チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗

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新章

第84話 レベル投げ:レベルアップ

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 カルニの監視特化使い魔ドクトル・パーガーノールムの映し出す映像に注目していると、草原の大地を駆ける魔王軍が俺の国に接近して来ていた。


「一気に押し寄せて来やがったか」


 数十の魔導砲が自動でモンスターの軍勢に向く。魔力をチャージすると、一気に放射が始まった。


 魔導砲から赤い波動が一斉に飛び出し、魔王軍を蹴散らしていく。どんどん蒸発して、塵となって、次から次へとモンスターが襲来して来た。だが、魔導砲は直ぐに魔力をチャージ。ぶっ放した。


「わぁっ……凄い……」


 映像に魅入るフルクは感動さえしていた。俺もだが、これは凄すぎるな。さすがデウス・エクス・マキナの兵器。今の一瞬で100~200体は倒しただろう。


「しかし、数が多いですね。このままでは、魔導砲でも追い付かないです」


 カルニの言う通り、モンスターの勢いが上がっていた。やはり、まだ魔導砲が足りないか。だが、その前に『硫酸の落とし穴』が大量に設置してあった。あと少しで魔王軍がそこに到達する。


「くるぞ。落とし穴だ」


 国を囲うように設置しまくってある落し穴。そこにモンスターの大群が押し寄せ、トラップが発動する。見事に落とし穴が発動し、そこへ落ちていくゴブリンやオーク。


 穴の奥にある硫酸によって、ジュワァッ……とけてしまった。……すげぇ威力だ。モンスターが一瞬でドロドロ。


「えげつねえ! けど、効果は抜群だな。やったな、アウルム」

「ああ、ユウェンス。あれはコストも安いし、かなりお買い得だ。しかも、モンスターにしか反応しないトラップ。で、更にあの先も落とし穴だらけだからな、飛び越えてもその先は落とし穴ってわけさ」

「ほう! そりゃスゲェ!」


 ――さて、ここまでは順調だった。


 魔導砲の攻撃によって、敵の数もどんどん減っていた。落とし穴に落ちていく憐れなモンスター達。これで勝利は目前かと思えた。


「あ……超巨大なゴーレムが落とし穴に落ちずに向かって来ています。しかも、魔導砲のダメージもあんまり効いていないようです……」

「そうだな、フルク。くそっ、ゴーレムは耐久力が高いからな。しかも、なんだあの超合金っぽいゴーレム……!」


 落とし穴があの超合金ゴーレムには、無効化されていた。多分、足がデカすぎるからだ。落とし穴のサイズを上回っていた。そもそも、巨体すぎる。


 あんなモンも魔界にいるのかよ。


「どうなされます、アウルム様。このままでは、あのゴーレムに攻められますよ。壁も破壊される可能性が」

「……あぁ、このままではまずいな」


 まさか、魔導砲も落とし穴も突破するヤツがいるとはな。けど、これは想定内だ。ゴーレムのような耐久力の高いヤツが出現する可能性は見据えていた。


 ここで俺の出番というわけだ。


「アウルムさん?」
「フルク、君がくれた【レベル投げ】を使う」

「レベル投げをですか? でも、あの大群では対処しきれないかと……」


 不安げに俺を見つめるフルクだが、俺は知っていた。この能力なら打開できるとな。


「実は、最近になって『レベル投げ:レベルアップ』を習得した。レベルダウンは覚えていて、モンスターのレベルを下げたりするんだが、このレベルアップは一時的に相手のレベルを上げられるし、しかも防衛設備・・・・のレベルも上げられるんだ」


 防衛設備にはレベルがあった。

 例えば、今放たれてる『魔導砲』は『Lv.1』だった。このレベルが高いほど火力もアップする。Lv.1につき1000の攻撃力があるので、Lv.2になれば攻撃力2000となる。


 見ようと思えば設備の詳細も見られる。


 [魔導砲]
 [詳細:マキナの開発した魔導兵器。強力な魔導レーザーを放ち続ける]

 [Lv.1]……攻撃力1000、有効レンジ+50
 [Lv.2]……攻撃力2000、有効レンジ+50
 [Lv.3]……攻撃力3000、有効レンジ+50

 ……以下略。


 だから、俺の【レベル投げ】を使い『レベルアップ』の効果を使えば、一時的にだが魔導砲のレベルを上げられ、火力もアップできるってわけだ。


 [レベル投げ:レベルアップ]
 [詳細:対象のレベルを『1』アップする。何度でも使用可能。持続時間は固定で10分。防衛設備のレベルも上げられる]


「そ、そっかぁ……アウルムさんのレベル投げで、防衛設備のレベルを上げるんですね! 凄い。そんな方法があったなんて」


 くれた本人が驚いていた。効果の詳細までは知らないらしい。けど、他の皆も唸っていた。


「素晴らしいです、アウルム様。テレポートならお任せください」
「おう、カルニ。じゃあ頼むわ」


 テレポート使えたんかい。さすが元魔王の秘書って所かね。俺は、ユウェンスにフルクを任せた。


「ああ、こっちは任せておけ。フルク様も必ず守る」
「頼んだぞ、ユウェンス」


 フェルスにも手振って、俺はカルニにお願いした。すると、彼女は俺の右手に恋人繋ぎ。大胆すぎるっていうか、この必要あるのか!?


「……あー、なんだ。カルニさん」
「ええ、なんでしょう」

「手、すっげー絡めて来てるけど」

「テレポートするのですから、これくらいは当然です。さあ、魔導砲の前へ行きますよ。モンスターの大群も目の前でしょうから、気を引き締めて参りましょう」


 そんなこんなでテレポートを開始した。


 ◆


「――おぉ……」


 パカッと目を開けると、目の前にはモンスターの軍勢。魔王軍だ。だが、魔導砲と落とし穴で苦戦している。ただ、巨大ゴーレムだけは進軍を続け、かなり近い位置だ。


「まずいですよ、アウルム様。もう目前です。直ぐに魔導砲のレベルアップを」

「ああ、今直ぐに発動する。レベル投げ:レベルアップ開始!!」


 ブンとレベル投げを投げまくり――『魔導砲 Lv.35』にしてやった。すると、攻撃力が明らかにアップして、魔導レーザーの大きさも単純に五倍ほどになった。


「――――きゃっ!!」


 驚いたカルニが抱きついてくる。
 俺もビビった。なんだこの魔導砲の威力。バケモンだ……あの巨大超合金ゴーレムを一撃で粉砕し、瓦礫がれきの山にしていた。


「……す、すげぇ。自分でやっておいてなんだが、これ程とはな。レベルアップは使えるな」

「さ、さすがアウルム様です」


「この調子で他の魔導砲もレベルアップしよう。カルニ、テレポートを頼めるか」
「もちろんです。あたしは、アウルム様の秘書ですから」


 背後から抱きつかれ、かなり密着しているが、まあヨシとしよう。これは、カルニなりの愛情表現と受け取っておく!



 ――俺は、その後も魔導砲のレベルを上げ続けた。


 そして、時は経ち……魔王軍十万の軍勢を壊滅させた……!
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