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北の大陸蹂躙
ムファム見聞録 絶世の美女の透き通った愛
「ん……っはぁ……ダメ。恥ずかしいから」
横から微かに聞こえてくる脳裏を刺激する声。
全身を露わにして叫ぶ御婦人がそこにいるはずなのに、そんなものとは比べ物にならないほど官能的な声だった。
魔王が連れている御婦人は、二人とも今まで見たことないような絶世の美女で、迫られてしまえば骨の髄まで貢いでしまいそうなほどに狂おしい。
もし妻とすることができたなら、なんの根拠もない自信に満ち溢れ、男としての格が上がったと勘違いを起こすことだろう。
近くにいるだけでも、今まで築き上げてきたものを放り出し、人生の崩壊を招きかねない妖艶さを放っている。
彼女たちが魔王のそばにいなければ、とっくに間違いを犯していたと思う。
しかし、その魔性を持ってしても、魔王の存在は恐怖に満ち溢れ、気の迷いなど今の今まで起きはしなかった。
それが、異性であることを強く感じてしまった今、歯止めが効かなくなった狂人のように死と引き換えの背徳的な感情に惑わされてしまっている。
魔王はヘレさんにイタズラでもしているのだろうか?
非常に気になって仕方ないのだが、ここで振り向くわけにはいかない。
もし、万が一ヘレさんの素肌を見てしまったら、取り返しのつかない事態に陥ってしまうかも知れないからだ。
それにしても、艶のある声だけが聞こえただけなのに、目の前の御婦人のことなどどうでもよくなるほどに意識が歪み、振り向きたいという欲望に駆られてしまっている。
なにせ、あの美しいヘレさんがすぐ横で淫らな行為をしているかも知れないのだ。
可憐で、美しく、この世に生まれてきた男なら間違いなく恋に落ちるだろう性格の良さも相まって、高嶺の花というには遠過ぎるほどに次元の違う気高さを持ち合わせた完璧な理想像。
当たり前のように魔王の行いを是とし、しおらしく持ち上げる様は、世の男どもが囁かれれば、その者に根拠のない絶対的な自信を与え、たとえ道の先が崖だろうと飛び込まずにはいられないほどに脳を焼かれることだろう。
その浮世離れをした異性としての魅力は、普段でさえ妄想が膨らんでしまうのに、こんなにも色っぽい声を近くで聞かされてしまえば、罪深い思いに苛まれるのも必然だ。
国落とし? 残虐な蹂躙? 貴婦人暴行? 今までショックを受けてきた全てのことがどうでもよくなるほどに思考が掻き乱されていた。
「んっ……んん……っはぁ……ルーシェ、ダメです」
おかしい。
魔王は全てがおかしい。
そして、そんな魔王の行いを全力で聞き耳立てている私もおかしくなっている。
もう御婦人の叫び声が気にならないほど集中しっぱなしだ。
恥じらうヘレさんの吐息のような声を、拾い上げることにだけに意識を集中させれば、途端に世界は静まり返ったように気にならなくなるのだ。
魔王はヘレさんのどこに触れているのか?
腕か? 顔か? はたまた胸だろうか?
服が擦れて出す微かな音を頼りに魔王の手の行く末を探ってしまう。
「あれ? 魔王様は……」
女性職員の一人がそんなことを呟いた。
私は恐る恐る振り向き、魔王がいた場所を確認すれば、そこには誰もいなかった。
そして、部屋中を見渡しても魔王とヘレさんの姿はない。
「まずい! このままじゃ殺されてしまう!」
魔王と離れれば死が待っている。
ヘレさんの声に酔いしれている場合ではなかった。
私は急激な焦りのせいで、息が止まりそうなほど胸が締め付けられた。
「おい! 大丈夫だ、ここにいるから焦るな。少し休むだけだ。ただ、僕たちの休憩を見せるわけにはいかないから、そこの婦人でも見て待っていてくれ」
「あ……はい」
安堵と同時に湧き上がる欲情を抑えるのが大変だった。
しかしながら、ふしだらな感情を抱いていると、こんなにも簡単に心が切り替わってしまうことには驚いた。
恐怖、怒り、不安、悲しみ、といった負の感情は、押し寄せる色欲に飲みこまれてしまっている。
愛がその者の全てを救う物語は多く聞き及んできたが、このような形でその真意を理解することになるとは思わなかった。
まるで麻薬のように負の感情を押さえ込み、色欲に全ての感情を委ねてしまう。
愛は美しいものだと表現する物語は多いが、その真意が麻薬と同じ効果を持つものだと理解してしまえばいろいろな不都合が紐解ける。
なんとも背徳的な真実を着飾って教えられていたものだと感じた。
そんなまどろっこしい考えに耽っていると、ギシッっと音を立てて、御婦人の隣にあるベッドが沈んだ。
「んん! ダメです! 恥ずかしいです!」
「大丈夫、誰にも見えないようにしたから」
「んっ! あっ……んん!」
口付けを交わしているのだろうか?
