11 / 24
宝くじの抽選結果①
しおりを挟む
気持ちの良い日差しが俺を目覚めさせた。起き上がろうとするけど、体が妙に重かった。……あれ、なんか布団の上に重みが――って。
「歩花がいたんだった……」
目の前にはまだ眠りこけている歩花がいた。ほぼ目の前に唇。こ、これはちょっと早朝から刺激が強い。
ドキドキしながら、俺は歩花を起こす。
「ん~…。お兄ちゃん、どこ触ってるのぉ……えっちぃ」
「なッ! 体を揺すっただけだ! 変なところは……あ、寝言か」
「……すぅ、すぅ」
歩花はまだ寝息を立てていた。気持ちよさそうに寝ているし、起こすのも悪いか。俺は、こっそりベッドから抜け出した。
そのまま部屋を出て、洗面所へ。顔を洗い、朝風呂にでも入ろうかなと思った矢先、スマホが激しくバイブした。
ブゥンブゥンとしついこ程に振動し、俺はビビった。画面を確認すると、そこには【親父】の文字。――なんだ、親父かよ。
俺は、渋々ながら電話に出た。
『――おぉ、回か。元気にやっているか』
「親父こそ、海外旅行じゃなかったのかよ」
『まだ空港さ。これから飛び立つので、しばらくは連絡できない』
「そうか。母さんとよろしく」
『ああ、母さんとはラブラブやっているよ』
「分かった、分かった」
別に、二人の仲なんて聞きたくもなかった。さっさとドバイでもタヒチでも行きやがれ。
『そうだ、電話を切る前に言っておく』
「なんだ?」
『PoyPoyへ生活費を送っておいた。確認しておくんだぞ』
「せんきゅ。じゃあ、また向こうでラインでもしてくれ」
『さらばだ、我が息子よ!』
――ガチャッと、そこで電話は切れた。相変わらず、独特な世界観を持つ親父だ。それより生活費だ。お金がなければ、この長い夏を乗り切れない。俺は、アプリを起動して送金額を確認。
「ん?? まて、たったの三千円!? これでどう生活しろっていうんだ、あのバカ親父!」
子供のお小遣いじゃあるまいし、酷いなぁ。結局、自分で何とかしろって事じゃないか。……忘れていた。あの親父はそういうヤツだと。
落とし物をしたようなショックを受けていると、歩花が起きてきた。
「おはよー、お兄ちゃん」
「おはよう、歩花。眠そうだな」
「……うん。途中起きて、お兄ちゃんの寝顔を見てたから」
――と、ぼけぼけっとした顔で歩花は洗面所へ向かった。な、なんだって……歩花のヤツ、俺の寝顔を観察していたのか。それで寝不足って……。
ホットサンドメーカーを使い、サクサク、モチモチの『クロックムッシュ』を作った。材料にホワイトソース、ハム、とろけるチーズ、パセリを挟んだものだ。これを四分で焼く。するとピザのようなホットサンドが完成する。
チーズがトロトロで美味い。
「はい、歩花の分。ホットコーヒーも」
「ありがとう。それにしても、お兄ちゃんって、そういう料理は出来るんだね」
「あぁ、いつか車中泊をする機会もあるだろうと思って、最低限の料理はできるように参考書の内容を頭に叩き込んである」
「お兄ちゃんって、そういう趣味系になると記憶力とか凄いよね。尊敬しちゃう!」
人間、不思議なもので“趣味”となると覚えが早いし、なぜか忘れない。だから、特定の料理なら可能だった。
「今日も上出来だな、クロックムッシュ」
「ハムとチーズのバランスが最高だね。これクセになるぅ」
ホットサンドメーカーを開発した人は天才だな。パンと具材をプレートに挟み、焼けばいいだけだし、誰でも調理できる。
俺は歩花の幸せそうな表情を脳に焼き付けながら、口当たりの良い微糖コーヒーを味わった。そんな至福の中、歩花が何かを思い出したようだった。
「ん、どうした?」
「そういえば、ロム6の結果を見てない。お兄ちゃん、ちょっとスマホで確認しちゃうね」
テーブルの上に放置されていた『宝くじ券』を手にし、歩花はネットで抽選結果を探っていた。どうせハズレか当たっていても五等くらいだろう。
五等・千円、四等・五千円、三等・三十万円、二等・一千万円、一等・二億円。ただし、一等はキャリーオーバーが発生すれば、最大六億円。ちなみに、キャリーオーバーは前回に一等の該当が“なし”の場合、当選金額が次回分に繰り越される仕組みの事らしい。だから、最大六億円になる。
