間の染色体を破壊する。
そのため、人間が生きていくための新陳代謝は止まり全身が癌細胞と化す。
ただし、処置が早ければ簡単な回復魔術で対応可能だ。
しかしながら、この世界に回復魔法が使える人間は多くない。
何千万といた人間が、肉体が腐っていく腐臭、絶え間ない痛みに絶望を感じながら数日で数万程度に減るだろう。
毒霧のように広範囲な攻撃ができる上、ターゲットを絞ることが可能な死の風部隊。毒霧のような即効性はないが、十分に脅威となるはずだ。
ただ、これを使った後の現場はゾンビ映画のそれだ。
腐乱した死体がそこら中に横たわり、おぞましい異臭を放つ。
あまりにも悲惨なため死の風部隊は自重していたのだが、奴隷を盾にするようなやつらにかける情けなんてない。
ただ、助ける前に獣人がショックを受けてしまわないかが心配だ。
だからもう一度ビラを配ることにした。
奴隷を解放しない者が一人でもいれば、その街の人間には苦痛に喘ぐ死が与えられる。
そして、魔王城まで連れて来た者には安らかな死を与えると。
しかし……その後一日待ったが、獣人を解放する人間なんてほとんどいなかった。
だから、その次の日……死の風部隊が東の大陸を蹂躙した。
死の風部隊の毒牙にかかった人間は、即座に体調不良を訴え、中には痙攣を起こして即死する者まで現れた。
即死を免れた人間共は、日に日に弱っていき、症状は皮膚に現れる。
全身が焼けただれたように腐敗していき、絶え間ない苦痛に襲われていく。
それだけではなく、内臓までもが腐敗しているため、栄養を吸収することができない。
どんなに願っても……待っているのは死だけ。
痛みに苛まれ、助けを求めようにも体は満足に動かない。時間を追うごとに全身に力が入らなくなる。やがて、声を出すことすらままならない状態で、ただただ激しい痛みに耐え続ける日が繰り返されていく。
この光景を見ていると、化学兵器やら、原爆が禁止される理由がよくわかるな……。
数日、絶望を味あわせて殺す兵器。
僕が作ったとはいえ、元となる物を作り出したのは人間だ。
戦争を免罪符に大義を掲げれば、人間はなんでもする。
未だにその兵器を作り続け、国の切り札として保有し続けている。
それはなぜか?
それは、人間の性である悪意を制御できないから。
誰もが他人を……そして、自分さえも不安に思うほどに懐疑している。
慎ましく生きることがどんなに尊いことなのか。平和を実現するということがどんなに大変な作業なのか……ほとんどの場合実現不可能だ。
人間の悪意は消えることなんてない。
だれかをいじめたり……ムカついて暴言を吐いたり、嫌がらせをしたり……仲間外れにしたり……金や権力のために争ったり……負けた者を蔑み、人権を踏みにじったり…………
……クックック……ヒヒヒヒ……
……そんなやつらに慈悲など不要だろう?
まったく……毒霧で楽に死ねばよかったものを……。
そう思わざるを得ない光景に僕は破顔する。
……きっと苦しんだだろう。
……すぐ横に鎮座する死に恐怖したことだろう。
……なぜ奴隷を解放しなかったのだと後悔したはずだ。
……死ね……死ね……死ね……僕は優しい魔王じゃない……人間共が恐怖する本来の意味での魔王なんだ。
じっくりと味わうがいいさ。
おまえたちが僕に振りかざした悪意を返してやるよ……
ヘレとクザンは城の裏手で僕が作った魔物と修行していた。
一方、僕はガーゴイルたちにいろいろと街の状況を聞いて今後の方針を決めることにしていたのだが……これがどうにも芳しくない。
獣人奴隷の中には魔道具を使って拘束されている者も多く、連れてこれないといった状況らしい。
「まったく……殺すのは簡単だが、救うのは難しいな」
強い勇者がいなくなったとはいえ、ガーゴイルだけでは歯が立たないくらいに強い勇者はまだ多い。
なら僕が出向こうかとも思ったが、先ほどのことがあるので単独行動はマズイ……。
「はぁ……」
忌々しい人間共には反吐が出る。やつらは自分のためなら平気で他者を陥れるクソ種族だ。
「……やつを使うか……」
こんな状況ならば致し方ない。惜しくも四魔将軍に選ばれることはなかったが、とても優秀なチート能力を持った魔物。