ヘレさんの恥じらう口を塞ぎながら押し倒したのだろうと思う。ベッドと枕が沈んでいるのだから、そうなのだろう。
二人の姿は見えないが、その行為を主張するかのようにベッドは二人を形作り、二人の声がその沈んだベッドでの行いを証明する。
その光景を見ているだけで、ベッドが動く度に見えない魔王とヘレさんの姿を脳が補完してしまう。
「あっ……ダメ……んっ! んん!」
バサッという音ともに姿を表したのは、放り出されたヘレさんの服だ。
控えめなドレスのような服なのだが、装備品としての役割も一級品であろう機能と、美しさを両立させた高価な一品だった。
そのすぐ後に、柔らかな素材の下着が放られる。
ヘレさんが着ていた服が現れる度に、止められるない妄想のタカが外れていく。
目の前で沈むベッドの上で、間違いなくヘレさんが柔肌を晒しているのだ。
「ん! はぁ……はぁ……本当に……見えていないんですか?」
「僕が妻の裸を見せるわけないだろ?」
「はぁ……ん! わかりました……なら……安心です」
「ふふ……みんなを待たせてしまっているからね。少し早いがもういいかな?」
「んー、ダメです。ルーシェばっかりにさせるわけにはいきません。仰向けになってください」
「そうかい? わかったよ」
またベッドが激しく揺れ動く。
話の内容的に、二人の位置を交換しているのだろうか?
愛は確かめ合うものだと語るヘレさんの健気な思いに心を強く打たれた。
魔王に奉仕する姿を想像すれば、湧き上がった感情は沸点を超えて魂が抜けたように昇華し始める。
魔王がなぜ声を消さなかったのかはわからないが、揺れ動くベッドと二人の声を聞いて気にせずにいられる人がいるだろうか?
脳内が勝手に状況を映しだそうと、見えない何かを必死に作り上げるためにフル回転している。
「はむ……ん……ん……ん……どう……ですか?」
「ああ、気持ちいいよ。うまくなったな」
「えへへ……ん……ん……んんっ!! ダメ……です。ルーシェ、これじゃできなく……あっ……んん! あああ!」
魔王のために頑張っていたヘレさんが、急に声を張り上げた。
ヘレさんの可愛らしい声は一段高音になって快楽を告げている。
そんな艶かしい声が響く度に胸の奥が驚くほど締め上げられ、キュッと痛みを残していく。
「ふふふ、そんなに焦らなくても、もっと時間が取れる時にゆっくり楽しませてもらうよ」
「んん! んんん!! っはぁ……っはぁ……ルーシェ、もう、私……」
「ああ、わかってる」
二人はまた位置を変えたのだろう、ベッドが揺れ動き、ギシギシと沈み込んだ。
「じゃあ、いくよ」
「はい……いつでも……あぁ……ん……んん……んんん!」
ベッドの軋み音が緩やかにリズムを刻み始める。
シーツが手で握られたようにギュッと皺を寄せていた。
ギシ……ギシ……ギシ……と、優しく行われているそれを音とベッドの沈みだけが脳裏に補完情報を伝える。
見えてはいないはずの二人が脳内でまぐわう。
柔肌を晒した淫らなヘレさんに、魔王が覆いかぶさる姿が容易に想像できた。
