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第41話 黒の聖女アマデウス
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「何度か見たことがあったけれど、インペリウム城か。こうして目の前にすると、凄い迫力だ」
城門まで来るとその大きさ、広さに仰天する。
よくもまぁ塔のような城を建てたものだ。
これだけ大きいから、防衛も厳重になるわけだ。
「ここからフルクとマルガの力を借りる。二人とも、頼む」
「任せて下さい。聖女として、必ずやアマデウス様に会えますよう、最大限努力します」
「わたくしも辺境伯としての地位を利用しますので、困った時は任せ下さいね」
さっそく二人に任せた。
まずはマルガが門番に話を通してくれるようで、向かって行った。だが、あの格好で大丈夫なのだろうか。
「なんだ、貴様! メイドが何故こんな場所に……んん? グラティア辺境伯? グラティア辺境伯!? おおッ、それは間違いありません。どうぞ、お通り下さい」
それ? 門番は何を見たのだろうか。いきなり血相を変えたし、それ程の物だったのろうか。とにかく、通してくれるらしい。
「通って良いそうです」
「ちなみに、門番に何を見せたんだ? すっごい顔を赤くしているけど、彼」
「胸元です。わたくしの胸元に辺境伯を示す刺青が入っているんですよ~」
あー…、それで青くなったり赤くなったりしていたのか、あの門番。マルガの胸元を見せて貰えるとか、得したなぁ。
――城内へ入っていく。
騎士達が世話しなく歩き回り、たまに俺達を怪しんでいた。けれども、ここからはフルクが本領を発揮。彼女の顔を見ると去っていく。
「へぇ、さすが聖女様だな」
「い、いえ……それより、もう直ぐかと」
お城の二階。作戦会議室のような広い部屋を通り過ぎていき、奥の部屋につく。そこは多いく開かれていて、白い光が反射していた。
「祭壇……」
ゆっくり中へ歩いていく。
『――――』
部屋の中へ入ると、黒い礼服に身を包む少女がいた。全身真っ黒。髪の毛も瞳の色も。でも、肌だけは驚くほど真っ白だった。
「アマデウス様。勇者アウルムを連れて参りました。こちらのメイドさんは、グラティア辺境伯です」
フルクが紹介してくれて、それが終わると――アマデウス様は微笑んだ。
「よくぞ参られました、聖女フルクトゥアト」
足音もさせず静かに近づくアマデウス様は、フルクの頭を撫でた。すると、フルクは意識を失って倒れそうになった。慌てて支えようとするが、アマデウス様が受け止めた。
「な、なにを!」
「勇者アウルム。この子が大切ですか」
「当たり前です! か、返してください」
「残念ですが、この子の魂はわたしのモノ。だから今は、わたしの中です。……ふふ、驚いていますね。大丈夫です。フルクトゥアトはまだ死んではいません。ただ、わたしが優しく包んであげているだけ」
「や、止めて下さい。彼女は俺の大切な仲間なんです! 元に戻してください」
そう訴えるが、アマデウス様は首を横に振った。
「レベル0の勇者にこの子は相応しくない。だって、貴方は魔王を倒してもいないし、倒せもしないんですから……そんな人に任せられないですよね。神もそう仰っております」
「魔王はこれから倒す。レベル0でも『レベル投げ』が無限に使える。この力をパワーアップする為にここへ来たんだ。あんたの力なら、聖槍の……魂力も何とかなるんじゃなかったのかよ。それとも何か、あんたはそんな奇跡も起こせない聖女なのか? フルクは違ったぞ。何度も何度も俺に奇跡を見せてくれた。俺の目の前でな」
「奇跡、ですか。奇跡はそんな安いモノじゃありませんよ。本当の奇跡は――いえ、今は止めておきましょう。彼女への嫉妬心から少々、揶揄いすぎました。申し訳ありませんね」
頭を下げ、丁寧に謝ってくる。
はぁ?
「フルクはお返ししますし、魂力の問題も解決いたしましょう。辺境伯、フルクをお願いします。わたしは勇者様に力を授けます」
「分かりました」
こちらへと促され、俺は黙ってついていく。……なんだか色々試されているのだろうか。なかなか反応に困る。
「本当に申し訳ない」
「え」
「フルクは、わたしにとっても大切な子なのです。ですが、前回の魔王出現時……彼女は対魔王用兵器として選定された少女だった」
「は?」
「我々が毎晩目にするラベンダー色の惑星状星雲。彼女はこの帝国の名の由来にもなっている森羅万象から生み出された特別な存在。神の寵愛を受けし奇跡の少女なのですよ」
――なんだって?