こいつはいざという時のためにずっと行動を共にしてきた小さき者。
「おまえたちの出番だ……東の大陸にいる人間を根絶やしにせよ……」
なにもないところで見えない彼らに話しかける。
仕方なく命じてしまった。
おそらく、10日もすれば東の大陸にいる人間共はほぼ全滅だろう。
僕がこれを作った時、人間共の全滅は確定したも同然だった。
では、なぜこのチート魔物が四魔将軍入りできなかったかといえば、魔物には無害だからだ。
魔力によって生み出された魔物にとって、こいつはただの小さき者。空気のような存在なのだ。
しかし、魔物以外の者に牙を剥けば、たちまち大厄災となる。
一つ一つは分子レベルに小さき者だが、兆を軽く超える軍隊だ。
「死の風」
そう命名した彼らは人間の染色体を破壊する。
そのため、人間が生きていくための新陳代謝は止まり全身が癌細胞と化す。
ただし、処置が早ければ簡単な回復魔術で対応可能だ。
しかしながら、この世界に回復魔法が使える人間は多くない。
何千万といた人間が、肉体が腐っていく腐臭、絶え間ない痛みに絶望を感じながら数日で数万程度に減るだろう。
毒霧のように広範囲な攻撃ができる上、ターゲットを絞ることが可能な死の風部隊。毒霧のような即効性はないが、十分に脅威となるはずだ。
ただ、これを使った後の現場はゾンビ映画のそれだ。
腐乱した死体がそこら中に横たわり、おぞましい異臭を放つ。
あまりにも悲惨なため死の風部隊は自重していたのだが、奴隷を盾にするようなやつらにかける情けなんてない。
ただ、助ける前に獣人がショックを受けてしまわないかが心配だ。
だからもう一度ビラを配ることにした。
奴隷を解放しない者が一人でもいれば、その街の人間には苦痛に喘ぐ死が与えられる。
そして、魔王城まで連れて来た者には安らかな死を与えると。
しかし……その後一日待ったが、獣人を解放する人間なんてほとんどいなかった。
だから、その次の日……死の風部隊が東の大陸を蹂躙した。
死の風部隊の毒牙にかかった人間は、即座に体調不良を訴え、中には痙攣を起こして即死する者まで現れた。
即死を免れた人間共は、日に日に弱っていき、症状は皮膚に現れる。
全身が焼けただれたように腐敗していき、絶え間ない苦痛に襲われていく。
それだけではなく、内臓までもが腐敗しているため、栄養を吸収することができない。
どんなに願っても……待っているのは死だけ。
痛みに苛まれ、助けを求めようにも体は満足に動かない。時間を追うごとに全身に力が入らなくなる。やがて、声を出すことすらままならない状態で、ただただ激しい痛みに耐え続ける日が繰り返されていく。
この光景を見ていると、化学兵器やら、原爆が禁止される理由がよくわかるな……。
数日、絶望を味あわせて殺す兵器。
僕が作ったとはいえ、元となる物を作り出したのは人間だ。
戦争を免罪符に大義を掲げれば、人間はなんでもする。
未だにその兵器を作り続け、国の切り札として保有し続けている。
それはなぜか?
それは、人間の性である悪意を制御できないから。
誰もが他人を……そして、自分さえも不安に思うほどに懐疑している。
慎ましく生きることがどんなに尊いことなのか。平和を実現するということがどんなに大変な作業なのか……ほとんどの場合実現不可能だ。
人間の悪意は消えることなんてない。
だれかをいじめたり……ムカついて暴言を吐いたり、嫌がらせをしたり……仲間外れにしたり……金や権力のために争ったり……負けた者を蔑み、人権を踏みにじったり…………
……クックック……ヒヒヒヒ……
……そんなやつらに慈悲など不要だろう?
まったく……毒霧で楽に死ねばよかったものを……。
そう思わざるを得ない光景に僕は破顔する。
……きっと苦しんだだろう。
……すぐ横に鎮座する死に恐怖したことだろう。
……なぜ奴隷を解放しなかったのだと後悔したはずだ。
……死ね……死ね……死ね……僕は優しい魔王じゃない……人間共が恐怖する本来の意味での魔王なんだ。
じっくりと味わうがいいさ。
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