43 / 53
美人で大人な生徒会長
しおりを挟む
爽やかな笑みを浮かべる女生徒がいた。なんで彼女がいるんだよ。しかも、なんでウチの学校の制服を……?
「九十九さん……ですよね!?」
サラサラの栗色の髪が特徴的だし、大人な感じとか瓜二つ。ていうか、本人に間違いない。泣きボクロもあるし!! でも、眼鏡掛けてる。結構似合ってるな。
「うん、そう。ごめんね、邪魔しちゃったかな」
「いや……その、九十九さんって大学生ではなかったのですか?」
「いやいや、この高校の三年生だよ。ちなみに生徒会長」
マジか!!
あまりに大人びていたから、俺はてっきり大学生とかフリーターと思っていたよ。てか、生徒会長かよ。知らなかったぞ。
先輩も同じように驚き、目を白黒させていた。
「つ、九十九さん……三年生だったんですね」
「あ~、柚ちゃんと同じ学年だね。まあ、いつも眼鏡で変装(?)してるし、分からないか」
「そ、その……驚きました」
「驚かすつもりはなかったけどね~。ていうか、愁くん……ちょいちょい」
妙な視線を向けられると同時に手招きされる。これは、行った方が良さそうだ。
「先輩、ちょっと九十九さんと話してきます」
「……うん」
心配そうにこちらを見る先輩。まあ、九十九さんだから大丈夫だろう。
少し離れると九十九さんは耳打ちしてきた。
「ねえ、愁くん……さっき柚ちゃんのスカートの中に頭を突っ込んでなかった?」
「――――なッ!!!」
み、見られていたああああああああああ!?
や……やば。
心臓がバクバクだ。……いや、落ち着け。疑問形ってことは確信がないってことだよな。うん、まだ探っているってところだ。
「なんか変なことしていたよね」
「そんなことしていません。それじゃあ、ただのヘンタイじゃないですか」
「え……愁くんってヘンタイじゃないの?」
「真面目な顔して言わんでください。そんなわけないでしょう。俺は至って紳士です」
「へー」
へー…って。
信じていないな! ……当然だろうけど。
「なにもしていませんからね」
「ふぅん。……別にいいとは思うけどね、彼女なんでしょ?」
「そ、そうですけど」
「そっかそっか。じゃあ、奪い甲斐があるね」
「へ……」
「いや、なんでも。じゃあね、愁くん」
九十九さんはくるっと背を向け、爽やかに去っていく。……って、最後なんかとんでもないことを言っていたような。
……まあいいか。
「先輩、お待たせしました」
「なにを話していたの?」
「そ、その……見られていたかもしれません」
「え!?」
「……でも、誤魔化しておきました。たぶん、九十九さんには一瞬見られていたのかも」
「そ、そうなんだ。恥ずかしいけど……でも、いっか」
「いいんですか」
「うん、恋人だもん。堂々としていればいいよ」
「それも――そうですね」
写真を撮られたわけでもないし、九十九さんなら言いふらすこともしない。安心していいだろう。
それより、なにか“奪う”とか言っていたのが気になる。
* * *
昼休みが終わった。
別れ際、先輩は少し心配そうに俺の手を握った。九十九さんとのことが気掛かりなのかな。でも、大丈夫だ。
もう、蜜柑先輩の時のようなヘマはしない。
そんな誓いを心の中で立てて、教室へ。
テストも近いので、そこそこ真面目に授業を受け――耐え凌いだ。
ようやく放課後だ。
「……ふぅ、帰るか」
席から立ち上がると……見知った顔の男が現れた。
「お~っと、まった! 秋永! 僕の名は……」
「小田原!」
「ちょっと惜しい!! けど、ちがーう!! 小野だ、小野!!」
「そうだった。小野だ」
「いい加減、覚えろよ!」
「……すまん、男の名前は特に覚えが悪いんだ」
「なんだそりゃ。まあいいや、それより僕と一緒にWOをやらないか。金を稼ごうぜ」
「断る。俺はもうギルドに所属しているし、彼女とプレイしているからな」
「な……なんだと! ……って、あの和泉先輩とやっているんだな」
「まあな。俺と先輩が付き合っているってことは、もうかなり広まっているんだな」
「有名だぞ。お前と和泉先輩のこと」
そりゃ、普段から二人でベタベタしているからな、嫌でも目立つわけだ。
「じゃ、悪いけど俺は行く」
「仕方ないな。気が変わったら言ってくれ」
「多分な」
俺は小野と別れ、教室を出た。
しかし、珍しく先輩からのライン連絡もなければ……合流する気配もなかった。三年の教室へ行ってみるか。……でも、どこのクラスが聞いていないや。
誰かに聞くのもなぁ。
ふとプールを視界に入れると、先輩と蜜柑先輩らしき人物を見つけた。まさか、水泳部へ?