そんなフルクの出生の秘密を知りながらも、アマデウス様はある場所に導いてくれた。この扉はいったい……?
城門まで来るとその大きさ、広さに仰天する。
よくもまぁ塔のような城を建てたものだ。
これだけ大きいから、防衛も厳重になるわけだ。
「ここからフルクとマルガの力を借りる。二人とも、頼む」
「任せて下さい。聖女として、必ずやアマデウス様に会えますよう、最大限努力します」
「わたくしも辺境伯としての地位を利用しますので、困った時は任せ下さいね」
さっそく二人に任せた。
まずはマルガが門番に話を通してくれるようで、向かって行った。だが、あの格好で大丈夫なのだろうか。
「なんだ、貴様! メイドが何故こんな場所に……んん? グラティア辺境伯? グラティア辺境伯!? おおッ、それは間違いありません。どうぞ、お通り下さい」
それ? 門番は何を見たのだろうか。いきなり血相を変えたし、それ程の物だったのろうか。とにかく、通してくれるらしい。
「通って良いそうです」
「ちなみに、門番に何を見せたんだ? すっごい顔を赤くしているけど、彼」
「胸元です。わたくしの胸元に辺境伯を示す刺青が入っているんですよ~」
あー…、それで青くなったり赤くなったりしていたのか、あの門番。マルガの胸元を見せて貰えるとか、得したなぁ。
――城内へ入っていく。
騎士達が世話しなく歩き回り、たまに俺達を怪しんでいた。けれども、ここからはフルクが本領を発揮。彼女の顔を見ると去っていく。
「へぇ、さすが聖女様だな」
「い、いえ……それより、もう直ぐかと」
お城の二階。作戦会議室のような広い部屋を通り過ぎていき、奥の部屋につく。そこは多いく開かれていて、白い光が反射していた。
「祭壇……」
ゆっくり中へ歩いていく。
『――――』
部屋の中へ入ると、黒い礼服に身を包む少女がいた。全身真っ黒。髪の毛も瞳の色も。でも、肌だけは驚くほど真っ白だった。
「アマデウス様。勇者アウルムを連れて参りました。こちらのメイドさんは、グラティア辺境伯です」
フルクが紹介してくれて、それが終わると――アマデウス様は微笑んだ。
「よくぞ参られました、聖女フルクトゥアト」
足音もさせず静かに近づくアマデウス様は、フルクの頭を撫でた。すると、フルクは意識を失って倒れそうになった。慌てて支えようとするが、アマデウス様が受け止めた。
「な、なにを!」
「勇者アウルム。この子が大切ですか」
「当たり前です! か、返してください」
「残念ですが、この子の魂はわたしのモノ。だから今は、わたしの中です。……ふふ、驚いていますね。大丈夫です。フルクトゥアトはまだ死んではいません。ただ、わたしが優しく包んであげているだけ」
「や、止めて下さい。彼女は俺の大切な仲間なんです! 元に戻してください」
そう訴えるが、アマデウス様は首を横に振った。
「レベル0の勇者にこの子は相応しくない。だって、貴方は魔王を倒してもいないし、倒せもしないんですから……そんな人に任せられないですよね。神もそう仰っております」
「魔王はこれから倒す。レベル0でも『レベル投げ』が無限に使える。この力をパワーアップする為にここへ来たんだ。あんたの力なら、聖槍の……魂力も何とかなるんじゃなかったのかよ。それとも何か、あんたはそんな奇跡も起こせない聖女なのか? フルクは違ったぞ。何度も何度も俺に奇跡を見せてくれた。俺の目の前でな」
「奇跡、ですか。奇跡はそんな安いモノじゃありませんよ。本当の奇跡は――いえ、今は止めておきましょう。彼女への嫉妬心から少々、揶揄いすぎました。申し訳ありませんね」
頭を下げ、丁寧に謝ってくる。
はぁ?
「フルクはお返ししますし、魂力の問題も解決いたしましょう。辺境伯、フルクをお願いします。わたしは勇者様に力を授けます」
「分かりました」
こちらへと促され、俺は黙ってついていく。……なんだか色々試されているのだろうか。なかなか反応に困る。
「本当に申し訳ない」
「え」
「フルクは、わたしにとっても大切な子なのです。ですが、前回の魔王出現時……彼女は対魔王用兵器として選定された少女だった」
「は?」
「我々が毎晩目にするラベンダー色の惑星状星雲。彼女はこの帝国の名の由来にもなっている森羅万象から生み出された特別な存在。神の寵愛を受けし奇跡の少女なのですよ」
――なんだって?
そんなフルクの出生の秘密を知りながらも、アマデウス様はある場所に導いてくれた。この扉はいったい……?
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