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第二章
ヴァイオレット、聖女になる
しおりを挟む「ヴァイオレット!??」
お父様が目を見開き、
お母様も動揺しているかのように瞳を揺るがせた。
「お姉様?」
異変を感じたのか、
ヴェルデがわたしのワンピースの裾をギュッと握る。
イリスも心配そうにわたしを見つめていた。
「みんな、大丈夫だよ。
会えなくなったとしても、わたし達は
家族です。向こうに着いたら手紙を送ります。
きっといつか会えるとわたしは信じてる。
その時まで会えなくなるってだけです」
笑顔を浮かべてみせるけど
本当はみんなと離れたくなかった。
けどわたしはもう大切な人を失いたくないから。
「ヴァイオレット!! ダメだ!!
お父様がなんとかするから、
教会に行くのはやめなさい!!」
「アルフレッドの言う通りよ!
教会に入れば結婚もできなくなるのよ!?」
「お姉様、お願いですから
そんなこと言わないでください!」
「お姉様がいなくなったら寂しいよ……」
みんな……。
ごめんなさい。
わたしはゆっくりと頭を横に振り
安心させるように笑った。
「もう決めたんです。
わたしが聖女となれば丸く収まる。
何も死ぬわけじゃないんですから大丈夫ですよ」
「だがっ……!!」
「ヴァイオレット嬢、感謝する。
それでは早速教会へと向かおう」
アンガス教皇が満足げに微笑み、
わたしに部屋を出るように促す。
「みんな、元気でね」
こうして、わたしは生まれ育った家を後にした。
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