辺境村人の俺、異能スキル【クエストスキップ】で超レベルアップ! ~レアアイテムも受け取り放題~

桜井正宗

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クエストスキップ

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「スライ、お前はレベルはゼロ。役に立たないザコ野郎だ!」

 兄から殴られ蹴られの理不尽続きの毎日。
 なぜ俺がこんな目に遭わなきゃならん……。なぜだ。なぜ、誰も俺を助けない。

「……くっ」
「痛いか、スライ! でもな、お前がゴミだから仕方ないんだよ。村の役にも立たないクズが!」

 また殴られ、蹴られる俺。……痛い。あっちこっちが痛い。くそっ……もっとレベルが上げられれば……いいのに。
 けど、俺は弱い。
 どうしようもないほどに弱い。
 剣なんて持ったこともないし、モンスターと戦ったこともない。

「たのむ、やめてくれ兄貴」
「やめてほしければ強くなることだな! もっとも、お前じゃ無理だろうがな」

 蹴り飛ばされ、俺は壁に激突した。
 ……悔しい、とても悔しい。
 最弱でひ弱で、どうしようもないほど情けないと思う。でも、レベルが上がらないんだ……。

 日々、強くなるためにコッソリとトレーニングはしている。だけど、この世界は『レベル』がモノを言う。0と10では天と地の差がある。
 俺は0だから、1でも差があればボコボコにされるんだ。
 つまり、赤ちゃんみたいなものだった。

「……そうか、俺は気絶していたんだ」

 毎日のことだけどいい加減に辛い。俺はもっと強くなりたい。レベルアップしたい。

「どうした、スライ。また兄貴から暴行か」
「…………ビトレイ」

 筋肉ムキムキの戦士は、ビトレイ。この村随一の力持ちだろう。彼は心優しく、唯一俺に話しかけてくれる知人でもあった。

「お前、冒険者ギルドに行け。クエストを受けるんだよ」
「ク、クエスト? なんだそれは……」
「クエストを受ければ経験値が貰え、報酬としてレアアイテムを受け取れる場合がある。そうすれば、今よりも強くなれる」

「それは本当か!」

「ああ……幸いにも、この村には冒険者ギルドがある。スライ、一か八か受けてみろ」
「……ああ、ああ! 俺は強くなりたい!!」


 ビスレイの肩を借り、俺は覚束ない足取りで冒険者ギルドへ。受付のお姉さんに話を聞いてみた。


「いらっしゃいませ。……あら、お客様、お怪我をされていますね」
「そんなことはどうでもいい。俺はクエストを受けたいんだ。詳しく教えてくれ」
「クエストの受注ですね。ええ、可能です。クエストにレベル制限がある場合もありますが、基本的にゼロでも受けられます」

「それは良かった! 出来れば経験値の多いクエストがいい」

「それでしたら、難易度レベル3のマッハスライムを倒す方がよろしいでしょう。討伐クエストです」
「じゃあ、それで頼む」
「おや。お客様は、マッハスライムの討伐は完了していますね。経験値と報酬レアアイテムを受け取りください」

「へ!? なぬぅ!?」

 その瞬間、俺の周辺が黄金にキラキラと光って祝福を受けるような光景が広がった。こ、これは“レベルアップ”の証だ!!
 冒険者はレベルアップすると、このような祝福を受けられるらしい。


【レベル0→レベル3】
【B級ロングソード】


 って、まて!!

 俺がレベルアップした!?
 しかも、なんかロングソードまで貰ってるし。報酬の武器らしい。

 なんで? どうして?

 今、受付嬢に話しただけだぞ。
 いや、まさかな。
 話しただけでレベルアップなんてするか?

 ま、まあいい、もう一度話してみるか。


「マッハスライムの討伐は完了しました。他のクエストを受けられますか?」
「あ、ああ。じゃあ、難易度レベル10のフィアスドラゴンの討伐クエストを」
「討伐が完了しました! 経験値をレアアイテムをお受け取りください!」


【レベル3→レベル25】
【A級セイントアーマー】


 次の瞬間、俺は超レベルアップした!
 でもって、レアアイテムも受け取った。

 だ~か~ら!!

 なーんで話しかけただけでレベルアップするんだよおおおおおおおおお!?

 意味がわかんねえ!!

 でも分かったぞ。どうやら俺は受付嬢に話しかけるだけでレベルアップするらしい! なにそれ、最高じゃん!!
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