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第113話 小さな刺客
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残りひとりの選定は、キャロルに任せて俺たちは拠点を出た。
その途端――小さな子供が俺にぶつかってきた。
「おっと……!」
子供は走り去ろうとしたのだが、フォースが手を翳してまさかの『ソウルフォース』を発動。子供の動きを止めていた。いきなりだな。
「フォース、子供相手になにしてんだよ。ただ、ぶつかって来ただけだろう。離してやれ。可哀想だ」
「あの女の子は、ユメの財布を盗った」
「え!?」
マジ?
気になってポケットを確認すると、確かに財布は消えていた。
ため息をつくネーブルが、女の子のところまで向かい、俺の財布を取り上げた。マジで取られていたのかよ。スリの達人かよ。
「おいおい、まったく気づかなかったぞ。どーなってんだ」
「スキルでしょー。たぶん、かなり特殊よ」
「そうなのか、ネーブル」
「多分ね。ねえ、あなたどうしてユメの財布を盗んだの。ダメでしょ、これは立派な犯罪よ。人のモノを取っちゃダメって教わらなかった?」
ネーブルは子供に叱っていたのだが――、
「ふふ、もう戦いは始まっているのよ。敵である以上、手加減はしない」
子供は笑うとソウルフォースを何かの力で解き、後退した。
……コイツ、普通の子供じゃないぞ。
「キミ、子供にしては強すぎるな」
俺がそう問うと、
「だって、子供じゃないし。私はもう立派な大人の女性よ。私はね、小人族なの。今の姿はスキルで一時的にこのサイズになっているだけ。実際はもっと小さいの」
ケラケラ笑う女の子は、またもや何かのスキルを発動し――更に小さくなった。どうなってやがる、ただ小さくなるだけじゃなさそうだぞ。
「……消えた!」
「ユメ、消えたわけじゃない。米粒サイズにまで小さくなった」
フォースが補足を入れてくれた。そうか、そういう事か。なんてスキルだ。米粒サイズだって!? そんなの地面を見渡していたら日が暮れちまうよ!
なので、俺は……
「よし、みんなジタバタ暴れろ。踏みつぶすぞ」
「ちょ、ひど!」
「いやだってよ、探すの面倒じゃん」
「あんたね……」
ネーブルはドン引きしていたが、俺は構わず地面を踏みまくった。
「おりゃあああああああ!!!」
「うわああああああ、やめて!」
あ、元に戻った。割と近くにいたんだな。
「くっ、極小サイズで戦うのは本番ね。本当は強いんだから! せめて、そこの魔法使いだけでもグニャグニャにして倒す……!」
「グニャ……? やめとけ。そこの魔法使いは、ただの魔法使いじゃないぞ」
「知ってる。極魔法使いでしょ。そんなの勝てるわけないじゃん! やめた! じゃ、そっちの金髪のお姉ちゃんにする」
心変わり早え~!
「わたし? 子供と戦うのは気が引けるわね」
「でも、出場するみたいだぞ」
「そうよね。じゃ、ビリビリして焦がしましょうか」
「ビ、ビリビリ!?」
「ネーブルは、超初心者の雷使いだからな。そこらの初心者と一緒にしない方がいいぞ」
「……くっ、今日のところは勘弁してあげましょう!! さようなら!! あと、お財布盗んでしまってごめんなさい!!」
子供は逃げ出した。
なんだったんだよ、あれは。
その途端――小さな子供が俺にぶつかってきた。
「おっと……!」
子供は走り去ろうとしたのだが、フォースが手を翳してまさかの『ソウルフォース』を発動。子供の動きを止めていた。いきなりだな。
「フォース、子供相手になにしてんだよ。ただ、ぶつかって来ただけだろう。離してやれ。可哀想だ」
「あの女の子は、ユメの財布を盗った」
「え!?」
マジ?
気になってポケットを確認すると、確かに財布は消えていた。
ため息をつくネーブルが、女の子のところまで向かい、俺の財布を取り上げた。マジで取られていたのかよ。スリの達人かよ。
「おいおい、まったく気づかなかったぞ。どーなってんだ」
「スキルでしょー。たぶん、かなり特殊よ」
「そうなのか、ネーブル」
「多分ね。ねえ、あなたどうしてユメの財布を盗んだの。ダメでしょ、これは立派な犯罪よ。人のモノを取っちゃダメって教わらなかった?」
ネーブルは子供に叱っていたのだが――、
「ふふ、もう戦いは始まっているのよ。敵である以上、手加減はしない」
子供は笑うとソウルフォースを何かの力で解き、後退した。
……コイツ、普通の子供じゃないぞ。
「キミ、子供にしては強すぎるな」
俺がそう問うと、
「だって、子供じゃないし。私はもう立派な大人の女性よ。私はね、小人族なの。今の姿はスキルで一時的にこのサイズになっているだけ。実際はもっと小さいの」
ケラケラ笑う女の子は、またもや何かのスキルを発動し――更に小さくなった。どうなってやがる、ただ小さくなるだけじゃなさそうだぞ。
「……消えた!」
「ユメ、消えたわけじゃない。米粒サイズにまで小さくなった」
フォースが補足を入れてくれた。そうか、そういう事か。なんてスキルだ。米粒サイズだって!? そんなの地面を見渡していたら日が暮れちまうよ!
なので、俺は……
「よし、みんなジタバタ暴れろ。踏みつぶすぞ」
「ちょ、ひど!」
「いやだってよ、探すの面倒じゃん」
「あんたね……」
ネーブルはドン引きしていたが、俺は構わず地面を踏みまくった。
「おりゃあああああああ!!!」
「うわああああああ、やめて!」
あ、元に戻った。割と近くにいたんだな。
「くっ、極小サイズで戦うのは本番ね。本当は強いんだから! せめて、そこの魔法使いだけでもグニャグニャにして倒す……!」
「グニャ……? やめとけ。そこの魔法使いは、ただの魔法使いじゃないぞ」
「知ってる。極魔法使いでしょ。そんなの勝てるわけないじゃん! やめた! じゃ、そっちの金髪のお姉ちゃんにする」
心変わり早え~!
「わたし? 子供と戦うのは気が引けるわね」
「でも、出場するみたいだぞ」
「そうよね。じゃ、ビリビリして焦がしましょうか」
「ビ、ビリビリ!?」
「ネーブルは、超初心者の雷使いだからな。そこらの初心者と一緒にしない方がいいぞ」
「……くっ、今日のところは勘弁してあげましょう!! さようなら!! あと、お財布盗んでしまってごめんなさい!!」
子供は逃げ出した。
なんだったんだよ、あれは。
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