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北の大陸蹂躙
アリフォールの伝説 王の過去
***
これは、アリフォールに起きたとても大きな出来事。
ずっと後世に語り継がれるだろう伝説であり、アリフォール国民の英雄譚である。
伝説は悪政を敷いていた前王をクロイツという幼い少年が打ち倒したことから始まる。
しかし、その前にその少年の過去を語らなければならないだろう。
幼い少年はもともと貧民の出だった。
ずっと変わることのない身分と、重たい枷を産まれながらに背負い、奴隷のように使い捨てられる運命のはずだった。
しかし、幼い少年は、国を転覆させるほどの力を持って王を打ち倒すこととなる。
はじめの転機は、ようやく大人に混じって雑用こなせるようになったころに訪れた。
若くして母親が病に倒れ帰らぬ人となったのだ。
そして、そのせいで父親はおかしくなってしまった。
とても幸せとは言えない生活の中でも、母と父の仲が良かったので、少年は不幸せではなかった。
しかし、小さな幸せは呆気なく崩れ落ちてしまった。
突然の病に倒れた母を受け入れることができなかった父は、もういない母を求めてだんだんと心が現実から離れていった。
時々、誰もいないのに誰かと……母と話していた。
時々、悲しみが蘇っては大人気なく大声で泣いていた。
時々、ふらっと数日間帰ってこない時もあった。
でも、少年は不幸せではなかった。
なぜなら、周りを見れば、もっと不遇を敷いられている同年代の子供が大勢いたからだ。
父親がいるだけで幸せといえる。
幼いながらも、そんな貧民の実情を理解していた。
しかし、父親のいる生活はそう長くは続かなかった。
約一年後、少年の父親は出て行ったきり帰って来ることはなかった。
母親も、父親も居なくなって、少年の生活はとても厳しいものとなった。
まだ大人になりかけの半人前では、満足に仕事ができるわけじゃない。
十分な給金をもらえない者が行き着く先は、国家事業という名の奴隷労働しかなかった。
そこには、犯罪者、孤児、老人などが赤黒く体を汚して働いていた。
今は城の地下を建設中だった。
こんな時でもない限り、少年には縁のない場所だっただろう。
そして、少年はここで運命を変える転機を迎えることになる。
少年が働き始めて二年が過ぎようとしていたころ、運命の歯車が回り始める。
その日、少年がヘトヘトになって宿舎へと歩いていた帰路で、同じく孤児として働いていた年上の少女が暴漢に襲われていたのだ。
裏路地で囲まれていた彼女は、下卑た男たちにあっさりと口を塞がれて連れ去られてしまった。
少年は彼女のことを知っている。
なぜなら、彼女は入った当初から少年の面倒を見てくれていたから。
辛い奴隷労働の中でも、姉のように接してくれる彼女に少年の傷ついた心は大きく癒されていた。
鞭で打たれようと、罵声を浴びせられようと、彼女は笑顔を絶やすことはなかった。
少年は、彼女の強い心にとても憧れていた。
そして今、そんな彼女が男たちに連れ去られてしまう現場を目撃してしまったのだ。
嘘のような現実に手が震え、思考が定まらなかった。
でも、少年の体は去っていく男たちの後を追っていた。
自分が無謀な行為をしているとはわかっていたが、親しい人が去ってしまうことが少年には耐えられなかった。
彼女が殺されてしまうかもしれない。
そう思った時には暴漢を追いかけていた。
やがて、暴漢たちは街外れにあるあばら家に入っていった。
恐る恐る朽ちた建物の窓から中を覗くと、彼女は口を塞がれ、服を剥ぎ取られていた。
抵抗する彼女を二人の男が押さえ込み、もう一人が彼女の柔肌を乱暴に楽しんでいる。
奴隷労働をしているせいで痩せてはいるが、人並みの食事は配給されていたため、彼女の身体はとても健康的な魅力を放っていた。
