4 / 5
わたしが消えても
しおりを挟むそれから、日が経つにつれ
わたしの肌は半透明になっていった。
もう元には戻らない。
理人くんも言いかけていたけど、きっとわたしは
もうすぐ成仏してしまうだろう。
重い沈黙が流れる中、わたしは
理人くんの手を握りしめた。
「理人くん」
理人くんが顔を上げた。
「もし、もしね、わたしが消えちゃっても
落ち込まないでね。わたしはずっと理人くんだけを見てるから。」
理人くんが悲しみを表情に浮かばせる。
「そんなこと、言わないでよ、美花ちゃんは僕とずっと一緒にいるんだ。消えるなんて言わないでよ」
でもね、理人くん、わたし気づいたんだ。
理人くんと楽しい時間を過ごしていくと
わたしの体は半透明になっていく。
つまり、この世に未練がなくなった
っていうことになる。
これ以上、幸せを感じると成仏しちゃう。
「わたしだって理人くんと同じ瞬間を過ごしたかったよ。でも、仕方ないの。わたしは死者で理人くんは生者、ずっと一緒に過ごすことはできないんだよ。」
言いながら、悲しくなって涙がこぼれる。
「だから、理人くん、最後にデートしよう」
わたしはにっこり笑った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる