占い師令嬢は自分を占って勝ちルートを探ります

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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突然の婚約破棄

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「ラウラ。ラウラ・エルツェンブルク……さようなら」


 突然の婚約破棄だった。
 彼、ハインツ・フィッシャーはとても聡明で多くの人々に慕われている青年。女性は誰だって憧れていた。
 わたしもその一人だった。

 キッカケは“占い”だった。

 彼は自分の人生を占って欲しいと現れた。

 何度も占ううちにハインツと距離が縮まっていた。
 ついに婚約を結ぶに至ったけれど。

 実は彼は……占いを信じていなかった。


「なぜ……」
「僕は占いなんて信じていないんだよ」
「では、なぜ……わたしの元を訪れたのですか?」
「占いごときで僕の運命が決められるだとか……そんなの認めるわけがない。だからね、有名な占い師である君を陥れたかったんだ」

「え……そんな。だって、わたしの占いはよく当たると評判で……」


 だから、彼との結婚だってほぼ決まっていたようなものだった。けれど、確かに運命は変わるもの。確定ではない。
 それでも、わたしの占いの的中率はかなり高くて、好評を得ていた。


「魔女だよ、君は」
「……ま、魔女?」
「そうだよ。ラウラ、君は魔女だ。このことを騎士団に告発してもいいのだぞ」
「そ、それは……違います。わたしは魔女なんかではありません」

「認めないか。まあいい、今回だけは見逃してやる。だが、婚約破棄は認めてもらうぞ」
「そ、それは……」
「ん~? ラウラ。お前を魔女認定してもいいのだぞ!」


 く、悔しい……。
 ハインツがこんな人だったなんて思いもしなかった。
 でもこのままでは魔女として裁かれてしまう。
 そんなのは嫌。
 それにお父様やお母様に迷惑を掛けてしまう。
 家の名にも傷がついてしまう。

 だから、わたしは泣く泣く婚約破棄を承諾した。


「分かりました……」
「フン。それでいい! これでもう会うことはないだろう。精々、そのくだらない占いを続けるがいいさ!」


 散々悪態をついてハインツは、わたしの目の前から去った。
 ……どうして。
 どうしてそんな酷いことをするの……!

 わたしは真剣に、あなたのことを愛していたのに。
 こんな裏切り行為……。


「……う。あぁぁあぁぁ…………」


 ショックで泣き崩れた。
 なんで、なんで、なんで…………。



 三日後、わたしは占い師を続けていた。

 その方が嫌な記憶を忘れられるから。



「ありがとうございました。ラウラ様」


 今日もひとり占いを終わらせた。
 基本的にお客さんは満足して帰ってくれる。その笑顔がわたしの生きがい。
 良いこともあれば、悪いことも分かる占い。でも、その悪いことを努力次第では変えることもできる。つまり、運命を変えるんだ。


 ふと、わたしは思った。


 あれ……。
 自分を占ったら、どうなるのだろう?


 そうだ。
 自分を占い、悪い運命を知って……変えてしまえばいい。ずっと良いことだけ起こるような状況にしちゃえばいいのよ。


 試しにやってみることに。

 テーブルの上に置かれている水晶を見つめる。
 すると微かに光が見えた。

 こ、これは……男性だ。

 水晶にはどこかで見覚えのある男性の顔が映っていた。


 彼の名はフェリックス・ヴェルナー。


 ヴェルナー家の長男。ヴァルナー家といえば第三皇子。甘そうなクリーム色の髪。それと甘いマスク。とても美男子だと有名だ。
 わたしは一度だけ顔を見たことがあった。ほんの一瞬だけど。

 まさかシュトラス帝国の第三皇子が……?

 水晶には確かに彼の顔が映し出されていた。

 彼が、わたしの運命の人?
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