11 / 101
第11話 家を買うかも
しおりを挟む
「1億セル……これだけあれば、色々買える」
「どうしましょうか」
フルクと共に今後のプランを練っていた。
このEXダンジョンにいる限り、安全だし、ヤツ等が向かってきても『追放』できる。つまり、この領域内に家を建てればより安全ということ。
「そうだな、まずは家でも建てるか。ここはある貴族の領地だから、そこだけが唯一の心配だけどな」
「グラティア辺境伯ですね」
「なんだ、知っていたのか」
「ええ、彼女は有名人ですから。ユースティティア教会にも来られた事があるんですよ」
なるほど、その時に出会っていたんだな。
となるとトラブルになる前に交渉しに行くのが吉だろう。ただでさえ、今はグレーな状況だ。
「じゃあ、挨拶しに行こうか。お互い気持ちよくもないしな」
「分かりました。わたしは面識がありますし、交渉も多少は可能かと。いえ、必ず許可を貰います」
「悪いな。力を貸してくれ、フルク」
「もちろんです。アウルムさんの為ですもん」
嬉しいなあ。前々から思ったけど、フルクは優しくて理解があって、前の仲間よりも断然に性格とかも良かった。
もっと早く出会えていればな。いや、これからフルクを知っていけばいいか。今が最高なんだから。
「よし、どうやって行く?」
「この遺跡からは徒歩で半日掛かりますね。パルウァエ村へ戻って馬を借りましょう」
そりゃ名案だと頷き、同意した。
◆
俺がかつて小屋を借りていた村・パルウァエへ向かった。思えば、随分とお世話になった村だ。
「――到着だな」
「相変わらずのんびりした良い街ですね」
「そうだろう。気に入ってはいたんだが……小屋はあくまで借りていたもので、あの時はおかげで金も尽きちまったからな。でも今は1億の所持金あるし……ああ、そうだ。小屋を貸してくれた医者に礼を言いに行こう。馬車も貸してくれるはずだ」
「お医者様ですか?」
そう、俺の骨折を見てくれた闇医者だ。
少し歩いて小さな屋敷へ。
「ここだよ」
「わぁ、ちょっとオシャレですね」
明らかに少しばかり浮いていた。
医者の趣味らしい。扉を叩いて反応があったので、俺は中へ向かった。
「メディケさーん。お久しぶりです」
「ん~? おぉ、その疲れた顔はアウルムか!!」
「疲れた顔は余計です。それより、お礼に参りました。あの時はありがとうございました。俺の骨折を診てくれて。これはほんのお礼です」
ドサッと100万セルの袋を机に置く。
「な、なんだか凄い音がしたが……いくらだね」
「100万です。小屋も貸して貰いましたし、俺はおかげで命拾いした。だから当然のお礼ですよ」
「ひゃ、ひゃくまん!? 凄いね、どうやって……?」
「今は秘密です。バレると色々と目をつけられそうなので」
「怪しい収入源じゃあるまいね? 一応貰っておくけど……まあいい、ありがとう。ところで、そこの銀髪のお嬢さんは?」
フルクが前へ出て一礼する。
「わたしは、ユースティティア教会から参りましたフルクトゥアトです。お世話になります」
「へぇ~…、ユースティティア教会……ユースティティア教会!? って、フルクトゥアト様といえば、そりゃあ……聖女様じゃないか。おい、アウルム! お前どうやって聖女様と出会ったんだ」
驚かれて、俺も驚いた。
医者が驚くほどの女の子なのか。
「えっと、話せば長いんです。後で手紙を送りますから……今はとにかく、グラティア辺境伯に会いに行きたいんです。馬を貸してくれませんか?」
「そ、そりゃあ構わないよ、100万セルも貰っちゃったし。好きに使ってくれ。だが、後できちんと教えてくれよ、アウルム」
「ええ、もちろんです」
俺は約束し、馬を借りる事にした。
「どうしましょうか」
フルクと共に今後のプランを練っていた。
このEXダンジョンにいる限り、安全だし、ヤツ等が向かってきても『追放』できる。つまり、この領域内に家を建てればより安全ということ。
「そうだな、まずは家でも建てるか。ここはある貴族の領地だから、そこだけが唯一の心配だけどな」
「グラティア辺境伯ですね」
「なんだ、知っていたのか」
「ええ、彼女は有名人ですから。ユースティティア教会にも来られた事があるんですよ」
なるほど、その時に出会っていたんだな。
となるとトラブルになる前に交渉しに行くのが吉だろう。ただでさえ、今はグレーな状況だ。
「じゃあ、挨拶しに行こうか。お互い気持ちよくもないしな」
「分かりました。わたしは面識がありますし、交渉も多少は可能かと。いえ、必ず許可を貰います」
「悪いな。力を貸してくれ、フルク」
「もちろんです。アウルムさんの為ですもん」
嬉しいなあ。前々から思ったけど、フルクは優しくて理解があって、前の仲間よりも断然に性格とかも良かった。
もっと早く出会えていればな。いや、これからフルクを知っていけばいいか。今が最高なんだから。
「よし、どうやって行く?」
「この遺跡からは徒歩で半日掛かりますね。パルウァエ村へ戻って馬を借りましょう」
そりゃ名案だと頷き、同意した。
◆
俺がかつて小屋を借りていた村・パルウァエへ向かった。思えば、随分とお世話になった村だ。
「――到着だな」
「相変わらずのんびりした良い街ですね」
「そうだろう。気に入ってはいたんだが……小屋はあくまで借りていたもので、あの時はおかげで金も尽きちまったからな。でも今は1億の所持金あるし……ああ、そうだ。小屋を貸してくれた医者に礼を言いに行こう。馬車も貸してくれるはずだ」
「お医者様ですか?」
そう、俺の骨折を見てくれた闇医者だ。
少し歩いて小さな屋敷へ。
「ここだよ」
「わぁ、ちょっとオシャレですね」
明らかに少しばかり浮いていた。
医者の趣味らしい。扉を叩いて反応があったので、俺は中へ向かった。
「メディケさーん。お久しぶりです」
「ん~? おぉ、その疲れた顔はアウルムか!!」
「疲れた顔は余計です。それより、お礼に参りました。あの時はありがとうございました。俺の骨折を診てくれて。これはほんのお礼です」
ドサッと100万セルの袋を机に置く。
「な、なんだか凄い音がしたが……いくらだね」
「100万です。小屋も貸して貰いましたし、俺はおかげで命拾いした。だから当然のお礼ですよ」
「ひゃ、ひゃくまん!? 凄いね、どうやって……?」
「今は秘密です。バレると色々と目をつけられそうなので」
「怪しい収入源じゃあるまいね? 一応貰っておくけど……まあいい、ありがとう。ところで、そこの銀髪のお嬢さんは?」
フルクが前へ出て一礼する。
「わたしは、ユースティティア教会から参りましたフルクトゥアトです。お世話になります」
「へぇ~…、ユースティティア教会……ユースティティア教会!? って、フルクトゥアト様といえば、そりゃあ……聖女様じゃないか。おい、アウルム! お前どうやって聖女様と出会ったんだ」
驚かれて、俺も驚いた。
医者が驚くほどの女の子なのか。
「えっと、話せば長いんです。後で手紙を送りますから……今はとにかく、グラティア辺境伯に会いに行きたいんです。馬を貸してくれませんか?」
「そ、そりゃあ構わないよ、100万セルも貰っちゃったし。好きに使ってくれ。だが、後できちんと教えてくれよ、アウルム」
「ええ、もちろんです」
俺は約束し、馬を借りる事にした。
43
あなたにおすすめの小説
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる