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第21話 さようなら、元ギルマス
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驚いた……そこには元フェンリルのギルドマスター・ベケットがいた。
「よう、カイリ!! 待っていたぞ!!」
額に青筋を立てて、音が鳴りそうなほどビキビキしていた。……怒ってるようだけど、服がボロボロだし、手足の皮膚もズタズタだ。臭いも酷い……不衛生極まりない状態になっていた。
「ベケット。お前はあの森……ヒッパルコスで撃退したはず」
「死にはしなかった! 命ある限り、僕はお前を許さない!! 絶対にだ!!」
「命があるだけ良かっただろ。もう俺に関わるな」
「そうはいかない……! お前の全てを奪ってやる!!」
「やめておけって」
「黙れ……黙れ黙れ! カイリ、お前を殺してフェンリルを再建する!!」
ナイフを取り出し、俺に向けてくる。
「そうじゃない。……ああ、もう遅かった」
何事かと周囲の冒険者が集まって来た。
ベケットの持つナイフが明らかに俺に向いているため、顔見知りの冒険者たちが怒りを爆発させていた。
「カイリさんが危ないぞ!!」「あの男、ナイフなんて!!」「なんてヤツだ、あの人がいなくなったらポーションはどうする!!」「俺たちの希望を奪うな」「やっちまおうぜ!!」「ああ、衛兵に突き出してやろう」
五人、十人と集まった冒険者は、ベケットに襲い掛かった。
圧倒的な人数にボコボコにされたベケットは、ズタボロのボロ雑巾のようになってしまった。……あーあ、だからやめておけって言ったのに。
人の忠告を聞かないからそうなった。
「無事か、カイリさん!」
「ありがとう、みんな。助かったよ」
「いいってことさ。カイリさんのポーションが今は冒険者の希望なんだからな。この不審者は衛兵に引き渡してくる」
「頼む。俺は露店の準備をするから、欲しい人はあとで並んでくれ」
「やったー!!」「危なかったな」「これでまたポーションが買える」「カイリさんが無事でよかったよ」「あの男ってフェンリルのヤツじゃん」「行方不明だって噂だったけど」「こんな落ちぶれていたとはね」「元メンバーにも見放されたらしいじゃん」「馬鹿だねえ」
失神するベケットは連れてかれた。
これで今度こそ会うことはないだろう。
さようなら、元ギルドマスター。
……ふぅ。
「あ、あのカイリさんは……人気者なのですね!」
状況を見守っていたグレイスが羨望の眼差しを向けてきた。そんな満天の星空のようなキラキラした目を向けられると照れるな。
俺はあんまり気にしたことなかったけど、そういうことなのかな?
「お客さんとの交流が多くなったせいかな。みんな良い人ばかりだし、良い取引相手だよ。お互い気持ちの良い取引をしているから」
「なるほど、そこで信頼関係が生まれていたのですね。カイリさん、凄いです!」
錬金術師は良いポーションを作るだけが仕事ではない。お客さんを大切にしてこその商売だ。……父さんの言葉を大切にしておいて良かった。
「グレイス、少し露店をする。手伝ってくれる?」
「もちろんです! 商人としての血が騒ぎますし、カイリさんのお手伝いができるなんて感激です」
「良かった。じゃあ、このエリアに座って」
それほど広くはない場所だけど、二人と一匹までなら余裕だ。
簡易椅子に座り、サンプルポーションを並べていく。
①レッドポーション改×100
②ブルーポーション改×50
③グリーンポーション改×50
④ブラウンポーション×50
今日はこの四つだ。
毎度お馴染みの体力回復のレッド改。魔力を回復するブルー改。新たに状態異常を回復するグリーン改とモンスター忌避効果のあるブラウンを追加。
「わぁ、とても美しい色彩ですね。宝石のようです」
「ありがとう、グレイス。……おっと、もうお客さんの列ができた」
早くも十名が並んでいた。
俺は露店を開始し、取引を始めた。
ポーションは飛ぶように売れていく。
今日は勢いが良いな。
あるお客さんと会話してみると、少し分かったことがあった。
「――いやぁ、それにしても金髪のお姉さん可愛いね。カイリくんの彼女?」
「ウィルソンの妹さんなんですよ。今日は任されているんです」
「そうだったのか! いやぁ綺麗な女性だね。羨ましいよ」
隣でグレイスは顔を真っ赤にしていた。照れてるな。……ああ、でもそうか。グレイス目当てのお客さんもそこそこいるんだな。
何度も列に並んでいる人もいるし。
そっか、グレイスが美しいから看板娘になっているのかも。
そうして納得していると商品が完売した。
「売れちゃいましたね」
「手伝ってくれてありがとう、グレイス」
「いえ、あたしは何も」
「そんなことはない。手伝ってくれたお礼をしないと……はい、金貨」
「き、金貨は戴けません! あたしはすでに多くの報酬を戴いておりますし」
「え?」
「……そ、その。カイリさんと過ごせる時間で十分ということです。ですので、このお金は未来の投資に使って下さいませ」
「俺への投資ってこと?」
「はい、カイリさんへの投資としてください」
「分かった。そうしておく」
…………あぁ、俺。
今顔が熱くてグレイスの顔が見れない……。
「どうしたのですか、カイリさん。顔が赤いですよ~」
頭の上で垂れるヴァルハラがからかってくる。
「う、うるさい……。ヴァルハラ、お仕置きのナデナデ攻撃!」
「んにゃ~~~! にゃにゃにゃ……」
トローンと液体になるヴァルハラを撫でて沈黙させた。最近、どこが弱いのか分かってきたし、俺の神の手(猫用)も極まってきたな――!