だから、暴漢に襲われるのも無理はなかった。
整った顔立ち、胸も大きめで、汚れて伸びきった薄い服を着ていた。
そんな姿をしていれば、男たちの性欲を掻き立ててしまうのも無理はないだろう。
それでいて、貧民の出で孤児となれば、いつかはこうなる運命にあったといえる。
彼女は暴漢の腕を払おうと必死になって抵抗していた。
大声で助けを呼びたくても、口を塞がれていて大した声量にはならない。
やがて、暴漢の一人が彼女の腹部を殴った。
すると、彼女は力が抜けたように抵抗をやめてしまう。
だらりと項垂れた彼女を見て、少年の心と体は彼女を助けるために動いてしまっていた。
屈強とは言い難い男たちだとはいえ、少年一人で三人の男をどうにかできるはずもない。
しかし、そんなことを考えるまでもなく、気づけばガンガンと扉を叩いていた。
「なにをしている! 先ほど少女が連れ去られたと通報を受けた。大人しく出でこい!」
それっぽく兵士の真似をして暴漢たちを追い払おうとした。
とっさの判断にしては、少年ができる最善の策だっただろう。
少年の声に気づいたのか家の中の騒音は消えた。
しかし、暴漢たちが逃げ出すような雰囲気はなく、間もなく扉が開いてしまう。
「へへっ、ガキが。そんな可愛らしい声で騙せるとでも思ったのか?」
下卑た男が少年を見下ろす。
固まって動けないでいた少年は、あっさりと捕まってしまった。
そのまま男の腕に引きずられて少女の前まで連れ行かれる。
「馬鹿なガキがナイト気取りとは笑えるなぁ」
ランプの光が項垂れる彼女と、それを押さえている男たちを照らしていた。
「あははは! よかったなガキ! 女の裸を拝めて! ほらほら、こんなにおっきな胸だと興奮するだろう?」
そう言って、暴漢の一人が少年に見せつけるように彼女の胸を揉みしだいた。
しかし、彼女は項垂れたまま動かない。
「ライラお姉ちゃん!」
少年は不安になって、思わず彼女の名前を叫んでしまう。
その声に気づき、彼女はパッと顔を上げた。
その時の彼女の表情は、少年の心にいつまでも消えない傷跡を残すことになる。
優しく、いつも笑顔だった彼女が見せたのは、とても悲しそうで、とても必死な顔だった。
「んー!! んん!! んんんー!!」
彼女は少年を見てまたもや暴れ出す。
「はは! そうか、姉ちゃんだったか、こりゃあいい。おまえはじっくりここで見ているんだな、姉ちゃんが犯されるところなんて滅多に見られるもんじゃないぜ!」
男は嬉しそうに笑い、少年の腹部を殴ると、床に押さえつけた。
「んーん!! んんん! んー!」
ますます暴れ出す彼女を、男たちはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて眺めていた。
「ククク、こりゃ傑作だな。お前たち、きっちり見せつけてやれ!」
「へへ、たまんねぇな、おい。俺たちが先でいいのかい?」
「ああ、くれてやるよ。どうせ、こいつがいればいつでもその女は俺たちの相手をしてくれるだろうからな」
「うは! なるほどな! 最高じゃねぇか! こんな上玉を毎日堪能できるなんて嬉しいねぇ」
男は彼女に顔を近づけて首筋を舐めた。
彼女は必死に抵抗するが、力の差は開き過ぎていた。
少年は見ていることしかできない。
嫌がる彼女を救う力など、少年は持ち合わせていなかった。
彼女はバタバタと足を動かし、体をひねり、必死に抵抗している。
どんなときでも笑顔で接してくれた優しい彼女が、酷く荒んだ表情で泣いている。
憧れだった、強く、優しい心を持った彼女が、醜悪な男たちに壊されようとしていた。
少年も必死に体を動かそうとするのだが、押さえつけられた足も腕も微動だにしなかった。
だから、少年は、強く願った。
彼女を救う力が欲しい。
悪い奴らを倒せる力が欲しい。
