闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗

文字の大きさ
20 / 43

第20話 はじまる予感

しおりを挟む
リランドの件もあり、俺はグレイスをデートに誘ってみた。
そもそも、ウィルソンから面倒を頼まれているし――なら、恋人役として接してみようと思った。

「そ、その……いいかな」
「まあ、嬉しいです! デートに誘っていただけるなんて……人生で初めてです」
「本当に? グレイスほど可愛い子なら、誘われるだろうに」
「いえ、兄さんが止めてしまうので」

へえ、あのウィルソンが。
過保護なんだな。
でも、そんなに妹思いのウィルソンが俺にはグレイスを任せてきた。これは信頼してくれている証拠なのかな。

「そっか。とりあえず、俺の普段のルーティンを見せようかな」
「それは名案です。あたし、カイリさんのことをもっと知りたいですから」

決まりだな。
そのまま家を出て、まずは露店街を目指した。

少し歩いてオルドリン商会のバズさんのところへ挨拶へ向かった。

建物の中へ入るとパイプタバコを吹かし、新聞を読むバズさんの姿があった。


「こんにちは、バズさん」
「おぉ、カイリじゃないか。……ん? そちらのお嬢さんは?」
「こちらはウィルソンの妹さん」

グレイスは一歩前へ出て、丁寧に頭を下げた。

「あたしはコンキスタドール社のグレイスと申します。兄がお世話になりました」
「ウィルソンの妹か! こりゃ、えらい美人だな。……って、コンキスタドール社!? おいおい、コンキスタドール社といえば宝石商で有名な」

「はい、主に宝石を取り扱っていますが、最近はレアアイテムの売買などの仲介もしております」

「ああ、知っている。この露店街でも宝石を売っているよな。まさか社長直々にやって来るとは驚いた。というか、カイリと知り合い!? どうなっているんだ」


バズさんから、説明しろという目線が送られる。こりゃ、きちんと話さないと帰してくれそうにないな。


「ウィルソンを助けたからですよ」
「……なるほど、言われてみればそうだ。カイリ、お前はあの“爆炎の錬金術師”を倒したそうだな」

「なんとかですね。かなり手強い相手だったけど」

「詳細は少ないが、かなり高位の錬金術師らしいな。それを倒すとは……カイリ、やるな。本当に宮廷錬金術師になれるかもな」

「俺はまだまだ……」
「謙遜、謙遜。応援しているよ、カイリ」
「ありがとうございます、バズさん。それじゃ、俺たちは露店を回りますね。それと露店を出したいんですけど」

「ああ、構わないよ。あの場所はもうカイリ専用の場所だ。好きに使え」

「本当ですか! 嬉しいです。では、また」


俺はバズさんに礼を言って商会を後にした。
外に出るとグレイスはこう言った。

「バズさん、良い人でしたね」
「ああ、ウィルソンを看てくれていたんだ」
「え……そうだったのですね。あたし、そうとは知らず。ちょっと、お礼を言ってきますね」

グレイスは、オルドリン商会へ戻っていった。
しっかりしているんだな。

ひとりになっている間、俺は腰掛けて頭の上のヴァルハラを降ろした。


「モフモフだな。少し撫でてみようかな――んぉ?」
「おはようございます、カイリさん」
「なんだ、起きていたのか」

目を覚ましていたヴァルハラは、俺の膝の上で毛繕いしていた。すっかり元気だな。

「商会を出たところで目を覚ましました。カイリさん、今はデート中です?」
「まあね。グレイスは健気で良い子だよ。ウィルソンの妹だし」
「へ~、あのウィルソンさんに妹さんが……あ、帰ってきましたよ」

ヴァルハラの言う通り、グレイスが戻ってきた。不思議そうな顔をして。

「あの……カイリさん、今猫ちゃんと話していませんでした?」

グレイスには本当のことを言うべきだな。彼女に嘘はつきたくない。

「うん、ヴァルハラは喋れる猫なんだ」
「ほ、本当ですか!?」

俺は喋って良いとヴァルハラに合図を送った。

「よろしくお願いします、グレイスさん」
「へ……本当に喋った! し、信じられません!」

グレイスは胸を押さえて驚いていた。どうやら、喋る猫と会うのは初めてのようだ。

「ヴァルハラは、俺の使い魔なんだ。ウィルソンもこのことは知っている」
「そんな秘密を教えてくださって、ありがとうございます」
「いいんだ。グレイスには俺のことを知って欲しいからね」
「……はいっ!」

嬉しそうに微笑むグレイスの表情に、俺は胸がドキドキした。……やば、これは本気で恋しちゃいそう。

そうして露店街へ向かった。

いつもの露店スペースへ向かうと、そこで事件は起きた。
……え、なんで?
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

とあるギルド員の事件簿Aランクパーティーを追放されたとやって来た赤魔道士の少年が実は凄腕だった件について~

東稔 雨紗霧
ファンタジー
 冒険者ギルドでカウンター業務をしていたトドロキの元へAランクパーティを追放されたと言う少年が「一人でも受けられるクエストはありますか?」とやって来た。  込み入った事情がありそうだと判断したトドロキは一先ず個室へと案内して詳しい話を聞いてみる事に。

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

処理中です...