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新章
第89話 第五エリア攻略開始
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翌日、俺は皆をリビングへ招集し、事情を話した。
「というわけだ。フルクの為にもEXダンジョンの第十エリアを攻略する。そうしないと、フルクがずっと体調悪いまま……下手すりゃ死ぬかもしれん」
「ええ……」
本人が一番驚いていた。
そうだろうな。
「そうでしたか、フルク様の病気の原因がEXダンジョンにあったとは……驚きです。では、稼ぎつつ第十エリアを目指す感じで?」
「そうだな、マルガ。どのみち食糧問題もあるし、稼ぐ必要がある。まず、レアアイテムをゲットしまくって、共和国に食料と交換して貰う」
まだ備蓄はあるから、直ぐ食料が尽きるって程でもないけれど、このままでは飢え死にだ。こういう時は、同盟を組んでいる共和国を頼るしかない。
「となれば、あたしの出番ですね。壁はお任せください。僭越ながら、この勇者の秘書であるあたしが先陣を切らせて戴きます」
「ああ、頼む。カルニの防御力が必ず必要になる。第五エリアはもっと難関になるだろうし、とりあえず、今日は様子を見に行こう。フルク、体調は?」
俺は、フルクの方へ向き直って、様子を伺った。
「……だ、大丈夫ですよ。そんな見つめないで下さい……照れちゃいますから」
顔が赤いのは、俺が見つめているせいか。
今のところは大丈夫そうだな。
でも、常に気を使っていこう。
フルクに倒れられたら困る。
「でも、一応だ。フルク、おでこに手を当てさせて貰うぞ」
右手を伸ばして、フルクの真っ白なおでこに手を当てた。これで熱を測るつもりだったのだが、フルクはボンッと顔を沸騰させていた。
「…………ア……アウルムさん」
「ん? なんか熱があるようだが」
「それは主様が触られているからでは」
横のマルガから突っ込みが入った。そうか、俺のせいか。どうやら、俺では熱を測れないようだな。マルガに任せた。
「……」
「熱はないようです。大丈夫でしょう」
問題はないようだな。よし、朝食を済ませ、EXダンジョンへ出発する――!!
◆
――EXダンジョン前――
「準備はいいか、皆!」
「「「おおお~~~!!!」」」
元気のよい返事を貰ったので、俺は転移装置を使い、第四エリアまで飛んだ。
――転移が完了すると第五エリアの扉前。大きな扉がドン構えている。これを開ければ、まだ未開拓のダンジョンだ。次はどんなモンスターが現れるやらな。
扉をオープンする。
ゴゴゴと轟音を立てて扉が開き、中へ侵入出来るようになった。戦闘をカルニに任せ、ゆっくりと侵入していく。
「……こ、これは」
空間が歪んでいた。……なんだあれは。懐中時計のような残像が天井を覆って、流れている。
「な、なんですか、ここ」
フルクは、不安そうに天井を見つめる。確かにこれは不気味だ。奥行きもかなりあり、今までの空間の中でもかなり広いと伺えた。
「主様、あのモンスター!」
「ああ、マルガ。お前はなるべく後方にいろ。あれは危険すぎる……。まさか、あんなのがいるとはな」
奥からワラワラ現れる『タイムキーパー』というモンスター。大きな三角形が鎧のような形となっている。。なんと異質な……人型っぽいような、獣のような、もうなんと言ったらいいか分からない。
「きますよ、アウルム様」
先行しているカルニが焦っていた。
大丈夫なのか!?
やがて、タイムキーパーは闇属性魔法『ダークストライク』を放ってきた。黒い渦が固まりとなって向かってくる。
「こいつはやべぇぞ……けどな! レベル投げッ!!」
爆発、クリティカルを混ぜて、俺はレベルを投擲した。なんとかダークストライクを相殺し、事なきを得た。
「やりましたね、アウルムさん!」
フルクとハイタッチして、喜ぶが――まだだ。まだ倒せてはいない。カルニにモンスターを抱えて貰い、俺はそこを狙う。
「いくぜ、みんな!!」
戦闘開始……!
