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第12話 ブルーポーション改
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ヴァルハラは、すっかり眠ってしまった。
仕方なく、俺は彼女を背負った。
おんぶして帰ることになるとはな。
まるで妹みたいな扱いになってきた。
自宅の付近まで来ると、道の向こうから一人の若い女性がやってきた。格好からして魔法職の冒険者かな。
「あ、あの……あなたがカイリさんですよね!?」
「は、はい。慌ててどうしましたか」
「それが……ブルーポーションが全く手に入らなくて、魔力が回復できなくて困っているんです」
そういえば、宮廷錬金術師のフォーマルハウトがブルーハーブを買い占めているんだっけ。
でも待てよ。
ヴァルハラは、フォーマルハウトが行方不明だと言っていた。
おかしい……所在不明なら、ブルーハーブを買い占めているのは誰なんだ?
いや、今はこちらの対応が先だ。
「明日には俺が販売できるかと思います。それまでお待ち頂ければ」
「本当ですか! やっぱり今頼れる錬金術師は、カイリさんだけです。応援していますので、がんばってください!」
可愛い女性から手を握られ、しかも応援されて俺は嬉しかった。やる気も超アップした。まさかこうして頼られるようになるなんて……挫折しなくて良かった。
女性は笑顔で去って行く。
……がんばらなきゃ。
あの人の為にも。
* * *
家に戻ると母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、カイリ」
「あれ、父さんは?」
「出かけているわ。そのうち帰ってくると思う。……あら、その背中の子」
母さんはヴァルハラの存在に気付いた。
本当のことを話すわけにもいかないので、俺は“迷子”だと言った。
「――というわけなんだ、しばらく家で保護してやれないかな」
「そう、それは大変ね。分かったわ、家へ上げなさい」
良かった。深くは聞かれなかった。
俺はヴァルハラを背負ったまま自室へ向かう。
ベッドへ寝かせた。
スヤスヤ眠って疲れていたのだろうな。
魔力も使ったみたいだし。
……さて、俺はポーション製造へ向かう。
テーブルへ向かい、さっそく今日採集した『ブルーハーブ』を並べていく。138個も手に入ったんだ。失敗さえなければ100個以上はブルーポーションに出来る。
B級錬金術師の俺の今の製造成功率は60~70%というところ。
だけど『全種類ポーション製造』が成功率を引き上げてくれるようで、それほど失敗はない。
あくまで体感だけど80%は超えているはずだ。
よし、作るぞ。
必要な材料をテーブルの上に揃え、俺はスキルを発動。
ポワポワと蒼白い不思議な光に包まれ、ポーションは調合されていく。ブルーハーブとポーション瓶など溶け合わさり、それはやがて『ブルーポーション改』となった。
レッドポーション改の魔力回復版だ。
製造できた個数は――
ブルーポーション改:109個
悪くはない結果になった。
試しに一個手に取り、匂いを確認した。
うん、ラベンダーのような良い香りだ。
味はどうだろうか。
試しに一口飲んでみる。
「……おぉ、うめぇ」
甘い紅茶のような風味だ。
これなら高く売れる。
効果の良さや重量からして1個、10,000ベルってところかな。
109個が全て売れるとすれば、1,090,000ベルとなる。
小金持ちになれるな!
明日に備えて、そろそろ寝るか。
* * *
翌朝。
起きるとヴァルハラは猫に戻っていた。
「おはようございます、カイリさん」
「おはよ。もう人間タイムは終了か」
「はい。基本的には猫でいる方がいいのです」
「分かった。今日はブルーポーションを売りにいく」
「おぉ、完成したのですね!!」
「ああ、109個もできた。成功率としては上々だ」
「素晴らしいです! カイリ様のレベルもアップしているようですね」
「そういうわけだ。今日は露店をする」
「もちろん付き合いますとも」
ヴァルハラを頭に乗せ、俺はリビングへ向かった。
中へ入ると父さんはまだいなかった。
「おはよう、母さん」
「おはよう、カイリ。父さんだけどね、しばらく帰ってこれないみたい」
「なにがあったんだ?」
「さあ……父さんの仕事はよく分からないの。でも、必ず帰ってくるって言っていたから大丈夫よ」
母さんはちょっと心配そうだ。
う~ん、露店がてら父さんを探してみるか。
「分かった。今日俺とヴァルハラは露店へ行く」
「あら、あの女の子は?」
「ああ、大丈夫だよ。あの女の子はさっき帰った。また遊びに来るってさ」
「そうなの。良かったわ」
俺は母さんの作ってくれた朝食をいただき、腹を満たしたところで出掛けた。
「じゃあ、行ってくるよ」
「気を付けてね」
手を振って別れ、俺は露店街を目指した。
少し歩けば見えてきた。
けど、ちょっと様子が変だな。
「おはようございます、バズさん。どうしたんです?」
「やあ、カイリ。いやぁ……それがね、大手ギルド『アルゲバル』のギルドマスター・リゲルが宮廷錬金術を探し回っているようでな。そんなのはこの露店街にいないと言っても聞かないんだ」
「確か城にいるとか、行方不明だとか聞いたけど」
「そうだ。だから、ここは関係ない。でも、リゲルはここにいると聞かないんだ」
「分かった。錬金術師である俺が聞いてみるよ」
「頼む、カイリ」
奥へ進むと、青髪の青年がいた。
あれがリゲルか。
……って、その前で膝をついているのはウィルソンじゃないか! 血を流し、大ケガを負っていた。
「おい、ウィルソン!!」
「……へっ、やっと来たか。親友」
「な、なにがあった!!」
「後は任せた……ぞ」
ばたっとウィルソンは倒れた。
……許せない。
ウィルソンをこんな目に遭わせたリゲルを。
俺は――!