考えてはいけないなんてことは、もうどこかへと行ってしまい、脳内ではすでにヘレさんの柔らかくきめ細やかな白い素肌が映し出されていた。
フローテさんには劣るが、十分な大きさの胸、小柄で線の細い身体は抱きしめる度にその軽さに驚くことだろう。
そして、あの可愛らしい声は、耳元で囁かれれば全てを忘れさせるように脳を焼かれ、秘部に手をかけた時のよがる姿は、その美貌によって萎縮した男の自信を強烈に刺激するはずだ。
そして今は、魔王を受け入れ、秘部を押し拡げる快楽を堪能している。
「あぁ……んん! あっ! あっ! ダメ、もう……お願い……ルーシェ、もっと近くに」
「わかった」
「ん……ルーシェ……ルーシェ……大好き……私、んっ、っはぁ……んんん!」
緩やかなリズムから一変して、激しく、早くなるきしむ音。
見えない……見えないのだが、まるでそこにいるかのように幻覚を脳が映し出す。
しかし、間違いなくそこにいるのだ。見えないだけで、そこには裸のヘレさんが魔王と愛を交わしている。
もう隣で叫び散らす哀れな人間など存在しないかのように、鮮明に二人の声だけを脳が拾っていた。
「あっ……ん! んんん!! イっちゃう、イっちゃうよ! ん、んんんん!! あぁぁああ!!」
頂点に達したヘレさんが喜びを叫んだ。
それと同時に枕が深く沈み込む。
ベッドのきしみ音は小刻みなものへと変わり、時折、枕元が跳ねるように上下する。
そんな、絶頂の余韻を楽しむかのように、呼吸の荒いヘレさんの吐息が漏れ、やがて、ベッドのきしむ音は消え失せる。
そして私も、脳内に分泌された麻薬が途切れたころ、煩わしい叫び声が心地よい快感を不快なものへと変える。
この部屋に入るまで感じていた恐怖も、懸命によりどころを探していた正義も、今となってはどうでもよかった。
そんな自分の感情の変化に耐えられず、気味の悪い笑みが込み上げてくる。
もう、なにもかも、どうでもいいといった気持ちが、私の陰鬱な心を要らない物のように閉ざしていった。
横から微かに聞こえてくる脳裏を刺激する声。
全身を露わにして叫ぶ御婦人がそこにいるはずなのに、そんなものとは比べ物にならないほど官能的な声だった。
魔王が連れている御婦人は、二人とも今まで見たことないような絶世の美女で、迫られてしまえば骨の髄まで貢いでしまいそうなほどに狂おしい。
もし妻とすることができたなら、なんの根拠もない自信に満ち溢れ、男としての格が上がったと勘違いを起こすことだろう。
近くにいるだけでも、今まで築き上げてきたものを放り出し、人生の崩壊を招きかねない妖艶さを放っている。
彼女たちが魔王のそばにいなければ、とっくに間違いを犯していたと思う。
しかし、その魔性を持ってしても、魔王の存在は恐怖に満ち溢れ、気の迷いなど今の今まで起きはしなかった。
それが、異性であることを強く感じてしまった今、歯止めが効かなくなった狂人のように死と引き換えの背徳的な感情に惑わされてしまっている。
魔王はヘレさんにイタズラでもしているのだろうか?
