義妹と旅する車中泊生活

桜井正宗

文字の大きさ
20 / 24

車中泊アイテム爆買い

しおりを挟む
 ナビ通りに進み、到着。
 駐車場に停め、店舗を見据みすえる。

 アウトドア専門店『Snowスノー Parkパーク』は、キャンプ用品などを取り扱っている大型店舗。この街では一番のお店だろう。

「こういうお店、歩花と一緒に入るの初めてだな」
「うん、なんだか別世界みたい」

 車を降り、店内へ向かう。客はそれほどいないようだ。そのまま入店すると『Snowスノー Parkパーク』の文字版がデカデカと掲示されていた。そして、広くて清潔感があった。シンプルで綺麗な造りだなぁ。

 さっそく、テントの展示が目の前に。キャンプ用のテーブルや椅子、バーベキューコンロ、シュラフが並べられている。
 う~ん、この空気良いね。

「とりあえず、車中泊の道具があんまりそろっていないから、必要なものを買っていくか」
「うん。わたしも何となく候補を上げていくね」
「ああ、歩花も欲しい物があったら、遠慮なく言ってくれ」

 買い物かごを手にし、店内を歩きだす。
 まずは調理道具だろう。

 スノーパーク製のクッカーセット、チタンマグ、スプーンやフォーク、俎板まないたセットはキャンパーに人気がある。俺も憧れだった。

 全部、カゴに詰めていく!

「ねえねえ、お兄ちゃん。それって全部、チタンって書いてあるけど」

 首をあざとくかしげる歩花は、買い物カゴに入っている珍品に注目する。おぉ、目の付け所が良いな。


「そうだ、可能な限りチタン製品を選択する」
「なんで?」

「いいか、歩花。チタンは、軽くて丈夫なんだ。しかもびにくいし、熱に強かったりもするんだ。熱い飲み物を飲む時にも最適だぞ。だから、ステンレス製品よりも実用的なんだ」

「さすがお兄ちゃん。詳しい!」


 単にチタンがカッコいいっていう理由もあるけどね。あぶると独特な色が出て、それがまたイイ。あれも憧れのひとつだ。


「調理道具はこんなところかな」
「え、でもまって。火とか使わないの?」
「いや、基本的に電気しか使わない。でも、電気だけに頼ると危険だから、固形燃料の使える『ポケットストーブ』は持参していくよ」

「ポケットストーブ?」

「手のひらサイズの折り畳みコンロさ。固形燃料で調理できるから、コスパも良い。これに関しては所持しているから問題ない」

「おぉ! お兄ちゃん、さっきから知識量凄すぎ。どんだけ動画見てたの~」
「ふっふ。暇さえあれば車中泊動画を見ているからな」

 LEDランタン、折り畳みマット、シングルバーナー、ケトル、ホットサンドメーカー、ゴミ袋、アルミホイル、ラップ、湯煎用ポリ袋、メタルマッチなど数千で買える安い道具だけは災害用に買ってあった。でも、古い物もあるし、ここで買い替えておく。

「お兄ちゃんがいて良かったよ。歩花ひとりだったらさびしかったもん」
「ソロ車中泊が大多数だけど、夫婦で全国を回っている人もいるからな。俺としても、歩花がいて嬉しいよ」

「……良かった。歩花は必要なんだよね」
「当たり前だろ。こんなに可愛い妹と旅ができるとか贅沢の極みだ」
「えへへっ。おっぱいも大きいよ?」

 上目遣うわめづかいで歩花は視線を送ってくる。こんなエロ可愛い視線、どんな男でも一撃で落ちる。あまりに可愛くて、俺は耳まで真っ赤になった。……ずるいって、その欲張りセット。

「そ、そうだな。って、店内で何を言っているんだ。もう、買い物を続けるぞ」


 その後、生活に必要な道具をどんどんカゴに突っ込んでいった。予備含め沢山買ったので、なかなかの金額になりそうだ。

 それから更に、洗面道具や寝具のシュラフやブランケット、枕も追加。カゴが三個分になってしまった。ついついLEDランタンも追加購入。歩花の要望で消臭除菌アイテムも増えていく。

 熱中対策でサーキュレーターや保冷剤も買った。

 いろいろ買った結果――十五万円弱飛んだ。凄い量に店員さんが大変そうだったが、こっちの準備期間がもうあまり無いので、一気に買うしかなかったのだ。許してくれ。

 長い会計を済ませ、お店を出た。


「後は通販で、ポータブル電源やポータブル冷蔵庫を購入かな。あ、Wi-Fiルーターの契約もしないとなぁ。ネット環境は必須だ。この際だから、スマホも最新機種にしちゃおうぜ」

