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第149話 結婚宣言
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「明日、僕はこの聖女ゼファ様と結婚します!」
信者たちを前に、そう堂々と発表する王子。
そうか、それが目的だったのか。
すると、信者たちは、ざわざわと反応を示す。
「ついに結婚かあ」「まあ、水の聖国の王子ならいいんじゃないか」「ああ、国の繁栄の為だ」「原初の神・バテンカイトス様も祝福して下さる」「聖女様だって、納得しているんだろう」「幸せそうな二人ねぇ」「お似合いだ」「幸せそう」「いいなあ、俺も聖女様と結婚したかったなあ」「深い愛で結ばれているのね」
コイツ等の目は節穴か?
どこかだよ。
聖女ゼファの顔は沈んでいた。
悲しそうで、淋しそうで……誰かに連れていって欲しいという想いがヒシヒシ伝わって来ていた。
「フォース、聖女ゼファの心を読んでくれ」
「……」
あ……スゲェ厭そう。
顔が引きつってる。
「あとでたい焼きいっぱい奢ってやる」
「……っ」
ちょっと揺れ動いているな。
さすがの好物には抗えないようだ。
「……ユメ、あの聖女様が気になるの? 好きになっちゃった? あたし……いらないの?」
「違うって。ほら、見てご覧、彼女を。結婚を望んじゃいない顔だ。あれは一方的な婚約なんだよ。多分、聖女ゼファは別の何かを求めている」
「別の、なにか」
「俺が思うに、自由じゃないかな。彼女はずっと水の聖国の為に毎日祈って来たそうだし、それだけの人生だったらしい」
「うん」
「それで今度はいきなり婚約だぜ。しかも、満足に付き合いもしていない、ほぼ見知らぬの王子だ。そりゃ嫌だわな」
「……分かった。ユメがそこまで言うのなら」
「本当か!」
「でも、条件がある」
「条件?」
深緑の瞳が揺れ動く。
自分を持ち上げろと要求してくる。
渋々俺は、フォースを持ち上げた。
「どうした」
「ん……」
ちゅ~と唇が重なった。
……いきなりだな。
「……フォース、人前だぞ」
「ファーストキスは誰にもあげたくない」
あー、いろいろ見透かされてるな、俺。
そうだよ、俺は聖女ゼファが気になっている。
「キスを捧げたんだ。教えてくれ」
「うん。聖女様は、結婚を望んでいない。寧ろ、世界の平和の為に尽くしたいと考えているみたい。世界の自由の為に、外へ出たいって」
既に心を読んでいたらしい、結果を教えてくれた。……そっか、それが彼女の本心か。そうだな、今や世界は魔王に支配されかけている。
その為に献身的に頑張りたいのだろう。みんなの為に祈りを捧げ続けたいのかもしれない。でも、それよりも外の世界を望んでいる。
……うん、そうだよな。
◆◇ ◆◇ ◆◇
イベント事が終わって――俺は、聖女様に接近しようとした。相変わらず王子とちょっと離れた場所に占い師がいたが、気にせず行った。
「やあ、聖女様」
「…………」
ゼファは、俯いて視線を合わせようとしなかったが……おや。
「…………あ」
合わせてきた。
「初めまして、俺はユメ。聖女様、少しお話出来ませんか」
「……えっと、その……」
王子の視線が気になるのだろうか、直ぐに返事はなかった。そして、その王子が横に入って来る。
「なんだね、キミは! 彼女は僕の婚約者だ。勝手に話しかけないでくれ」
「ただ話しかけただけだ。決めるのは彼女じゃないかな」
「なんだと……!」
ギロっと睨まれるが、気にしない。
王子が言葉を続けた。
「そもそも、なんだお前は。その小さな魔法使いを連れ歩いて……最近、噂の連れ去りか!? ほら、あの魔王の大幹部だよ。大魔女のオルタ・ハークネスとかいうクソ婆が魔力を持つ人間を捕らえては、食い荒らしているとかな」
王子は興奮気味に、そう言った。
本人らしきヤツを目の前にな。
ぴくっと占い師は反応していた。
ほーん。
「まあ、俺はちょっと聖女様と話がしたいんでね。あとで返す、いったん借りるよ」
「はぁ!? なんだと、小僧ォ! 衛兵、コイツを捕らえろ!!」
発狂する王子は衛兵を呼んだ。
20人ほどに一気に囲まれるが――俺の相手ではない。
「聖女ゼファ様、お手を」
「え……はい」
フォースの肩に手を乗せてあげた。
それから、フォースはこう唱えた。
「テレポート」
◆◇ ◆◇ ◆◇
――結果的に、連れ去りになっちまったが、話をするにはコレしか方法がなかったのだ。どのみち、明日には出立予定だったし、いいさ。
「こ、ここは……」
「安心して。水の聖国の宿屋だよ」
「や、宿屋ですか……初めて入りました」
緊張しているのか、ゼファは固かった。
本当に外の世界を見たことがないんだな。
「そこのベッドに座って。まずは、自己紹介だね。俺はユメで、勇者だ。でも、勇者って肩書はあんまり好きじゃなくてね」
「ゆ、勇者様……あの原初の予言にある。ということは、あなた様は……光の勇者様?」
「いや、それは違う。俺は【闇】だ。闇の勇者」
まあと両手で、上品に口元を押さえる聖女ゼファ。ひとつひとつの動作が神々しいっていうか、可愛く見えた。……さすがの俺も見惚れてしまう。
「――で、このちっこいのが極魔法使いのフォース。世界で数える程しかいない凄腕の魔法使いさ」
「こ、こんな小さな子が……すごいです」
「……」
フォースは警戒しまくりだった。
ま、人見知りが激しいっていうのもあるけどな。
――さて、本題に入ろうか。
信者たちを前に、そう堂々と発表する王子。
そうか、それが目的だったのか。
すると、信者たちは、ざわざわと反応を示す。
「ついに結婚かあ」「まあ、水の聖国の王子ならいいんじゃないか」「ああ、国の繁栄の為だ」「原初の神・バテンカイトス様も祝福して下さる」「聖女様だって、納得しているんだろう」「幸せそうな二人ねぇ」「お似合いだ」「幸せそう」「いいなあ、俺も聖女様と結婚したかったなあ」「深い愛で結ばれているのね」
コイツ等の目は節穴か?