仕方なく、俺は彼女を背負った。
おんぶして帰ることになるとはな。
まるで妹みたいな扱いになってきた。
自宅の付近まで来ると、道の向こうから一人の若い女性がやってきた。格好からして魔法職の冒険者かな。
「あ、あの……あなたがカイリさんですよね!?」
「は、はい。慌ててどうしましたか」
「それが……ブルーポーションが全く手に入らなくて、魔力が回復できなくて困っているんです」
そういえば、宮廷錬金術師のフォーマルハウトがブルーハーブを買い占めているんだっけ。
でも待てよ。
ヴァルハラは、フォーマルハウトが行方不明だと言っていた。
おかしい……所在不明なら、ブルーハーブを買い占めているのは誰なんだ?
いや、今はこちらの対応が先だ。
「明日には俺が販売できるかと思います。それまでお待ち頂ければ」
「本当ですか! やっぱり今頼れる錬金術師は、カイリさんだけです。応援していますので、がんばってください!」
可愛い女性から手を握られ、しかも応援されて俺は嬉しかった。やる気も超アップした。まさかこうして頼られるようになるなんて……挫折しなくて良かった。
女性は笑顔で去って行く。
……がんばらなきゃ。
あの人の為にも。
* * *
家に戻ると母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、カイリ」
「あれ、父さんは?」
「出かけているわ。そのうち帰ってくると思う。……あら、その背中の子」
母さんはヴァルハラの存在に気付いた。
本当のことを話すわけにもいかないので、俺は“迷子”だと言った。
「――というわけなんだ、しばらく家で保護してやれないかな」
「そう、それは大変ね。分かったわ、家へ上げなさい」
良かった。深くは聞かれなかった。
俺はヴァルハラを背負ったまま自室へ向かう。
ベッドへ寝かせた。
スヤスヤ眠って疲れていたのだろうな。
魔力も使ったみたいだし。
……さて、俺はポーション製造へ向かう。
テーブルへ向かい、さっそく今日採集した『ブルーハーブ』を並べていく。138個も手に入ったんだ。失敗さえなければ100個以上はブルーポーションに出来る。
B級錬金術師の俺の今の製造成功率は60~70%というところ。
だけど『全種類ポーション製造』が成功率を引き上げてくれるようで、それほど失敗はない。
あくまで体感だけど80%は超えているはずだ。
よし、作るぞ。
必要な材料をテーブルの上に揃え、俺はスキルを発動。
ポワポワと蒼白い不思議な光に包まれ、ポーションは調合されていく。ブルーハーブとポーション瓶など溶け合わさり、それはやがて『ブルーポーション改』となった。
レッドポーション改の魔力回復版だ。
製造できた個数は――
ブルーポーション改:109個
悪くはない結果になった。
試しに一個手に取り、匂いを確認した。
うん、ラベンダーのような良い香りだ。
味はどうだろうか。
試しに一口飲んでみる。
「……おぉ、うめぇ」
甘い紅茶のような風味だ。
これなら高く売れる。
効果の良さや重量からして1個、10,000ベルってところかな。
109個が全て売れるとすれば、1,090,000ベルとなる。
小金持ちになれるな!
明日に備えて、そろそろ寝るか。
* * *
翌朝。
起きるとヴァルハラは猫に戻っていた。
「おはようございます、カイリさん」
「おはよ。もう人間タイムは終了か」
「はい。基本的には猫でいる方がいいのです」
「分かった。今日はブルーポーションを売りにいく」
「おぉ、完成したのですね!!」
「ああ、109個もできた。成功率としては上々だ」
「素晴らしいです! カイリ様のレベルもアップしているようですね」
「そういうわけだ。今日は露店をする」
「もちろん付き合いますとも」
ヴァルハラを頭に乗せ、俺はリビングへ向かった。
中へ入ると父さんはまだいなかった。
「おはよう、母さん」
「おはよう、カイリ。父さんだけどね、しばらく帰ってこれないみたい」
「なにがあったんだ?」
「さあ……父さんの仕事はよく分からないの。でも、必ず帰ってくるって言っていたから大丈夫よ」
母さんはちょっと心配そうだ。
う~ん、露店がてら父さんを探してみるか。
「分かった。今日俺とヴァルハラは露店へ行く」
「あら、あの女の子は?」
「ああ、大丈夫だよ。あの女の子はさっき帰った。また遊びに来るってさ」
「そうなの。良かったわ」
俺は母さんの作ってくれた朝食をいただき、腹を満たしたところで出掛けた。
「じゃあ、行ってくるよ」
「気を付けてね」
手を振って別れ、俺は露店街を目指した。
少し歩けば見えてきた。
けど、ちょっと様子が変だな。
「おはようございます、バズさん。どうしたんです?」
「やあ、カイリ。いやぁ……それがね、大手ギルド『アルゲバル』のギルドマスター・リゲルが宮廷錬金術を探し回っているようでな。そんなのはこの露店街にいないと言っても聞かないんだ」
「確か城にいるとか、行方不明だとか聞いたけど」
「そうだ。だから、ここは関係ない。でも、リゲルはここにいると聞かないんだ」
「分かった。錬金術師である俺が聞いてみるよ」
「頼む、カイリ」
奥へ進むと、青髪の青年がいた。
あれがリゲルか。
……って、その前で膝をついているのはウィルソンじゃないか! 血を流し、大ケガを負っていた。
「おい、ウィルソン!!」
「……へっ、やっと来たか。親友」
「な、なにがあった!!」
「後は任せた……ぞ」
ばたっとウィルソンは倒れた。
……許せない。
ウィルソンをこんな目に遭わせたリゲルを。
俺は――!
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