29 / 43
第29話 試作型『ホムンクルスポーション』
しおりを挟む
大きな声で俺の名前を連呼するベガ。
このまま放置しておくわけにもいかない。
俺はベガの前に姿を出した。
「おい、お前。凝りていなかったのか。」
「……カイリ! ようやく姿を現したな」
「この前の逆恨みか」
「それもある。だが、それよりも貴様を帝国に連れて行かねばならないのだ!」
「お前、またビームを受けたいのか」
「そ、それはヤメロ!! けどな、その対策にこの露店街を選んだと言ってもいい。今、この場は多くの冒険者が行き交っている。あんな大魔法を放てば巻き添えが出るぞ!」
……確かに以前は夜だったから、まだ何とかなった。だけど今は、野次馬もいて三十人以上はいる。
これではヴァルハラのスキルは使えないだろうな。
「ヴァルハラ、目からビームは止せよ」
「Zzz……」
そうだった眠っていたのだった。
寝ているなら多分大丈夫かな。
「グレイス、ヴァルハラを頼む」
「わ、分かりました。でも、その……あの赤いローブの方は……」
「大丈夫。素顔は分からんけど、脅威ではない」
「気を付けてください」
「ああ、グレイスは下がっていてくれ」
俺は改めてベガの方へ向き直る。
「ここで戦うつもりか、カイリ」
「それしかないだろ。お前しつこいし」
「ふん、仕方ないだろう。爆炎の錬金術師アシャを倒したお前の力は特別だ。帝国はお前を欲している」
「悪いが、俺はアルデバラン王国で商売がしたいんだ。邪魔をしないでくれ」
「なら、仕方あるまい……」
ベガは不敵に笑うと薄い黄色のポーションを取り出した。
なんだあのポーション……。
「催眠ポーションではなさそうだな」
「ふっ、これは帝国製の『スタンポーション』さ。貪婪の錬金術師が開発した特殊なポーションでね。使用者以外の周囲の人間やモンスターに状態異常『スタン』の効果を与える。たったの三秒で気絶するんだ」
「な、なんだと……!」
そんなポーションは聞いた事がない。帝国製? 貪婪の錬金術師!? 帝国はいったい、何人の高位錬金術師が存在するんだ。
〇〇の錬金術師という異名は、高位の者にしか与えられない称号のようなもの。S級錬金術師からでないと獲得できないらしい。
「この前は催眠ポーションで穏やかに済ませたかったが、今日はもう容赦しない。カイリ、お前は周囲の人々を巻き込んだ」
ベガはニヤリと笑い、スタンポーションを地面に落とした。
「お、おまえ!!」
「もう遅い!! お前共々……スタンになれ!!」
ドンッ!! と、星のようなものが広がって、十人以上が倒れた。俺も眩暈して頭がクラクラした。
「……ぐっ、意識が……!」
「フハハハハ!! カイリ、お前を帝国に連れていく!! これで私は皇帝陛下に認められ、最強の錬金術師になれるのだ!!」
……クソ、ここまでなのか。
俺は――バタッと地面に倒れ、意識を失……ん?
「大丈夫ですよ、カイリさん! あたしが助けますから!」
「グ、グレイス……」
「コンキスタドール社製品に状態異常を解除するアイテムがあるんです! その名も『メディカルケア』と言いまして、この特殊な包帯を対象に投げると……」
「……ぉ!? スタンが消えてなくなった!」
「どうでしょう、カイリさん。これがコンキスタドール社の最新アイテムですよ!」
「凄いな、グレイス! こんな凄いアイテムを作っていたとは!」
「あ、ありがとうございます……お役に立てて嬉しいです!」
詳しいことはあとで聞くとして、これで動けるようになった。ベガは驚愕して震えていた。
「ば、馬鹿な!! スタンを解除しただとぉぉぉ!?」
「……どうやら、形勢逆転のようだな」
「くっ! くそ! 馬鹿! 馬鹿な! 馬鹿なああああ!! スタンを解除するアイテムなんてこの世に存在しないと貪婪の錬金術師は言っていたのだが……騙された」
騙されたというか、本当に存在しなかったんだろうな。でも、グレイスの会社が開発してしまったようだ。助かったぜ。
俺も試作型『ホムンクルスポーション』を使ってみるか!