非常に気になって仕方ないのだが、ここで振り向くわけにはいかない。
もし、万が一ヘレさんの素肌を見てしまったら、取り返しのつかない事態に陥ってしまうかも知れないからだ。
それにしても、艶のある声だけが聞こえただけなのに、目の前の御婦人のことなどどうでもよくなるほどに意識が歪み、振り向きたいという欲望に駆られてしまっている。
なにせ、あの美しいヘレさんがすぐ横で淫らな行為をしているかも知れないのだ。
可憐で、美しく、この世に生まれてきた男なら間違いなく恋に落ちるだろう性格の良さも相まって、高嶺の花というには遠過ぎるほどに次元の違う気高さを持ち合わせた完璧な理想像。
当たり前のように魔王の行いを是とし、しおらしく持ち上げる様は、世の男どもが囁かれれば、その者に根拠のない絶対的な自信を与え、たとえ道の先が崖だろうと飛び込まずにはいられないほどに脳を焼かれることだろう。
その浮世離れをした異性としての魅力は、普段でさえ妄想が膨らんでしまうのに、こんなにも色っぽい声を近くで聞かされてしまえば、罪深い思いに苛まれるのも必然だ。
国落とし? 残虐な蹂躙? 貴婦人暴行? 今までショックを受けてきた全てのことがどうでもよくなるほどに思考が掻き乱されていた。
「んっ……んん……っはぁ……ルーシェ、ダメです」
おかしい。
魔王は全てがおかしい。
そして、そんな魔王の行いを全力で聞き耳立てている私もおかしくなっている。
もう御婦人の叫び声が気にならないほど集中しっぱなしだ。
恥じらうヘレさんの吐息のような声を、拾い上げることにだけに意識を集中させれば、途端に世界は静まり返ったように気にならなくなるのだ。
魔王はヘレさんのどこに触れているのか?
腕か? 顔か? はたまた胸だろうか?
服が擦れて出す微かな音を頼りに魔王の手の行く末を探ってしまう。
「あれ? 魔王様は……」
女性職員の一人がそんなことを呟いた。
私は恐る恐る振り向き、魔王がいた場所を確認すれば、そこには誰もいなかった。
そして、部屋中を見渡しても魔王とヘレさんの姿はない。
「まずい! このままじゃ殺されてしまう!」
魔王と離れれば死が待っている。
ヘレさんの声に酔いしれている場合ではなかった。
私は急激な焦りのせいで、息が止まりそうなほど胸が締め付けられた。
「おい! 大丈夫だ、ここにいるから焦るな。少し休むだけだ。ただ、僕たちの休憩を見せるわけにはいかないから、そこの婦人でも見て待っていてくれ」
「あ……はい」
安堵と同時に湧き上がる欲情を抑えるのが大変だった。
しかしながら、ふしだらな感情を抱いていると、こんなにも簡単に心が切り替わってしまうことには驚いた。
恐怖、怒り、不安、悲しみ、といった負の感情は、押し寄せる色欲に飲みこまれてしまっている。
愛がその者の全てを救う物語は多く聞き及んできたが、このような形でその真意を理解することになるとは思わなかった。
まるで麻薬のように負の感情を押さえ込み、色欲に全ての感情を委ねてしまう。
愛は美しいものだと表現する物語は多いが、その真意が麻薬と同じ効果を持つものだと理解してしまえばいろいろな不都合が紐解ける。
なんとも背徳的な真実を着飾って教えられていたものだと感じた。
そんなまどろっこしい考えに耽っていると、ギシッっと音を立てて、御婦人の隣にあるベッドが沈んだ。
「んん! ダメです! 恥ずかしいです!」
「大丈夫、誰にも見えないようにしたから」
「んっ! あっ……んん!」
口付けを交わしているのだろうか?
ヘレさんの恥じらう口を塞ぎながら押し倒したのだろうと思う。ベッドと枕が沈んでいるのだから、そうなのだろう。
二人の姿は見えないが、その行為を主張するかのようにベッドは二人を形作り、二人の声がその沈んだベッドでの行いを証明する。
その光景を見ているだけで、ベッドが動く度に見えない魔王とヘレさんの姿を脳が補完してしまう。
「あっ……ダメ……んっ! んん!」
バサッという音ともに姿を表したのは、放り出されたヘレさんの服だ。
控えめなドレスのような服なのだが、装備品としての役割も一級品であろう機能と、美しさを両立させた高価な一品だった。
そのすぐ後に、柔らかな素材の下着が放られる。
ヘレさんが着ていた服が現れる度に、止められるない妄想のタカが外れていく。
目の前で沈むベッドの上で、間違いなくヘレさんが柔肌を晒しているのだ。
「ん! はぁ……はぁ……本当に……見えていないんですか?」
「僕が妻の裸を見せるわけないだろ?」
「はぁ……ん! わかりました……なら……安心です」
「ふふ……みんなを待たせてしまっているからね。少し早いがもういいかな?」
「んー、ダメです。ルーシェばっかりにさせるわけにはいきません。仰向けになってください」
「そうかい? わかったよ」
またベッドが激しく揺れ動く。
話の内容的に、二人の位置を交換しているのだろうか?