そう、強く、強く願った。
これは、アリフォールに起きたとても大きな出来事。
ずっと後世に語り継がれるだろう伝説であり、アリフォール国民の英雄譚である。
伝説は悪政を敷いていた前王をクロイツという幼い少年が打ち倒したことから始まる。
しかし、その前にその少年の過去を語らなければならないだろう。
幼い少年はもともと貧民の出だった。
ずっと変わることのない身分と、重たい枷を産まれながらに背負い、奴隷のように使い捨てられる運命のはずだった。
しかし、幼い少年は、国を転覆させるほどの力を持って王を打ち倒すこととなる。
はじめの転機は、ようやく大人に混じって雑用こなせるようになったころに訪れた。
若くして母親が病に倒れ帰らぬ人となったのだ。
そして、そのせいで父親はおかしくなってしまった。
とても幸せとは言えない生活の中でも、母と父の仲が良かったので、少年は不幸せではなかった。
しかし、小さな幸せは呆気なく崩れ落ちてしまった。
突然の病に倒れた母を受け入れることができなかった父は、もういない母を求めてだんだんと心が現実から離れていった。
時々、誰もいないのに誰かと……母と話していた。
時々、悲しみが蘇っては大人気なく大声で泣いていた。
時々、ふらっと数日間帰ってこない時もあった。
でも、少年は不幸せではなかった。
なぜなら、周りを見れば、もっと不遇を敷いられている同年代の子供が大勢いたからだ。
父親がいるだけで幸せといえる。
幼いながらも、そんな貧民の実情を理解していた。
しかし、父親のいる生活はそう長くは続かなかった。
約一年後、少年の父親は出て行ったきり帰って来ることはなかった。
母親も、父親も居なくなって、少年の生活はとても厳しいものとなった。
まだ大人になりかけの半人前では、満足に仕事ができるわけじゃない。
十分な給金をもらえない者が行き着く先は、国家事業という名の奴隷労働しかなかった。
そこには、犯罪者、孤児、老人などが赤黒く体を汚して働いていた。
今は城の地下を建設中だった。
こんな時でもない限り、少年には縁のない場所だっただろう。
そして、少年はここで運命を変える転機を迎えることになる。
少年が働き始めて二年が過ぎようとしていたころ、運命の歯車が回り始める。
その日、少年がヘトヘトになって宿舎へと歩いていた帰路で、同じく孤児として働いていた年上の少女が暴漢に襲われていたのだ。
裏路地で囲まれていた彼女は、下卑た男たちにあっさりと口を塞がれて連れ去られてしまった。
少年は彼女のことを知っている。
なぜなら、彼女は入った当初から少年の面倒を見てくれていたから。
辛い奴隷労働の中でも、姉のように接してくれる彼女に少年の傷ついた心は大きく癒されていた。
鞭で打たれようと、罵声を浴びせられようと、彼女は笑顔を絶やすことはなかった。
少年は、彼女の強い心にとても憧れていた。
そして今、そんな彼女が男たちに連れ去られてしまう現場を目撃してしまったのだ。
嘘のような現実に手が震え、思考が定まらなかった。
でも、少年の体は去っていく男たちの後を追っていた。
自分が無謀な行為をしているとはわかっていたが、親しい人が去ってしまうことが少年には耐えられなかった。
彼女が殺されてしまうかもしれない。
そう思った時には暴漢を追いかけていた。
やがて、暴漢たちは街外れにあるあばら家に入っていった。
恐る恐る朽ちた建物の窓から中を覗くと、彼女は口を塞がれ、服を剥ぎ取られていた。
抵抗する彼女を二人の男が押さえ込み、もう一人が彼女の柔肌を乱暴に楽しんでいる。
奴隷労働をしているせいで痩せてはいるが、人並みの食事は配給されていたため、彼女の身体はとても健康的な魅力を放っていた。
だから、暴漢に襲われるのも無理はなかった。
整った顔立ち、胸も大きめで、汚れて伸びきった薄い服を着ていた。