今は、ちょうどキャリーオーバー発生中だった。大チャンスだ。
今回、歩花が買った金額が千円。一口二百円なので、五口だ。番号も見せてもらった。
【01】【19】【23】【27】【42】【43】
【02】【05】【08】【34】【38】【39】
【02】【09】【11】【19】【22】【33】
【07】【15】【21】【29】【31】【33】
【09】【12】【13】【18】【19】【41】
どうやら、自選とクィックピックが混じっているようだな。最後の列だけQPだった。
「なんだ。結局、QPでも買っていたんだな」
「だ、だって……誕生日しか思いつかなかったんだもん」
そういえば、誕生日買いだったな。だけど、こういう誕生日買いでの高額当選が世界的に見ても出ている事実がある。果たして、俺たちに幸運の女神が微笑むのだろうか。……なんて、淡い期待をしてみる。
歩花は、ようやく抽選結果のページに辿り着いたようでチェックしていた。一個ずつ丁寧に。一列目、二列目は手応えなし。三列目になると歩花の顔色が変わっていく。
「どうした、歩花」
「えっと……あのね。数字が一致しているの」
「何個?」
「今……三つ。だから、五等の千円は当選したよ。でもね、この後も続くかも」
「お、おぉ……まさか!」
ごくりと息を飲む。五等が当選しただけでも喜ばしい事だが、まだ続きがある。
「次も見ちゃうね。……あ、当たってる」
「マ、マジィ!? これで四個一致で四等だぞ。このまま五個一致すれば三等。ボーナス数字が入れば二等。全部一致なら一等で……六億だぞ!」
「や、やばいね! でも、まだ分からないし、続きを見るね」
やっべー、手が震えて来た。
歩花も落ち着かない様子でソワソワしていた。こうなったら、せめて三等を取りたい。俺は祈った――!
「歩花がいたんだった……」
目の前にはまだ眠りこけている歩花がいた。ほぼ目の前に唇。こ、これはちょっと早朝から刺激が強い。
ドキドキしながら、俺は歩花を起こす。
「ん~…。お兄ちゃん、どこ触ってるのぉ……えっちぃ」
「なッ! 体を揺すっただけだ! 変なところは……あ、寝言か」
「……すぅ、すぅ」
歩花はまだ寝息を立てていた。気持ちよさそうに寝ているし、起こすのも悪いか。俺は、こっそりベッドから抜け出した。
そのまま部屋を出て、洗面所へ。顔を洗い、朝風呂にでも入ろうかなと思った矢先、スマホが激しくバイブした。
ブゥンブゥンとしついこ程に振動し、俺はビビった。画面を確認すると、そこには【親父】の文字。――なんだ、親父かよ。
俺は、渋々ながら電話に出た。
『――おぉ、回か。元気にやっているか』
「親父こそ、海外旅行じゃなかったのかよ」
『まだ空港さ。これから飛び立つので、しばらくは連絡できない』
「そうか。母さんとよろしく」
『ああ、母さんとはラブラブやっているよ』
「分かった、分かった」
別に、二人の仲なんて聞きたくもなかった。さっさとドバイでもタヒチでも行きやがれ。
『そうだ、電話を切る前に言っておく』
「なんだ?」
『PoyPoyへ生活費を送っておいた。確認しておくんだぞ』
「せんきゅ。じゃあ、また向こうでラインでもしてくれ」
『さらばだ、我が息子よ!』
――ガチャッと、そこで電話は切れた。相変わらず、独特な世界観を持つ親父だ。それより生活費だ。お金がなければ、この長い夏を乗り切れない。俺は、アプリを起動して送金額を確認。
「ん?? まて、たったの三千円!? これでどう生活しろっていうんだ、あのバカ親父!」
子供のお小遣いじゃあるまいし、酷いなぁ。結局、自分で何とかしろって事じゃないか。……忘れていた。あの親父はそういうヤツだと。
落とし物をしたようなショックを受けていると、歩花が起きてきた。
「おはよー、お兄ちゃん」
「おはよう、歩花。眠そうだな」
「……うん。途中起きて、お兄ちゃんの寝顔を見てたから」
――と、ぼけぼけっとした顔で歩花は洗面所へ向かった。な、なんだって……歩花のヤツ、俺の寝顔を観察していたのか。それで寝不足って……。
