闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第36話 アークトゥルス帝国

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改めて衛兵を買収。
こんな手段は使いたくないが、今は仕方ない。

「――出ていいぞ、爆炎の錬金術師アシャ」

衛兵は牢を開錠してくれた。
おかげで50万ベルも支払ってしまったけど、それだけの価値はある。


「わたくしを出してくれてありがとう、カイリ」
「礼はいいよ。それより、大監獄・イグノラムスへどうやって行けばいい?」
「ここからアークトゥルス帝国までは、距離がありすぎます。なので、テレポートかワープポータルを開くしかないのですよ」


そんな上位職のスキルを使える人は――ああ、いたわ。


「なるほど。じゃあ、スピカに会いに行くか」
「スピカ?」
「ああ、エレクトラ教会の聖職者さんだよ。ついて来てくれ」
「分かりましたわ」


騎士団を出て行き、エレクトラ教会を目指した。


* * *


教会まで辿り着き、俺はさっそく中へ。
さすがにまだ礼拝者が多くいるな。
キョロキョロと探すと、横から声を掛けられた。


「あら、カイリさんではないですか」
「スピカ! いてくれたか」
「ええ。今日は教会のお仕事がありましたから。……あら、なんだか高貴な女性を連れているのですね」

アシャの存在に気づき、スピカは目を白黒させた。

「爆炎の錬金術師アシャだよ」
「え! カイリさんが倒したという……なぜ?」
「説明すると色々あるんだけど、話すよ」


俺は火事に遭ったこと、放火した犯人が元ギルドマスターであること、ベケットを大監獄・イグノラムスへ収監したいことを話した。


「そうだったのですね。ご両親も行方不明なのですね」
「ああ、ベケットを処理したら父さんと母さんを探す」
「分かりました。私の方でも何か分かったらお知らせしますね」

「頼む」

「では、アークトゥルス帝国へ行きたいのですね」
「そうだ。金は払う」
「銀貨一枚となります。お支払いいただいたお金は孤児の為に使われますので、ご安心ください」

それは素晴らしいことだ。
そうか、スピカは恵まれない子供たちの為に頑張っているんだな。俺は銀貨を支払った。

「これで頼む」
「確かに受け取りました。では、アークトゥルス帝国へ参りますので、カイリ様……手を」

「あ、ああ……」


ぎゅっと手を握られ、俺は動揺する。
スピカほど美人からそうされると緊張するなぁ……。浮かれていると、ヴァルハラが肉球の柔らかいところでペチペチ叩いてきた。


「カイリさん!!」
「な、なんだよ。怖いな」
「鼻の下伸びてます」
「し、仕方ないだろ。スピカは美人なんだから……」
「むぅぅ……一緒にお風呂に入ったのにぃ」

「そ、それを言うな!」


一応コソコソ話なので、スピカとアシャには聞こえないはずだ。ていうか、ヴァルハラはなんて怒っているんだ!?
いつもそんな機嫌が悪くなるなんてないのに。

とにかく、ヴァルハラは肉球を。
アシャは俺の肩に手を置いた。

どうやら、術者を軸にさえしていれば良いらしい。


スピカはスキルを発動。


「開始します! テレポート!!」


ついに転移を開始した。


* * *


【アークトゥルス帝国】


目を開けたら、そこは『アークトゥルス帝国』だった。
一瞬で到着したんだ。


「こ、ここが帝国か。初めて来た」


頑丈な壁でどこまでも続き、全ての建物が高く感じる。なんだこりゃ、果てはあるのか?

「到着です。カイリ様、帰りはどうなさいますか?」
「帰りは何とかするよ」
「分かりました。もし必要であればアステリズム教会を頼ってください」
「ありがとう、スピカ」


スピカは再びテレポートして戻った。


「ふぅん、まさか教会の人間と親しいとはね」
「なんだ、アシャ。そんな意外だったか?」
「まあね。というか……いえ、なんでもないわ」
「うん?」

よく分からないが、まあいいか。
それよりも大監獄だ。


「久しぶりに帰ってきたけれど、変わらないわね。そう思うでしょう、ヴァルハラ」


アシャがヴァルハラに話を振った。
無論、ヴァルハラは嫌そうにしていた。シッポが不満そうだ。


「……生まれ故郷ではありますが、特に思うところはありません」
「そう、残念。さて、大監獄・イグノラムスよね。う~ん……では、知り合いの貴族を頼りましょうか」

くるっときびすを返すアシャは、どこかへ歩き出す。

「どこへ行くつもりだ、アシャ」
「ついてこれば分かります。まあ、あの方ならばその者を大監獄へ収監してくれるでしょう」
「本当か」
「ええ、嘘は言いません」


今は、アシャを信じるしかなさそうだな。
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