先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗

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先輩のスカートの中

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少しずつめくれていくスカート。
けれど、先輩は見えるか見えないかのギリギリのところで手を止めた。

「……先輩?」
「や、やっぱり……恥ずかしい」

「一応聞きますが、もしかして――」
「うん。昨日の……」

さっきも言っていたけど、俺が選んだ下着モノをつけてくれているんだ。……やばい、事実を知って興奮してきた。

「見せてくれるんですか」
「や、やっぱりナシ! 恥ずかしすぎて死んじゃうから!」

慌ててスカートを戻す先輩。……惜しかったなぁ。あと少しで見えそうだったけど。

「そうですかぁ……」
「愁くんってば、なんでそんなに残念そうなの!」
「見たかったんです」
「わ、分かったよ。あとで写真を送るから」

「……写真」
「なにか不満ある?」
「己の目で……生で見ることに価値があるんです」

俺は、先輩の方へ向かっていく。

「しゅ、愁くん……どうして近づいてくるのかな」
「だって、俺たち“恋人”でしょ。なにも問題ないじゃないですか」
「で、でも……」

先輩もまた一歩また一歩と後退していく――が、柵まで追い詰めた。もう逃げ場はない。俺は壁ドンならぬ柵ドンをした。

「先輩……」
「……愁くん!?」

俺は先輩のスカートを摘まむ。
普段なら絶対にやらないヘンタイ的行為だが、全て先輩のせいだ。先輩が俺の選んだ下着をつけて来てしまったこと。

これが決定打となり、俺は理性を完全に失った。今の俺はザ・ビースト……野獣でしかない。

そもそも恋人同士。
問題はないはずだ。

「俺は……ありのままの先輩を見たいんです」
「し、仕方ないな。見るだけ……見るだけだからね。変なことしたら許さないからね」
「そんなことしません」

俺はその場にしゃがみ、先輩のスカートを見上げる。でも、先輩は恥ずかしがって両手で押さえていた。手が震えている。

そもそも、俺は先輩と出会った時にパンツを見ているんだけどな。あの時は淡白だったのに、今はこんなに顔を真っ赤にしている。あの時は大違いだな。

「……じゃあ、見ていいよ……」
「ありがとうございます。では、遠慮なく」

改めて先輩のスカートを捲っていく。

――いや、もう我慢できなかった。

野獣と化した俺は、先輩のスカート中に頭を突っ込んだ。


「ちょ、愁くん!!」
「これが一番良いと判断しました」
「けどぉ……。んぁっ……しゅ、愁くんの息が掛かって……」

これが先輩の……感動的だ。
禁断の領域にして聖域。
許されるのなら触れたいが、そこだけは我慢しておこう。さすがに殴られそうだ。

「綺麗ですよ、先輩」
「そろそろ……おしまいで」
「もう少しだけ」
「ダメ! これ以上は怒るからね」
「先輩は怒っても可愛いので、大丈夫ですね」

俺は先輩のスカート内ツアーを継続。

「か、可愛い……って、褒めて誤魔化してもダメ!」
「あと三分だけ」
「三秒だけ!」
「……分かりました。あと三秒で」

「三、二、一……はい、おしまい」

今度こそ俺は撤退。
久しぶりに外界へ出た。


「ありがとうございました、先輩」
「もー、愁くんのえっち!!」

ぷくっと頬を膨らませ、不満そうに視線で訴えかけてくる先輩。可愛くて迫力はない。

「ごめんなさい、先輩。でも、目の保養になりました」
「うぅ……愁くんがこんなヘンタイさんだったなんて」
「嫌いになりました?」
「……それはないけど。だって、わたし――ハッ」

なにか言いかけて先輩は口を噤む。……ん? なんだろう。

「顔を赤くして、どうしました先輩」
「愁くんは……本気の恋をしたことがあるの?」

「本気の恋? そんなのあるわけじゃないですか。先輩と会うまで女子と話す機会だってゼロに等しかったんです」

「あー…ごめん」
「いいですよ。俺はそういう男でした。だから、先輩が現れてくれて嬉しいんです。人生が変わりましたから」

「……わたしもだよ。――あぁ、やっと分かった。これが」

よく分からないけど、先輩は納得していた。何に納得したんだ? でも、顔色も良いし、どこか穏やかにも見えた。

なんだろう……妙に照れ臭い。
なんでだろうな。

変な気持ちになった俺は、誤魔化すようにこう言った。


「先輩、次は胸です」
「――ッ!? 愁くん、どこまで攻める気なの! わたし、えっちな子になっちゃうよぅ」
「先輩は多少えっちな方が可愛いと思います」
「そうかなぁ……経験がないから分からないよ」
「じゃあ、試してみましょう」

俺は次に先輩の胸に標的を定めた。もう勢いで行くしかないだろ……! そう思った――その時だった。

屋上の扉が開くと、そこには意外な人物が立っていた。


なんで……!?
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