義妹と旅する車中泊生活

桜井正宗

文字の大きさ
2 / 24

車を借りよう

しおりを挟む
 ――登録が完了しました。

 そんなメールが届いた。URLを開くと確認完了で全ての登録が終わった。これでスマホをシェアカーにかざすだけで扉が開くという仕組みらしい。時間管理もアプリでしてくれるし、自動精算もしてくれる。良い時代だ!

 家から徒歩で行く。

「なあ、歩花。ひとつ疑問があるんだが」
「なぁに、お兄ちゃん」
「なんで学生服ブラウスなんだ? 私服でいいだろう」
「いいじゃん。学生デートっぽくて」
「だがなぁ……」

 学生のノリか。まあ、俺も大学生ではあるけれど、回りからすると俺が連れ回しているような感じに見えるので――ちょっとリスクが高いのだが。そんな心配をしていると、歩花は笑った。

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。もし、お巡りさんに何か言われても、お兄ちゃんを絶対にかばってあげるし、ていうか、身内なんだし」
「それはそうだがなあ。じゃあ、いざとなったら頼むぞ」
「うんうん。わたしに任せなさ~い」

 制服越しでも分かる豊満な胸を張る歩花。高校生にしては大きく、本人曰くまだ成長中らしい。兄としてはそんなエロい目で見るつもりはないけれど、これだけ強調されていると視界に入れるなっていう話の方が無理だった。


 ――駅前まで付くと【カーシェアリング】の看板があった。なるほど、あの駐車場へ向かえばいいのか。歩花と共に中へ入って行く。

 駐車場の隅に車が四台停められており、前もって予約した車に乗車するようだ。俺は、アプリで『X-VAN』を選択しておいた。

 最近出たばかりの最新モデルであり、バン仕様の車だった。どうやら、最近流行りの車中泊に向いているようだな。俺はその興味もあり選んでいた。

 一番隅にカーキ色の渋い車が駐車していた。


「おぉ、これかぁ。軽自動車にしてはデカいな」
「可愛いね、お兄ちゃん。なんていう車?」
「X-VANだってさ。ホンタのヤツだな。新車で買うと……うわっ、フルオプションで二百万だってさ」

「に、二百万!? 凄い値段だね……。それが数千円で乗れちゃうの?」
「らしい。とんでもなく画期的だよな、カーシェアリング」
「うんうん!」

 驚愕的な値段とカーシェアリングの利便性に納得する歩花は、テンションを高くしてうなずく。

 俺は、スマホの近距離無線通信NFCを使い、車の扉を開錠。ピッと音が鳴るやカチャッと扉が開いた。……おぉ、ついに乗れるんだな。

 運転席へ回り、ドアを開ける。

「マジで乗れるんだ。ちょっと感動した」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。わたしも助手席に乗っていい!?」
「ああ、いいよ。出発しよう」
「やったー!!」

 さっそく乗車。かなりしっかりした運転席で、座り心地は抜群に良かった。なにこれ高級なソファかな! 背もたれも完璧じゃん。空間も広く作られ、軽自動車とは思えない豪華な内装だった。

「広々としているなあ。デカいカーナビもあるし、後ろ広いし!」
「あははー、なんか別世界みたいだね、お兄ちゃん!」
「あ、ああ……俺もなんかワクワクしてきたよ。来て良かったな、歩花」
「うん! 後ろって倒せるのかな」

「そうだな、X-VANは助手席も含めてフルフラットになるらしい」

「ふるふらっと?」

「つまり、席を全部倒して床に出来るようだな。運転席以外全部な」
「ええっ! そんな事が出来るの? すごいすごい、見せて欲しい」


 歩花から強請ねだられると、断れないな。それに、俺もフルフラットモードは見てみたい。歩花に一度車から降りてもらい、俺は歩花の居た助手席の方へ向かった。

「いいか、歩花。このX-VANはな『センターピラーレスドア』なんだ。こうして……助手席と後部座席の扉をこう観音開きに出来る」
「ひ、広ぉ!」

 今、助手席と後部座席側が開放感抜群の大開となっている。この状態で席を倒していく。スムーズにフルフラットに出来た。


「完成っと。凄くね?」
「す、すごい……これって完全に寝れるじゃん」
「縦2.5メートルはスペースがあるらしいぞ」

 助手席も倒せるものだから、むちゃくちゃ余裕があった。男の俺である171cmも余裕も余裕。荷物置けるスペースでさえあった。これは凄いぞ。装備を完璧に揃えれば、車中泊も余裕だな。

「これって寝泊まり出来ちゃうね。ねえね、お兄ちゃん、ちょっと寝てもいい!?」
「ああ、構わないよ」

 X-VANに乗り込み、歩花はそのまま猫のようにゴロゴロし始めた。おぉ、歩花は身長も低いからスペースが余りまくりだな。

 俺は記念に写真を一枚撮った。
 ダブルピースで良い笑顔だな、歩花。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

処理中です...