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第93話 プランD
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秘密結社・メタモルフォーゼの大量のモンスターとナイトメアによる奇襲攻撃は夜通し続いた。あれから、ずっと絶えず、際限なく敵は出現していた。
陸・海・空――あらゆる方面から激しい、激しすぎる猛攻を行ってきたが、どれも全て防いだ。こちらに被害はなし。
兵器への被害もなし。
人的被害もなし。
同盟国も耐え凌いでいた。
ここまで完璧。
とりあえず、一日目は安心して寝られそうだな。
「出来ました。ユメ様、お食事です」
「ありがとう」
ゼファに作ってもらった軽食を戴くことにした。
腹減っては戦は出来ないからな。
◆
夜戦さえ続いた。
まったく、夜襲もしてくるとはな……身体が休まらんな。
外はまたモンスターやナイトメアが増えたと思う。いったい、どこからそんな召喚しまくっているんだか。だが、それでも、こちらは余裕。むしろ自分たちが出る幕も無さそうだった。
フォースに頼んで映像を自室にも置いてもらった。
おかげでベッドに寝転んでいる状態でも、外界を監視できるようになった。ゴロゴロしながら見れるとか、これは便利すぎる。
「助かったよ、フォース」
「うん。じゃ、あたしはご飯食べにいってくるね」
「おう」
みんな、何も食ってないからな。
食べれる時に食べておかないと。
さて、ひとりベッドで寝転んで映像を監視していようかと思えば、フォースと入れ替わるようにして、テスラが俺の部屋にやってきた。神妙な面持ちで。
「失礼します」
「ん、テスラ。どうした」
「ユメ。このままなら防衛は問題ないんですよね」
「ああ、『極』となったからには無敵の防壁となった。今のところビクともしていないからな。このまま平和に過ごすのもいいかもな。そしたら、敵さんも諦めるだろ」
しかし、テスラは首を横に振った。
「……いえ、秘密結社・メタモルフォーゼは決して諦めないでしょう。儀式を完成させるまで、どんな長い年月を経ても、必ずや国を滅ぼすのです」
「なぜ断言できる」
「それは――『プランD』があるからです」
「プランD……以前言っていたのは『ジークムント計画』だった。そっちではないって事なのか……?」
「はい。彼らは私が裏切ることも想定し、『プランD』へ移行したのでしょう。でもあれは、世界の破壊行為。到底、儀式と呼べるものではなかった……」
「世界を滅ぼす気か……!」
「そうです。世界を全て破壊尽くし、新たな世界を創造する。破壊と再生です。儀式こそ難しくなりますが、彼らは実質的に頂点に立つ存在へとなる。それが『プランD』です」
馬鹿げている……。
それでは儀式もクソもねえ、ただの破壊行為。
連中はとことん腐ってやがるな。
「そうか……。となると……」
「ここからが本題です」
決して視線を離さず、真っすぐ見てくるテスラは、決心したかのように話を続けた。
「秘密結社へ乗り込みますか」
俺は、その言葉を待っていたのかもしれない。
彼女はそう、もともとはパラドックスを潰すために雇われた極魔法使いだった。つまり、ヤツ等の居場所を知っている。
もともと、テスラはヤツ等側ではあった。
だが、フォースの100万回のタイムリープの末、その最悪な未来は回避された。今はこうしてテスラが味方にさえなっている。
この未来はヤツ等のモノではない、俺のモノだ。
「明日だ……。明朝、敵本陣へ乗り込む」
世界を救うならば、それしか方法はない。
直接敵を叩く。
「分かりました」
テスラは短く返事をして、微笑んだ。
「平和な世界を取り戻しましょう」
「ああ、そうだな。決着をつけよう……ん、テスラ、どうした」
なにか迷っているのか、テスラはもじもじとして、赤い髪を揺らした。
「あの…………ユメ、これから先どうなるか分かりません。ですから、この一瞬だけでもいいです。フォースのように甘えさせて貰えませんか……」
「え……」
瞳を潤わせ、顔を真っ赤にするテスラ。
しかもなぜか自らスカートをめくって、見せていた。なぜ!?