そんな姿をしていれば、男たちの性欲を掻き立ててしまうのも無理はないだろう。
それでいて、貧民の出で孤児となれば、いつかはこうなる運命にあったといえる。
彼女は暴漢の腕を払おうと必死になって抵抗していた。
大声で助けを呼びたくても、口を塞がれていて大した声量にはならない。
やがて、暴漢の一人が彼女の腹部を殴った。
すると、彼女は力が抜けたように抵抗をやめてしまう。
だらりと項垂れた彼女を見て、少年の心と体は彼女を助けるために動いてしまっていた。
屈強とは言い難い男たちだとはいえ、少年一人で三人の男をどうにかできるはずもない。
しかし、そんなことを考えるまでもなく、気づけばガンガンと扉を叩いていた。
「なにをしている! 先ほど少女が連れ去られたと通報を受けた。大人しく出でこい!」
それっぽく兵士の真似をして暴漢たちを追い払おうとした。
とっさの判断にしては、少年ができる最善の策だっただろう。
少年の声に気づいたのか家の中の騒音は消えた。
しかし、暴漢たちが逃げ出すような雰囲気はなく、間もなく扉が開いてしまう。
「へへっ、ガキが。そんな可愛らしい声で騙せるとでも思ったのか?」
下卑た男が少年を見下ろす。
固まって動けないでいた少年は、あっさりと捕まってしまった。
そのまま男の腕に引きずられて少女の前まで連れ行かれる。
「馬鹿なガキがナイト気取りとは笑えるなぁ」
ランプの光が項垂れる彼女と、それを押さえている男たちを照らしていた。
「あははは! よかったなガキ! 女の裸を拝めて! ほらほら、こんなにおっきな胸だと興奮するだろう?」
そう言って、暴漢の一人が少年に見せつけるように彼女の胸を揉みしだいた。
しかし、彼女は項垂れたまま動かない。
「ライラお姉ちゃん!」
少年は不安になって、思わず彼女の名前を叫んでしまう。
その声に気づき、彼女はパッと顔を上げた。
その時の彼女の表情は、少年の心にいつまでも消えない傷跡を残すことになる。
優しく、いつも笑顔だった彼女が見せたのは、とても悲しそうで、とても必死な顔だった。
「んー!! んん!! んんんー!!」
彼女は少年を見てまたもや暴れ出す。
「はは! そうか、姉ちゃんだったか、こりゃあいい。おまえはじっくりここで見ているんだな、姉ちゃんが犯されるところなんて滅多に見られるもんじゃないぜ!」
男は嬉しそうに笑い、少年の腹部を殴ると、床に押さえつけた。
「んーん!! んんん! んー!」
ますます暴れ出す彼女を、男たちはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて眺めていた。
「ククク、こりゃ傑作だな。お前たち、きっちり見せつけてやれ!」
「へへ、たまんねぇな、おい。俺たちが先でいいのかい?」
「ああ、くれてやるよ。どうせ、こいつがいればいつでもその女は俺たちの相手をしてくれるだろうからな」
「うは! なるほどな! 最高じゃねぇか! こんな上玉を毎日堪能できるなんて嬉しいねぇ」
男は彼女に顔を近づけて首筋を舐めた。
彼女は必死に抵抗するが、力の差は開き過ぎていた。
少年は見ていることしかできない。
嫌がる彼女を救う力など、少年は持ち合わせていなかった。
彼女はバタバタと足を動かし、体をひねり、必死に抵抗している。
どんなときでも笑顔で接してくれた優しい彼女が、酷く荒んだ表情で泣いている。
憧れだった、強く、優しい心を持った彼女が、醜悪な男たちに壊されようとしていた。
少年も必死に体を動かそうとするのだが、押さえつけられた足も腕も微動だにしなかった。
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そう、強く、強く願った。
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