「やる事多いね~。あとは明日にする?」
「そうだな。会計は済ませたし、いったん自宅へ戻り、荷物を降ろすぞ」


 荷物を車に押し込み、出発。
 空は黄昏たそがれとなり、今にも日が落ちそうだった。もう夜だな。

「……」

 歩花は、助手席で眠そうにしている。今日はあっちこっち回ったし、疲れているんだろうな。自宅まではまだあるし、眠らせてやろう。


「歩花、寝ていいぞ」
「……はっ! ね、寝てないよ!?」
「嘘つけ。口元、ヨダレが垂れているぞ」

「はぅっ!」

 ハンカチで口元をぬぐう歩花。直後、恥ずかしそうに両手で顔をおおっていた。そんな何気ない仕草しぐさがたまらない。

 歩花は、眠気に耐えながら話題を振ってきたが――結局、眠気に負けて撃沈。すーすーと寝息を立てて気持ちよさそうに眠っていた。

 うん、それでいい。


 俺は寝顔を眺めつつ、車を走らせた。
 自宅前に辿たどり着くと同時に、バイクが運転席側に止まった。あれ、この銀髪の子って歩花の友達じゃないか。

狐塚こづかちゃんか」
「はい、こんちゃんですよ。回お兄さん」

 指で狐を作り、コンコンと示してくる。
 それが独自の挨拶らしい。

「歩花に会いに来たの?」
「それもあります。でも、歩花ちゃんは眠っていますね」
「ああ、疲れているんだ。しばらく眠らせてやるつもりだ」
「そうでしたか。そういえば、歩花ちゃんから旅行に行くかもとラインで聞かされました。本当ですか?」

 いつの間にラインで言っていたんだか。別に困る事ではないけど。

「そうだよ。三日後に、軽キャンピングカーが納車される。ありたっけの道具を詰め込んで出発しようと思うよ」

「凄いですね、こんな短期間で。回お兄さんってお金持ちなんですね?」
「ま、まあね。ちょうど株が当たったんだ」
「そういう事にしておきましょう。それより、旅行の件です。あたしもついて行っていいですか?」

「突然だね。でも、軽キャンピングカーに三人はきついな」

「大丈夫です。あたしには、この子……最新モデルのハンタークロスカブちゃんがいますから」

 ドヤッとまたがっているバイクを紹介する狐塚。ああ、これが例のバイクか。デザインが今時でカッコいいな。まさかの125ccのカブとはな。いわゆる、ピンクナンバーだ。リアボックスを装備しているところ、準備は万端ばんたんか。

「分かった。歩花と相談してみるよ。それでいいかい?」
「ありがとうございます、回お兄さん。あとライン交換して下さいっ」

 スマホを向けられ、俺は少しあせる。歩花の方へ視線を移すが、眠っているようだった。なんだか後が怖い気もするけど、狐塚ちゃんなら友達だし、大丈夫だろう。

 俺は、狐塚ちゃんとライン交換を済ませた。

「これでいいかな」
「はい、また連絡しますね! 歩花ちゃんにもよろしくお願いします。ではでは」

 バイクを走らせ、颯爽さっそうと去っていく。まさか、同行希望とはなあ。しかし、125ccで? 高速道路は乗れないし、山道とか大変そうだ。しかも季節は夏。日焼けとか色々対策もしないと大変だ。大丈夫かなぁ。

 心配になっていると、歩花が目をこすりながら起きた。

「お兄ちゃん、誰かと喋ってた……?」
「さっき狐塚ちゃんがいたんだよ。歩花に話があったらしいよ」
「そっかぁ。じゃあ、あとでラインしておくね。……ちなみに、ライン交換とかしてないよね」

 なんだか重い口調で確認してくる。うわ、なんか背筋がゾクッときたし、怖いぞ。下手な発言は死を招きそうな気がしていた。しかし、歩花に嘘はつけない。

「すまん、ライン交換はした」

 正直に言うと、歩花は突然泣き出した。

「……ダメだよ、お兄ちゃん。わたし以外の女の子とラインとか!」
「狐塚ちゃんは友達だろ?」

「そ、そうだけど……お兄ちゃん、取られちゃうもん。そんなのイヤ」
「心配しすぎだ。狐塚ちゃんにそんな気もないと思うし、恋人関係になるとは思えない」
「ホントに? 浮気しない?」

 う、浮気って……。
 けれど歩花の瞳は本気だ。
 冗談で返す空気ではないな。

「しないしない。ほら、頭でてやるから機嫌直せって」
「お、お兄ちゃん……うんっ、えへへ……♡」

 俺は、歩花の黒髪に触れ、優しくでた。すると呆気あっけない程に歩花はご機嫌になった。ちょろっ……!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

処理中です...