愛は確かめ合うものだと語るヘレさんの健気な思いに心を強く打たれた。
魔王に奉仕する姿を想像すれば、湧き上がった感情は沸点を超えて魂が抜けたように昇華し始める。
魔王がなぜ声を消さなかったのかはわからないが、揺れ動くベッドと二人の声を聞いて気にせずにいられる人がいるだろうか?
脳内が勝手に状況を映しだそうと、見えない何かを必死に作り上げるためにフル回転している。
「はむ……ん……ん……ん……どう……ですか?」
「ああ、気持ちいいよ。うまくなったな」
「えへへ……ん……ん……んんっ!! ダメ……です。ルーシェ、これじゃできなく……あっ……んん! あああ!」
魔王のために頑張っていたヘレさんが、急に声を張り上げた。
ヘレさんの可愛らしい声は一段高音になって快楽を告げている。
そんな艶かしい声が響く度に胸の奥が驚くほど締め上げられ、キュッと痛みを残していく。
「ふふふ、そんなに焦らなくても、もっと時間が取れる時にゆっくり楽しませてもらうよ」
「んん! んんん!! っはぁ……っはぁ……ルーシェ、もう、私……」
「ああ、わかってる」
二人はまた位置を変えたのだろう、ベッドが揺れ動き、ギシギシと沈み込んだ。
「じゃあ、いくよ」
「はい……いつでも……あぁ……ん……んん……んんん!」
ベッドの軋み音が緩やかにリズムを刻み始める。
シーツが手で握られたようにギュッと皺を寄せていた。
ギシ……ギシ……ギシ……と、優しく行われているそれを音とベッドの沈みだけが脳裏に補完情報を伝える。
見えてはいないはずの二人が脳内でまぐわう。
柔肌を晒した淫らなヘレさんに、魔王が覆いかぶさる姿が容易に想像できた。
考えてはいけないなんてことは、もうどこかへと行ってしまい、脳内ではすでにヘレさんの柔らかくきめ細やかな白い素肌が映し出されていた。
フローテさんには劣るが、十分な大きさの胸、小柄で線の細い身体は抱きしめる度にその軽さに驚くことだろう。
そして、あの可愛らしい声は、耳元で囁かれれば全てを忘れさせるように脳を焼かれ、秘部に手をかけた時のよがる姿は、その美貌によって萎縮した男の自信を強烈に刺激するはずだ。
そして今は、魔王を受け入れ、秘部を押し拡げる快楽を堪能している。
「あぁ……んん! あっ! あっ! ダメ、もう……お願い……ルーシェ、もっと近くに」
「わかった」
「ん……ルーシェ……ルーシェ……大好き……私、んっ、っはぁ……んんん!」
緩やかなリズムから一変して、激しく、早くなるきしむ音。
見えない……見えないのだが、まるでそこにいるかのように幻覚を脳が映し出す。
しかし、間違いなくそこにいるのだ。見えないだけで、そこには裸のヘレさんが魔王と愛を交わしている。
もう隣で叫び散らす哀れな人間など存在しないかのように、鮮明に二人の声だけを脳が拾っていた。
「あっ……ん! んんん!! イっちゃう、イっちゃうよ! ん、んんんん!! あぁぁああ!!」
頂点に達したヘレさんが喜びを叫んだ。
それと同時に枕が深く沈み込む。
ベッドのきしみ音は小刻みなものへと変わり、時折、枕元が跳ねるように上下する。
そんな、絶頂の余韻を楽しむかのように、呼吸の荒いヘレさんの吐息が漏れ、やがて、ベッドのきしむ音は消え失せる。
そして私も、脳内に分泌された麻薬が途切れたころ、煩わしい叫び声が心地よい快感を不快なものへと変える。
この部屋に入るまで感じていた恐怖も、懸命によりどころを探していた正義も、今となってはどうでもよかった。
そんな自分の感情の変化に耐えられず、気味の悪い笑みが込み上げてくる。
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