……行ってみるか。
「九十九さん……ですよね!?」
サラサラの栗色の髪が特徴的だし、大人な感じとか瓜二つ。ていうか、本人に間違いない。泣きボクロもあるし!! でも、眼鏡掛けてる。結構似合ってるな。
「うん、そう。ごめんね、邪魔しちゃったかな」
「いや……その、九十九さんって大学生ではなかったのですか?」
「いやいや、この高校の三年生だよ。ちなみに生徒会長」
マジか!!
あまりに大人びていたから、俺はてっきり大学生とかフリーターと思っていたよ。てか、生徒会長かよ。知らなかったぞ。
先輩も同じように驚き、目を白黒させていた。
「つ、九十九さん……三年生だったんですね」
「あ~、柚ちゃんと同じ学年だね。まあ、いつも眼鏡で変装(?)してるし、分からないか」
「そ、その……驚きました」
「驚かすつもりはなかったけどね~。ていうか、愁くん……ちょいちょい」
妙な視線を向けられると同時に手招きされる。これは、行った方が良さそうだ。
「先輩、ちょっと九十九さんと話してきます」
「……うん」
心配そうにこちらを見る先輩。まあ、九十九さんだから大丈夫だろう。
少し離れると九十九さんは耳打ちしてきた。
「ねえ、愁くん……さっき柚ちゃんのスカートの中に頭を突っ込んでなかった?」
「――――なッ!!!」
み、見られていたああああああああああ!?
や……やば。
心臓がバクバクだ。……いや、落ち着け。疑問形ってことは確信がないってことだよな。うん、まだ探っているってところだ。
「なんか変なことしていたよね」
「そんなことしていません。それじゃあ、ただのヘンタイじゃないですか」
「え……愁くんってヘンタイじゃないの?」
「真面目な顔して言わんでください。そんなわけないでしょう。俺は至って紳士です」
「へー」
へー…って。
信じていないな! ……当然だろうけど。
「なにもしていませんからね」
「ふぅん。……別にいいとは思うけどね、彼女なんでしょ?」
「そ、そうですけど」
「そっかそっか。じゃあ、奪い甲斐があるね」
「へ……」
「いや、なんでも。じゃあね、愁くん」
九十九さんはくるっと背を向け、爽やかに去っていく。……って、最後なんかとんでもないことを言っていたような。
……まあいいか。
「先輩、お待たせしました」
「なにを話していたの?」
「そ、その……見られていたかもしれません」
「え!?」
「……でも、誤魔化しておきました。たぶん、九十九さんには一瞬見られていたのかも」
「そ、そうなんだ。恥ずかしいけど……でも、いっか」
「いいんですか」
「うん、恋人だもん。堂々としていればいいよ」
「それも――そうですね」
写真を撮られたわけでもないし、九十九さんなら言いふらすこともしない。安心していいだろう。
それより、なにか“奪う”とか言っていたのが気になる。
* * *
昼休みが終わった。
別れ際、先輩は少し心配そうに俺の手を握った。九十九さんとのことが気掛かりなのかな。でも、大丈夫だ。
もう、蜜柑先輩の時のようなヘマはしない。
そんな誓いを心の中で立てて、教室へ。
テストも近いので、そこそこ真面目に授業を受け――耐え凌いだ。
ようやく放課後だ。
「……ふぅ、帰るか」
席から立ち上がると……見知った顔の男が現れた。
「お~っと、まった! 秋永! 僕の名は……」
「小田原!」
「ちょっと惜しい!! けど、ちがーう!! 小野だ、小野!!」
「そうだった。小野だ」
「いい加減、覚えろよ!」
「……すまん、男の名前は特に覚えが悪いんだ」
「なんだそりゃ。まあいいや、それより僕と一緒にWOをやらないか。金を稼ごうぜ」
「断る。俺はもうギルドに所属しているし、彼女とプレイしているからな」
「な……なんだと! ……って、あの和泉先輩とやっているんだな」
「まあな。俺と先輩が付き合っているってことは、もうかなり広まっているんだな」
「有名だぞ。お前と和泉先輩のこと」
そりゃ、普段から二人でベタベタしているからな、嫌でも目立つわけだ。
「じゃ、悪いけど俺は行く」
「仕方ないな。気が変わったら言ってくれ」
「多分な」
俺は小野と別れ、教室を出た。
しかし、珍しく先輩からのライン連絡もなければ……合流する気配もなかった。三年の教室へ行ってみるか。……でも、どこのクラスが聞いていないや。
誰かに聞くのもなぁ。
ふとプールを視界に入れると、先輩と蜜柑先輩らしき人物を見つけた。まさか、水泳部へ?
……行ってみるか。
21
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる