半透明の彼女

藤川みはな

文字の大きさ
上 下
3 / 5

幸せな時間

しおりを挟む


「あのときの告白の返事、今、していいかな?」
理人くんが真剣な顔になる。

そう言われて急にドキドキしてきた。

「うん」

わたしが頷くと理人くんは口を開いた。

「僕も美花ちゃんが好きです。付き合ってください。」

嬉しくて涙がこぼれそうだった。

わたしは「はい!」と答えたのだった。



         ◯◯◯

それからわたしたちは恋人同士になり、
毎日のように、理人くんの部屋でゲームをしたり
小説を書いたりしていた。

さすがにデートしたらヤバい。

「理人くんの小説、面白いね!」

読ませてもらった理人くんの小説は恋愛もので
掛け合いがユーモアに溢れていて、
とても面白かった。

「ありがとう」

照れ臭そうに笑う理人くんにキュンとする。

かわいいっ!

「美花ちゃんの小説も面白いよ」

理人くんはわたしが書いた小説の原稿を
ペラペラとめくる。
わたしが書いたのは異世界ファンタジーだ。
「特に、主人公の親友が黒幕だったのが
意外だったよ」

「えへへ、ありがとう」
照れていると、理人くんはわたしの指先を見つめ
固まった。

「どうしたの?」
そう言いながら手元を見ると指先が
半透明になっていた。

えっ?

瞬きをすると指先は元の肌色に戻っていた。

「な、なんだったんだろ……」

わたしは苦笑いを浮かべた。
不安が募る。
消えちゃうなんてことないよね?

「まさか、もうすぐ成仏」

理人くんが不安そうに言いかけた。

だけど、すぐはっとなり、「なんでもない」と
寂しそうな笑顔を見せた。

わたしは不安を覚えつつも笑顔を返したのだった。














しおりを挟む

処理中です...