「というわけだ。フルクの為にもEXダンジョンの第十エリアを攻略する。そうしないと、フルクがずっと体調悪いまま……下手すりゃ死ぬかもしれん」
「ええ……」
本人が一番驚いていた。
そうだろうな。
「そうでしたか、フルク様の病気の原因がEXダンジョンにあったとは……驚きです。では、稼ぎつつ第十エリアを目指す感じで?」
「そうだな、マルガ。どのみち食糧問題もあるし、稼ぐ必要がある。まず、レアアイテムをゲットしまくって、共和国に食料と交換して貰う」
まだ備蓄はあるから、直ぐ食料が尽きるって程でもないけれど、このままでは飢え死にだ。こういう時は、同盟を組んでいる共和国を頼るしかない。
「となれば、あたしの出番ですね。壁はお任せください。僭越ながら、この勇者の秘書であるあたしが先陣を切らせて戴きます」
「ああ、頼む。カルニの防御力が必ず必要になる。第五エリアはもっと難関になるだろうし、とりあえず、今日は様子を見に行こう。フルク、体調は?」
俺は、フルクの方へ向き直って、様子を伺った。
「……だ、大丈夫ですよ。そんな見つめないで下さい……照れちゃいますから」
顔が赤いのは、俺が見つめているせいか。
今のところは大丈夫そうだな。
でも、常に気を使っていこう。
フルクに倒れられたら困る。
「でも、一応だ。フルク、おでこに手を当てさせて貰うぞ」
右手を伸ばして、フルクの真っ白なおでこに手を当てた。これで熱を測るつもりだったのだが、フルクはボンッと顔を沸騰させていた。
「…………ア……アウルムさん」
「ん? なんか熱があるようだが」
「それは主様が触られているからでは」
横のマルガから突っ込みが入った。そうか、俺のせいか。どうやら、俺では熱を測れないようだな。マルガに任せた。
「……」
「熱はないようです。大丈夫でしょう」
問題はないようだな。よし、朝食を済ませ、EXダンジョンへ出発する――!!
◆
――EXダンジョン前――
「準備はいいか、皆!」
「「「おおお~~~!!!」」」
元気のよい返事を貰ったので、俺は転移装置を使い、第四エリアまで飛んだ。
――転移が完了すると第五エリアの扉前。大きな扉がドン構えている。これを開ければ、まだ未開拓のダンジョンだ。次はどんなモンスターが現れるやらな。
扉をオープンする。
ゴゴゴと轟音を立てて扉が開き、中へ侵入出来るようになった。戦闘をカルニに任せ、ゆっくりと侵入していく。
「……こ、これは」
空間が歪んでいた。……なんだあれは。懐中時計のような残像が天井を覆って、流れている。
「な、なんですか、ここ」
フルクは、不安そうに天井を見つめる。確かにこれは不気味だ。奥行きもかなりあり、今までの空間の中でもかなり広いと伺えた。
「主様、あのモンスター!」
「ああ、マルガ。お前はなるべく後方にいろ。あれは危険すぎる……。まさか、あんなのがいるとはな」
奥からワラワラ現れる『タイムキーパー』というモンスター。大きな三角形が鎧のような形となっている。。なんと異質な……人型っぽいような、獣のような、もうなんと言ったらいいか分からない。
「きますよ、アウルム様」
先行しているカルニが焦っていた。
大丈夫なのか!?
やがて、タイムキーパーは闇属性魔法『ダークストライク』を放ってきた。黒い渦が固まりとなって向かってくる。
「こいつはやべぇぞ……けどな! レベル投げッ!!」
爆発、クリティカルを混ぜて、俺はレベルを投擲した。なんとかダークストライクを相殺し、事なきを得た。
「やりましたね、アウルムさん!」
フルクとハイタッチして、喜ぶが――まだだ。まだ倒せてはいない。カルニにモンスターを抱えて貰い、俺はそこを狙う。
「いくぜ、みんな!!」
戦闘開始……!
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