今日から私はあなたの妹

藤川みはな

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あたしが今日からママよ

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ガチャ

玄関の扉が開き入ってきたのは
髪を金髪に染め赤い口紅を引いた女性。

インターフォンも押さずに何?

私は眉根を寄せた。

「いきなり入ってくるなんて何なんです?」
お父さんが険しい顔で言う。

「待ってくれよ美鈴」
女性の後から入ってきたのはお兄ちゃんの
お父さんだ。

「凛也、あたしが今日からママよ」

にっこり笑う美鈴と呼ばれた女性。

「え?」

思わずこぼれた。

「何を言ってるんです。この子の
母親はここにいます」

お父さんが言うとお母さんを一瞥した美鈴さんは
鼻で笑った。

「ハッ、こんな貧相な女に凛也の母親は
できないわよ」

「何を言ってるんですか!そんなこと言うなら帰って下さい!!」

苛立って声を上げると美鈴は
「あーもう、うるさいわね、わかったわよ、
要件だけ伝えるわ。」

「凛也、あたしと一緒に来て」

お兄ちゃんは美鈴を睨みつける。

「父さんの浮気相手と一緒に暮らすなんて
吐き気がする。断ります」

すると美鈴は勢い良くお兄ちゃんのほおを平手打ちした。
「「なんてことをするんだ
           の」」
お母さんとお父さんの声が響く。

「お兄ちゃんに何するの!!」

私はお兄ちゃんと美鈴の間に割って入り
美鈴を睨みつけた。

「これも躾よ、母親に対してその言い草はないでしょう?」

なんなんだ、この人は。

「そうだ、凛也、母親に対してその言い方は
ダメだぞ」

カチンとした。

「だからって叩くなんてどうかしてる。
あなたこそ、父親としてどうなんですか?」

私は思わず言葉を発する。

「え?」

「父親だというのに浮気して、あげく結婚まで。
恥ずかしいと思わないんですか?お兄ちゃんがどれだけ辛い思いをしたと思ってるの??」

だからお兄ちゃんは人を信じられなく
なってたんだよ。

「茉莉花」

お兄ちゃんが、心配そうに私を見つめている。

私は大丈夫だよ、お兄ちゃん。

「そ、それは」

お兄ちゃんのお父さんは言葉に詰まる。

「父さん、僕ここでの生活がすごく幸せだ。
だから父さんとは暮らせない。浮気したことは
許せないけど、この話はこれで終わりにしよう」

お兄ちゃんが儚げに微笑む。

お兄ちゃんは優しすぎるよ!
もっと、ガツンと言ってもいいのに。

「ごめんな」

お兄ちゃんのお父さんが悲しそうな顔を見せ
立ち上がった。

「美鈴、帰ろう」
「えー、もうちょっと楽しみたかったのにな」
美鈴が猫撫で声を出して玄関に向かう。

お兄ちゃんのお父さんはお兄ちゃんをジッと見つめ
それから視線を逸らし玄関を出た。



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