ホットサンドメーカーを使い、サクサク、モチモチの『クロックムッシュ』を作った。材料にホワイトソース、ハム、とろけるチーズ、パセリを挟んだものだ。これを四分で焼く。するとピザのようなホットサンドが完成する。
チーズがトロトロで美味い。
「はい、歩花の分。ホットコーヒーも」
「ありがとう。それにしても、お兄ちゃんって、そういう料理は出来るんだね」
「あぁ、いつか車中泊をする機会もあるだろうと思って、最低限の料理はできるように参考書の内容を頭に叩き込んである」
「お兄ちゃんって、そういう趣味系になると記憶力とか凄いよね。尊敬しちゃう!」
人間、不思議なもので“趣味”となると覚えが早いし、なぜか忘れない。だから、特定の料理なら可能だった。
「今日も上出来だな、クロックムッシュ」
「ハムとチーズのバランスが最高だね。これクセになるぅ」
ホットサンドメーカーを開発した人は天才だな。パンと具材をプレートに挟み、焼けばいいだけだし、誰でも調理できる。
俺は歩花の幸せそうな表情を脳に焼き付けながら、口当たりの良い微糖コーヒーを味わった。そんな至福の中、歩花が何かを思い出したようだった。
「ん、どうした?」
「そういえば、ロム6の結果を見てない。お兄ちゃん、ちょっとスマホで確認しちゃうね」
テーブルの上に放置されていた『宝くじ券』を手にし、歩花はネットで抽選結果を探っていた。どうせハズレか当たっていても五等くらいだろう。
五等・千円、四等・五千円、三等・三十万円、二等・一千万円、一等・二億円。ただし、一等はキャリーオーバーが発生すれば、最大六億円。ちなみに、キャリーオーバーは前回に一等の該当が“なし”の場合、当選金額が次回分に繰り越される仕組みの事らしい。だから、最大六億円になる。
今は、ちょうどキャリーオーバー発生中だった。大チャンスだ。
今回、歩花が買った金額が千円。一口二百円なので、五口だ。番号も見せてもらった。
【01】【19】【23】【27】【42】【43】
【02】【05】【08】【34】【38】【39】
【02】【09】【11】【19】【22】【33】
【07】【15】【21】【29】【31】【33】
【09】【12】【13】【18】【19】【41】
どうやら、自選とクィックピックが混じっているようだな。最後の列だけQPだった。
「なんだ。結局、QPでも買っていたんだな」
「だ、だって……誕生日しか思いつかなかったんだもん」
そういえば、誕生日買いだったな。だけど、こういう誕生日買いでの高額当選が世界的に見ても出ている事実がある。果たして、俺たちに幸運の女神が微笑むのだろうか。……なんて、淡い期待をしてみる。
歩花は、ようやく抽選結果のページに辿り着いたようでチェックしていた。一個ずつ丁寧に。一列目、二列目は手応えなし。三列目になると歩花の顔色が変わっていく。
「どうした、歩花」
「えっと……あのね。数字が一致しているの」
「何個?」
「今……三つ。だから、五等の千円は当選したよ。でもね、この後も続くかも」
「お、おぉ……まさか!」
ごくりと息を飲む。五等が当選しただけでも喜ばしい事だが、まだ続きがある。
「次も見ちゃうね。……あ、当たってる」
「マ、マジィ!? これで四個一致で四等だぞ。このまま五個一致すれば三等。ボーナス数字が入れば二等。全部一致なら一等で……六億だぞ!」
「や、やばいね! でも、まだ分からないし、続きを見るね」
やっべー、手が震えて来た。
歩花も落ち着かない様子でソワソワしていた。こうなったら、せめて三等を取りたい。俺は祈った――!
10
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~
桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。
高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。
見知らずの後輩である自分になぜと思った。
でも、ふりならいいかと快諾する。
すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる