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第118話 世界防衛談話

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 ――――そうだ、忘れていた。
 今日は『地の神国クレド』のニカイア女帝の訪問があったのだ。


 急いでデイブレイク本拠地ほんきょちへ向かった。
 あそこは外国の首脳を出迎える場でもあるからな。


 ◆


「ニカイア女帝、申し訳ない」

「お久しぶりですね、ユメ」
「遅いぞ、ユメ。お前があまりに遅いので、この私が相手をしておいたぞ」

 なんと、ニカイア女帝の席の前にマスター・グレイスの姿が。

「お、マスター。悪い……」
「…………まったく、お前というヤツは。女帝を、いや、女性を待たせるとは」
「三秒くらい勘弁してくれ」
「三秒でも貴重な時間じゃ。遅刻は遅刻。タイムリミット。じゃがまあいい、私も同席させてもらうぞ」

「ああ、マスターにも聞いて欲しいしな」


 そう、これから話すことは『世界防衛』の件だ。
 これからやって来るかもしれない、脅威に立ち向かうための準備を進めていた。で、今日は『地の神国クレド』のニカイア女帝というわけだった。

 マスター・グレイスの妹さんでもある。


「――では、防衛について」


 話が始まった。
 これからの運命を左右する重大な話が。


 ◆


「……ふぅ」


 話は終わった。
 中身のある話で、長時間に及ぶ議論を交わしてしまったほどだ。おかげで日は沈みかけている。まあいいだろう、これでまた世界が結束するなら。

「ありがとう、ユメ。特にあの件は面白かった。こちらもギルドをパラドックスへ派兵したいと思います。その時はよろしくお願いしますね」

「こちらこそ」
「では」

 ニカイア女帝と別れた。

「じゃ、マスター、帰ろうか」
「おぶっとくれ」
「え」
「ほれ、フォースをいつも肩車しておるじゃろ~」
「そ、そりゃそうだけど、マスターを?」
「なんじゃ、嫌か」
「嫌じゃないさ」

 エルフだし、肌すべすべだし……まあ、実は色っぽいし。

「ほれ」
「分かったよ。あとで怒ったりしないでくれよ」
「そんな事はせん。これでも、お前を可愛がっているつもりじゃ」

 いつも厳しいのは俺を思っての事。
 俺は、グレイスからたくさん大切なことを教わっていた。だから、そうだな、少しはお礼をするつもりで――。

「じゃ、おんぶで」
「うむ」

 腰を下ろし、俺は構えた。

「あれ、マスターどうした」
「もう乗っておる」
「うそ、ぜんぜん重みを感じないけどな」
「あたりまえじゃ。ソウルフォースで体重を軽減しておるからの。それくらい造作もないことじゃ」
「なるほど! じゃ、帰るよ」


 ◆


 マスター、軽すぎだろ。
 元から身体からだはロリ体型で華奢きゃしゃだけど、スポンジみたいな軽さ。ソウルフォースで体重操作まで出来るとはな。さすがだ。けど、その身体からだのぬくもりとか感触は感じられた。

 これがエルフかぁ。

「ユメよ、私の感触を楽しんでおるのか?」
「うわ…………心を読まないでくれよ、フォースじゃあるまいし」
「なぜ、恐れを感じるのじゃ。私が怖いのか」
「そりゃね……いつも厳しいし」
「……そうじゃな、私は厳しくし過ぎたのかもしれぬ。あの魔女・イドーラにユメを取られるくらいなら、私は態度を改めなければと思った」

「え……いいよ。無理しないでくれ。怒らないマスターとか不気味だよ」
「なんじゃと……」
「ほら、怖い」
「う…………。ユメはいぢわるなのじゃ」

 マスターは、俺の背中で不貞腐れた。
 おいおい、らしくなさすぎだろう。

「もう調子狂うなあ。どうしたんだよ、マスター」
「私だって女じゃ。恋くらいする」
「…………」

 あー……、


 これは、ちょっと。いや、かなり意外すぎた。
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