どこかだよ。
聖女ゼファの顔は沈んでいた。
悲しそうで、淋しそうで……誰かに連れていって欲しいという想いがヒシヒシ伝わって来ていた。
「フォース、聖女ゼファの心を読んでくれ」
「……」
あ……スゲェ厭そう。
顔が引きつってる。
「あとでたい焼きいっぱい奢ってやる」
「……っ」
ちょっと揺れ動いているな。
さすがの好物には抗えないようだ。
「……ユメ、あの聖女様が気になるの? 好きになっちゃった? あたし……いらないの?」
「違うって。ほら、見てご覧、彼女を。結婚を望んじゃいない顔だ。あれは一方的な婚約なんだよ。多分、聖女ゼファは別の何かを求めている」
「別の、なにか」
「俺が思うに、自由じゃないかな。彼女はずっと水の聖国の為に毎日祈って来たそうだし、それだけの人生だったらしい」
「うん」
「それで今度はいきなり婚約だぜ。しかも、満足に付き合いもしていない、ほぼ見知らぬの王子だ。そりゃ嫌だわな」
「……分かった。ユメがそこまで言うのなら」
「本当か!」
「でも、条件がある」
「条件?」
深緑の瞳が揺れ動く。
自分を持ち上げろと要求してくる。
渋々俺は、フォースを持ち上げた。
「どうした」
「ん……」
ちゅ~と唇が重なった。
……いきなりだな。
「……フォース、人前だぞ」
「ファーストキスは誰にもあげたくない」
あー、いろいろ見透かされてるな、俺。
そうだよ、俺は聖女ゼファが気になっている。
「キスを捧げたんだ。教えてくれ」
「うん。聖女様は、結婚を望んでいない。寧ろ、世界の平和の為に尽くしたいと考えているみたい。世界の自由の為に、外へ出たいって」
既に心を読んでいたらしい、結果を教えてくれた。……そっか、それが彼女の本心か。そうだな、今や世界は魔王に支配されかけている。
その為に献身的に頑張りたいのだろう。みんなの為に祈りを捧げ続けたいのかもしれない。でも、それよりも外の世界を望んでいる。
……うん、そうだよな。
◆◇ ◆◇ ◆◇
イベント事が終わって――俺は、聖女様に接近しようとした。相変わらず王子とちょっと離れた場所に占い師がいたが、気にせず行った。
「やあ、聖女様」
「…………」
ゼファは、俯いて視線を合わせようとしなかったが……おや。
「…………あ」
合わせてきた。
「初めまして、俺はユメ。聖女様、少しお話出来ませんか」
「……えっと、その……」
王子の視線が気になるのだろうか、直ぐに返事はなかった。そして、その王子が横に入って来る。
「なんだね、キミは! 彼女は僕の婚約者だ。勝手に話しかけないでくれ」
「ただ話しかけただけだ。決めるのは彼女じゃないかな」
「なんだと……!」
ギロっと睨まれるが、気にしない。
王子が言葉を続けた。
「そもそも、なんだお前は。その小さな魔法使いを連れ歩いて……最近、噂の連れ去りか!? ほら、あの魔王の大幹部だよ。大魔女のオルタ・ハークネスとかいうクソ婆が魔力を持つ人間を捕らえては、食い荒らしているとかな」
王子は興奮気味に、そう言った。
本人らしきヤツを目の前にな。
ぴくっと占い師は反応していた。
ほーん。
「まあ、俺はちょっと聖女様と話がしたいんでね。あとで返す、いったん借りるよ」
「はぁ!? なんだと、小僧ォ! 衛兵、コイツを捕らえろ!!」
発狂する王子は衛兵を呼んだ。
20人ほどに一気に囲まれるが――俺の相手ではない。
「聖女ゼファ様、お手を」
「え……はい」
フォースの肩に手を乗せてあげた。
それから、フォースはこう唱えた。
「テレポート」
◆◇ ◆◇ ◆◇
――結果的に、連れ去りになっちまったが、話をするにはコレしか方法がなかったのだ。どのみち、明日には出立予定だったし、いいさ。
「こ、ここは……」
「安心して。水の聖国の宿屋だよ」
「や、宿屋ですか……初めて入りました」
緊張しているのか、ゼファは固かった。
本当に外の世界を見たことがないんだな。
「そこのベッドに座って。まずは、自己紹介だね。俺はユメで、勇者だ。でも、勇者って肩書はあんまり好きじゃなくてね」
「ゆ、勇者様……あの原初の予言にある。ということは、あなた様は……光の勇者様?」
「いや、それは違う。俺は【闇】だ。闇の勇者」
まあと両手で、上品に口元を押さえる聖女ゼファ。ひとつひとつの動作が神々しいっていうか、可愛く見えた。……さすがの俺も見惚れてしまう。
「――で、このちっこいのが極魔法使いのフォース。世界で数える程しかいない凄腕の魔法使いさ」
「こ、こんな小さな子が……すごいです」
「……」
フォースは警戒しまくりだった。
ま、人見知りが激しいっていうのもあるけどな。
――さて、本題に入ろうか。
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