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第二章
嵐の前の静けさ
しおりを挟む「アリス様~! こんにちは!」
アリス様の部屋の扉をノックするとアリス様の侍女が扉を開け、どうぞと招き入れてくれた。
「ヴァイオレット!!」
アリス様はわたしを見た瞬間顔を輝かせた。
天使を思わせる白いドレスを纏っていて
とても美しい。
「お待ちしておりましたわ!
紅茶に『エリーゼ』のクッキーも取り寄せました
さあ、お茶会を始めましょう?」
テーブルの上に所狭しと並べられた
色々な形のクッキー!
どれも美味しそう!
あの日以降、アリス様は何故かわたしに
異常になついてしまった。
なんでか自分でもわからないけど。
今日はアリス様に教えてもらいたいことがあって
大公爵邸にお邪魔している。
「あの、わたしもいるのですが……」
フロルちゃんが控えめに声を上げる。
「えっ! ヴァイオレット!!
なぜフロルも呼びましたの?
今日は2人でデートのはずでしょう?」
アリス様は寂しそうにわたしを見つめた。
かわいい!!
「でも2人より3人の方が楽しいじゃないですか」
「でも……。分かりました。
ヴァイオレットの意思を尊重しますわ」
アリス様……随分とキャラ変しましたね……。
アリス様に勧められて
フカフカのソファに座る。
「それで、わたくしに聞きたいこととは
何なのですか?」
優雅に薔薇の花の模様が施された
ティーカップを持つアリス様。
まるで絵画のよう。
「実は……最近カイルからの手紙が来ないんです。
ちょっと、ほんの少しですけど心配になって……」
そう。
魔力暴走を起こしたことをきっかけに
わたしとカイルは手紙を
やりとりするようになった。
最初はもう体は大丈夫か?っていう
手紙だったんだけど主にウチの家族のことや最近読ん だ本とか他愛のない話をするようになった。
カイルから手紙が来るたびお父様は
怪獣のようになっているけど。
「ヴァイオレットはカイル殿下のことが
好きなのですか?」
「えっ!?」
何でそういうことになる!?
「ち、違いますよ! 友達だから
心配してるんですっ!!」
「友達だから……ねぇ」
フロルちゃんが意味ありげに口元に笑みを浮かべる。
「なんで信じてくれないのぉ」
するとアリス様がわたしの手を握り微笑んだ。
「わたくしは信じておりますわ。
だって、ヴァイオレットが他の男のものになるなんて
考えられませんもの。
ヴァイオレットはわたくしのものですわ。
たとえカイル殿下が相手であろうと渡せません」
微笑みをたたえながらヤンデレ発言をする
アリス様に恐怖を覚える。
見かけは天使、心は……。
「とにかく!
アリス様、何か知りませんか?」
アリス様はハッと我に返るとうーんと唸った。
「そうですわね、わたくしは何も……」
「そうですか……」
「レティちゃん、心配しなくてもすぐ手紙くるよ!」
「そうですよ。カイル殿下は魔法にも
長けていますから何かあったとしても魔法で
何とかするでしょうし」
うーん……。
それもそっか。
「そうだよね。カイルなら大丈夫だよね」
わたしはクッキーを齧り、笑みを浮かべた。
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