「ちょっと! み、見えてるよ。下ろして」
「ご、ごめんなさい。私、どうしたらいいか分からなくて……」
これは想定外すぎたな。
「……仕方ないな。分かった。じゃあ、膝の上とか」
「……はぃ」
ちょこんと俺の膝の上に乗ってくるテスラは、小さくて可愛かった。というか、髪の艶すげぇな。間近で見るとキレイすぎて驚いた。
しかも、甘いイイ匂いもしていた。
わぁ……フォースとはまた違う独特な感触。
「じゃ、ぎゅっとするからね」
「……はい。…………んっ」
ただ軽く抱きしめただけなのに、くすぐったそうだ。
ああ、慣れてないのか。ていうか、フォースで慣れている俺もちょっと緊張してきた。……う~ん、これは新鮮だなぁ。
「どうかな」
「……暖かいです。私、男の人に抱いてもらうの初めてで……どきどきします……。でも、とても嬉しいです。ユメで良かった」
おぉ、なんて可愛い笑顔。
逆に俺が色んなパワーを貰ってしまっている。これはこれで……。
「テスラ、横になってみない?」
「い、いいですよ……。好きにしてもらって……。ただ……えっちな事は、わたし、よく分からなくて……」
「!! ……そそそ、そんな事しないって。そりゃいきなり過程を飛ばし過ぎだ。少し、ちょっとマッタリするだけ」
「……はい」
俺はテスラとしばらく……
いや、気づけば一時間ほど抱き合っていた。
陸・海・空――あらゆる方面から激しい、激しすぎる猛攻を行ってきたが、どれも全て防いだ。こちらに被害はなし。
兵器への被害もなし。
人的被害もなし。
同盟国も耐え凌いでいた。
ここまで完璧。
とりあえず、一日目は安心して寝られそうだな。
「出来ました。ユメ様、お食事です」
「ありがとう」
ゼファに作ってもらった軽食を戴くことにした。
腹減っては戦は出来ないからな。
◆
夜戦さえ続いた。
まったく、夜襲もしてくるとはな……身体が休まらんな。
外はまたモンスターやナイトメアが増えたと思う。いったい、どこからそんな召喚しまくっているんだか。だが、それでも、こちらは余裕。むしろ自分たちが出る幕も無さそうだった。
フォースに頼んで映像を自室にも置いてもらった。
おかげでベッドに寝転んでいる状態でも、外界を監視できるようになった。ゴロゴロしながら見れるとか、これは便利すぎる。
「助かったよ、フォース」
「うん。じゃ、あたしはご飯食べにいってくるね」
「おう」
みんな、何も食ってないからな。
食べれる時に食べておかないと。
さて、ひとりベッドで寝転んで映像を監視していようかと思えば、フォースと入れ替わるようにして、テスラが俺の部屋にやってきた。神妙な面持ちで。
「失礼します」
「ん、テスラ。どうした」
「ユメ。このままなら防衛は問題ないんですよね」
「ああ、『極』となったからには無敵の防壁となった。今のところビクともしていないからな。このまま平和に過ごすのもいいかもな。そしたら、敵さんも諦めるだろ」
しかし、テスラは首を横に振った。
「……いえ、秘密結社・メタモルフォーゼは決して諦めないでしょう。儀式を完成させるまで、どんな長い年月を経ても、必ずや国を滅ぼすのです」
「なぜ断言できる」
「それは――『プランD』があるからです」
「プランD……以前言っていたのは『ジークムント計画』だった。そっちではないって事なのか……?」
「はい。彼らは私が裏切ることも想定し、『プランD』へ移行したのでしょう。でもあれは、世界の破壊行為。到底、儀式と呼べるものではなかった……」
「世界を滅ぼす気か……!」
「そうです。世界を全て破壊尽くし、新たな世界を創造する。破壊と再生です。儀式こそ難しくなりますが、彼らは実質的に頂点に立つ存在へとなる。それが『プランD』です」
馬鹿げている……。
それでは儀式もクソもねえ、ただの破壊行為。
連中はとことん腐ってやがるな。
「そうか……。となると……」
「ここからが本題です」
決して視線を離さず、真っすぐ見てくるテスラは、決心したかのように話を続けた。
「秘密結社へ乗り込みますか」
俺は、その言葉を待っていたのかもしれない。
彼女はそう、もともとはパラドックスを潰すために雇われた極魔法使いだった。つまり、ヤツ等の居場所を知っている。
もともと、テスラはヤツ等側ではあった。
だが、フォースの100万回のタイムリープの末、その最悪な未来は回避された。今はこうしてテスラが味方にさえなっている。
この未来はヤツ等のモノではない、俺のモノだ。
「明日だ……。明朝、敵本陣へ乗り込む」
世界を救うならば、それしか方法はない。
直接敵を叩く。
「分かりました」
テスラは短く返事をして、微笑んだ。
「平和な世界を取り戻しましょう」
「ああ、そうだな。決着をつけよう……ん、テスラ、どうした」
なにか迷っているのか、テスラはもじもじとして、赤い髪を揺らした。
「あの…………ユメ、これから先どうなるか分かりません。ですから、この一瞬だけでもいいです。フォースのように甘えさせて貰えませんか……」
「え……」
瞳を潤わせ、顔を真っ赤にするテスラ。
しかもなぜか自らスカートをめくって、見せていた。なぜ!?
「ちょっと! み、見えてるよ。下ろして」
「ご、ごめんなさい。私、どうしたらいいか分からなくて……」
これは想定外すぎたな。
「……仕方ないな。分かった。じゃあ、膝の上とか」
「……はぃ」
ちょこんと俺の膝の上に乗ってくるテスラは、小さくて可愛かった。というか、髪の艶すげぇな。間近で見るとキレイすぎて驚いた。
しかも、甘いイイ匂いもしていた。
わぁ……フォースとはまた違う独特な感触。
「じゃ、ぎゅっとするからね」
「……はい。…………んっ」
ただ軽く抱きしめただけなのに、くすぐったそうだ。
ああ、慣れてないのか。ていうか、フォースで慣れている俺もちょっと緊張してきた。……う~ん、これは新鮮だなぁ。
「どうかな」
「……暖かいです。私、男の人に抱いてもらうの初めてで……どきどきします……。でも、とても嬉しいです。ユメで良かった」
おぉ、なんて可愛い笑顔。
逆に俺が色んなパワーを貰ってしまっている。これはこれで……。
「テスラ、横になってみない?」
「い、いいですよ……。好きにしてもらって……。ただ……えっちな事は、わたし、よく分からなくて……」
「!! ……そそそ、そんな事しないって。そりゃいきなり過程を飛ばし過ぎだ。少し、ちょっとマッタリするだけ」
「……はい」
俺はテスラとしばらく……
いや、気づけば一時間ほど抱き合っていた。
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