このまま放置しておくわけにもいかない。
俺はベガの前に姿を出した。
「おい、お前。凝りていなかったのか。」
「……カイリ! ようやく姿を現したな」
「この前の逆恨みか」
「それもある。だが、それよりも貴様を帝国に連れて行かねばならないのだ!」
「お前、またビームを受けたいのか」
「そ、それはヤメロ!! けどな、その対策にこの露店街を選んだと言ってもいい。今、この場は多くの冒険者が行き交っている。あんな大魔法を放てば巻き添えが出るぞ!」
……確かに以前は夜だったから、まだ何とかなった。だけど今は、野次馬もいて三十人以上はいる。
これではヴァルハラのスキルは使えないだろうな。
「ヴァルハラ、目からビームは止せよ」
「Zzz……」
そうだった眠っていたのだった。
寝ているなら多分大丈夫かな。
「グレイス、ヴァルハラを頼む」
「わ、分かりました。でも、その……あの赤いローブの方は……」
「大丈夫。素顔は分からんけど、脅威ではない」
「気を付けてください」
「ああ、グレイスは下がっていてくれ」
俺は改めてベガの方へ向き直る。
「ここで戦うつもりか、カイリ」
「それしかないだろ。お前しつこいし」
「ふん、仕方ないだろう。爆炎の錬金術師アシャを倒したお前の力は特別だ。帝国はお前を欲している」
「悪いが、俺はアルデバラン王国で商売がしたいんだ。邪魔をしないでくれ」
「なら、仕方あるまい……」
ベガは不敵に笑うと薄い黄色のポーションを取り出した。
なんだあのポーション……。
「催眠ポーションではなさそうだな」
「ふっ、これは帝国製の『スタンポーション』さ。貪婪の錬金術師が開発した特殊なポーションでね。使用者以外の周囲の人間やモンスターに状態異常『スタン』の効果を与える。たったの三秒で気絶するんだ」
「な、なんだと……!」
そんなポーションは聞いた事がない。帝国製? 貪婪の錬金術師!? 帝国はいったい、何人の高位錬金術師が存在するんだ。
〇〇の錬金術師という異名は、高位の者にしか与えられない称号のようなもの。S級錬金術師からでないと獲得できないらしい。
「この前は催眠ポーションで穏やかに済ませたかったが、今日はもう容赦しない。カイリ、お前は周囲の人々を巻き込んだ」
ベガはニヤリと笑い、スタンポーションを地面に落とした。
「お、おまえ!!」
「もう遅い!! お前共々……スタンになれ!!」
ドンッ!! と、星のようなものが広がって、十人以上が倒れた。俺も眩暈して頭がクラクラした。
「……ぐっ、意識が……!」
「フハハハハ!! カイリ、お前を帝国に連れていく!! これで私は皇帝陛下に認められ、最強の錬金術師になれるのだ!!」
……クソ、ここまでなのか。
俺は――バタッと地面に倒れ、意識を失……ん?
「大丈夫ですよ、カイリさん! あたしが助けますから!」
「グ、グレイス……」
「コンキスタドール社製品に状態異常を解除するアイテムがあるんです! その名も『メディカルケア』と言いまして、この特殊な包帯を対象に投げると……」
「……ぉ!? スタンが消えてなくなった!」
「どうでしょう、カイリさん。これがコンキスタドール社の最新アイテムですよ!」
「凄いな、グレイス! こんな凄いアイテムを作っていたとは!」
「あ、ありがとうございます……お役に立てて嬉しいです!」
詳しいことはあとで聞くとして、これで動けるようになった。ベガは驚愕して震えていた。
「ば、馬鹿な!! スタンを解除しただとぉぉぉ!?」
「……どうやら、形勢逆転のようだな」
「くっ! くそ! 馬鹿! 馬鹿な! 馬鹿なああああ!! スタンを解除するアイテムなんてこの世に存在しないと貪婪の錬金術師は言っていたのだが……騙された」
騙されたというか、本当に存在しなかったんだろうな。でも、グレイスの会社が開発してしまったようだ。助かったぜ。
俺も試作型『ホムンクルスポーション』を使ってみるか!
11
あなたにおすすめの小説
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる