みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

文字の大きさ
110 / 157
北の大陸蹂躙

神殺しの系譜 処刑……そして、魔王と勇者

 ——そうか。

 ——どうしたのー? たかだか千年くらい閉じ込められたくらいで……あのイケイケなサタン様も丸くなっちゃったかな?

 ——そうだね。君は変わらないらしい。

 ——ははっ! 当たり前じゃん! 人間を使って楽しく過ごしていますよーこっちは。ただ……今は大ピンチだけどねぇ。

 ——あまり調子に乗っていると、存在を消されちゃうよ?

 ——あはは! なにそれ? サタン様と同じように幽閉でもされちゃうのかなぁ?

 ——いや。そのままの意味だ。お前は生まれなかったことになる。

 ——おいおい……冗談きついぜ! そんな大昔まで時を遡れる奴なんていないだろ? まさか、この魔王とか抜かしている僕ちゃんがそうなのかなぁ? まじウケるわ!

 ——……まあ、好きにするといいよ。

 ——……試してみますか?

 僕は二人の会話に割って入った。このまま調子のいい会話を聞き続けるのも飽きてきたからね。

 ——あれあれ? 二人して試そうっての? 未だに天界の者が死んだなんて聞いたことないのに……ぷぷぷ……じゃ、気の弱いサタン様に代わって、そんなことできないって証明してあげるよ! はいはい魔王ちゃん。チャチャっとやっちゃって! もしかしてもう試した後かな? あははははは。

 バーディはとても上機嫌に僕を罵り、楽しそうに煽っていた。
 こんなにも心の痛まないモルモットがいたことに僕は感謝しかない。

 ——……リバース。

 大きな口を開けて笑っていたバーディが急に大人しくなる。

 ——ん? ……あれ? ここどこ?

 残念なことに、僕のリバースをもってしても、バーディは消失しなかった。

 ——サタン様、一千万年前くらいじゃダメですかね?

 ——一千万年? 全然足りないぞ。そいつが生まれたのは60億年ほど前だったと思うよ。

 ——なるほど……じゃあ百億年ほど戻しますか……リバース!

 と、その魔法を最後に、キョロキョロと周囲を確認していたバーディは忽然と姿を消した。
 サーチをしてみても、この世界にも、天界にも存在は確認できなかった。

 ——いやー、できるとは思っていましたが……やっぱり実際にできると証明されるのは嬉しいですね。

 ——ふっ……クックック……僕がその力を手に入れるはずだったのにな。

 ——いやはや……申し訳ありません。僕が飽きたらお譲りいたしますよ。

 ——ん? ああ……なるほど……それはいいかもしれないね。

 ——なにがですか?

 ——ん? いや、飽きたら譲ってくれるなら、君がいる間は大人しくしようかなってね。

 ——本当ですか? じゃあ、サタン様の封印解きますよ。

 ——は? これは天界の理で成されているんだ。君には解けないよ。

 ——あー、それなんですけど……多分解けます。おそらく、天罰とか、天界って、理は違うけど、魔力を使っているんだと思うんです。

 ——魔力?

 ——はい。わかりやすく言えば、魔力を操作する言語が違うって感じですかね。

 ——言語? 君はさっきからなにを言っているんだい?

 ——そうですね。僕の元いた世界で例えれば、C言語を手書きのメモを使って読み込ませているのがこの世界の者たちで、オブジェクト指向の高級な言語を統合開発環境を使って構築しているのが神さまって感じですかね。

 ——元は一緒だと言いたいんだな?

 ——はい。これに関しては、僕が魔の理と同じ者になったからこそ理解できただけなんですけどね。

 ——なら、君はどうなんだ?

 ——僕ですか? 僕は……01の羅列をいじることができるって感じですかね。命令を伝える一つ一つのパーツ……それこそ、CPUのトランジスタを直接操作できる……って感じですね。

 ——なるほどね。そんな感覚を味わったことがないから実感できないけど……なにが起きるのか……わからないけど操作できる……と言ったところかな。

 ——そうですね。手足のように、特に計算する必要はなく操作できます。

 ——チート魔王め。

 ——それもこれも、サタン様が試行錯誤を繰り返したおかげですよ。

 ——僕のおかげ? 僕はこんなことになるとは思っていなかったけどね。

 ——でも……いつかはこんなことが起きるだろうって感じていたんですよね?

 ——ああ、なんとなくだけどね……しかし、確信はあった。天界の理以上の魔王が誕生した例は少なくない。そこに、神をも超える何かがあるんじゃないかと考えていたんだ。だから、何度勇者に壊されようとも、僕はめげずに魔王を生み出し続けた。神から差し向けられる勇者に勝てないようでは到底神には勝てるはずもないからね。

 ——ふふふ……なら、魔王と勇者の戦いは、神様どうしの代理戦争だったと言うことですか。

 ——そうなるかな。

 ——おかしいな……とは思っていたんです。神様は人間を導いたと思えば殺したり……それでいて、人間を愛しているかのように振舞っている理由がわからなかった。僕はずっと、神様は人間を見守っていると教わってきたものですから……ですが……今、ようやくわかりました。神託の意味も、人間至上主義も、全ては、サタン様が生み出す魔王を退けるためのもの。人間は、神にとって都合のいい駒だった……ということですね?

 ——そうなるね。

 ——僕も、元は愚鈍な人間です。こんな簡単な真理にたどり着くまで、とても都合のいい解釈をしていました。理解できないということは、とても恐ろしい拡大解釈をしてしまう原因なのですね。

 ——事実は小説よりも奇なり……とはいかなかったかな?

 ——いえ、とてもスッキリしました。無限に続く、魔王と勇者の物語に終止符を打つことができましたからね!

 ——やはり、君は変わっているな。

 ——そうでしょうか? まあいいです。それじゃあ、サタン様……もし、よろしければ、これから一緒に人間を殺しません?

 ——ふっ……クックック……そうだね。僕と君が仲良く地上へと舞い戻ったら……神はどう思うかな? クックック。いいね、そうしよう。

 ——ありがとうございます! じゃあ早速……スローブ! ……転移!

 僕はサタン様の拘束を解き、みんなが待つ魔王城内へと転移した。
感想 168

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。