「よう、カイリ!! 待っていたぞ!!」
額に青筋を立てて、音が鳴りそうなほどビキビキしていた。……怒ってるようだけど、服がボロボロだし、手足の皮膚もズタズタだ。臭いも酷い……不衛生極まりない状態になっていた。
「ベケット。お前はあの森……ヒッパルコスで撃退したはず」
「死にはしなかった! 命ある限り、僕はお前を許さない!! 絶対にだ!!」
「命があるだけ良かっただろ。もう俺に関わるな」
「そうはいかない……! お前の全てを奪ってやる!!」
「やめておけって」
「黙れ……黙れ黙れ! カイリ、お前を殺してフェンリルを再建する!!」
ナイフを取り出し、俺に向けてくる。
「そうじゃない。……ああ、もう遅かった」
何事かと周囲の冒険者が集まって来た。
ベケットの持つナイフが明らかに俺に向いているため、顔見知りの冒険者たちが怒りを爆発させていた。
「カイリさんが危ないぞ!!」「あの男、ナイフなんて!!」「なんてヤツだ、あの人がいなくなったらポーションはどうする!!」「俺たちの希望を奪うな」「やっちまおうぜ!!」「ああ、衛兵に突き出してやろう」
五人、十人と集まった冒険者は、ベケットに襲い掛かった。
圧倒的な人数にボコボコにされたベケットは、ズタボロのボロ雑巾のようになってしまった。……あーあ、だからやめておけって言ったのに。
人の忠告を聞かないからそうなった。
「無事か、カイリさん!」
「ありがとう、みんな。助かったよ」
「いいってことさ。カイリさんのポーションが今は冒険者の希望なんだからな。この不審者は衛兵に引き渡してくる」
「頼む。俺は露店の準備をするから、欲しい人はあとで並んでくれ」
「やったー!!」「危なかったな」「これでまたポーションが買える」「カイリさんが無事でよかったよ」「あの男ってフェンリルのヤツじゃん」「行方不明だって噂だったけど」「こんな落ちぶれていたとはね」「元メンバーにも見放されたらしいじゃん」「馬鹿だねえ」
失神するベケットは連れてかれた。
これで今度こそ会うことはないだろう。
さようなら、元ギルドマスター。
……ふぅ。
「あ、あのカイリさんは……人気者なのですね!」
状況を見守っていたグレイスが羨望の眼差しを向けてきた。そんな満天の星空のようなキラキラした目を向けられると照れるな。
俺はあんまり気にしたことなかったけど、そういうことなのかな?
「お客さんとの交流が多くなったせいかな。みんな良い人ばかりだし、良い取引相手だよ。お互い気持ちの良い取引をしているから」
「なるほど、そこで信頼関係が生まれていたのですね。カイリさん、凄いです!」
錬金術師は良いポーションを作るだけが仕事ではない。お客さんを大切にしてこその商売だ。……父さんの言葉を大切にしておいて良かった。
「グレイス、少し露店をする。手伝ってくれる?」
「もちろんです! 商人としての血が騒ぎますし、カイリさんのお手伝いができるなんて感激です」
「良かった。じゃあ、このエリアに座って」
それほど広くはない場所だけど、二人と一匹までなら余裕だ。
簡易椅子に座り、サンプルポーションを並べていく。
①レッドポーション改×100
②ブルーポーション改×50
③グリーンポーション改×50
④ブラウンポーション×50
今日はこの四つだ。
毎度お馴染みの体力回復のレッド改。魔力を回復するブルー改。新たに状態異常を回復するグリーン改とモンスター忌避効果のあるブラウンを追加。
「わぁ、とても美しい色彩ですね。宝石のようです」
「ありがとう、グレイス。……おっと、もうお客さんの列ができた」
早くも十名が並んでいた。
俺は露店を開始し、取引を始めた。
ポーションは飛ぶように売れていく。
今日は勢いが良いな。
あるお客さんと会話してみると、少し分かったことがあった。
「――いやぁ、それにしても金髪のお姉さん可愛いね。カイリくんの彼女?」
「ウィルソンの妹さんなんですよ。今日は任されているんです」
「そうだったのか! いやぁ綺麗な女性だね。羨ましいよ」
隣でグレイスは顔を真っ赤にしていた。照れてるな。……ああ、でもそうか。グレイス目当てのお客さんもそこそこいるんだな。
何度も列に並んでいる人もいるし。
そっか、グレイスが美しいから看板娘になっているのかも。
そうして納得していると商品が完売した。
「売れちゃいましたね」
「手伝ってくれてありがとう、グレイス」
「いえ、あたしは何も」
「そんなことはない。手伝ってくれたお礼をしないと……はい、金貨」
「き、金貨は戴けません! あたしはすでに多くの報酬を戴いておりますし」
「え?」
「……そ、その。カイリさんと過ごせる時間で十分ということです。ですので、このお金は未来の投資に使って下さいませ」
「俺への投資ってこと?」
「はい、カイリさんへの投資としてください」
「分かった。そうしておく」
…………あぁ、俺。
今顔が熱くてグレイスの顔が見れない……。
「どうしたのですか、カイリさん。顔が赤いですよ~」
頭の上で垂れるヴァルハラがからかってくる。
「う、うるさい……。ヴァルハラ、お仕置きのナデナデ攻撃!」
「んにゃ~~~! にゃにゃにゃ……」
トローンと液体になるヴァルハラを撫でて沈黙させた。最近、どこが弱いのか分かってきたし、俺の神の手(猫用)も極まってきたな――!
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