元勇者は魔力無限の闇属性使い ~世界の中心に理想郷を作り上げて無双します~

桜井正宗

文字の大きさ
149 / 177

第149話 結婚宣言

しおりを挟む
「明日、僕はこの聖女ゼファ様と結婚します!」

 信者たちを前に、そう堂々と発表する王子。
 そうか、それが目的だったのか。

 すると、信者たちは、ざわざわと反応を示す。


「ついに結婚かあ」「まあ、水の聖国サンクの王子ならいいんじゃないか」「ああ、国の繁栄の為だ」「原初の神・バテンカイトス様も祝福して下さる」「聖女様だって、納得しているんだろう」「幸せそうな二人ねぇ」「お似合いだ」「幸せそう」「いいなあ、俺も聖女様と結婚したかったなあ」「深い愛で結ばれているのね」


 コイツ等の目は節穴か?
 どこかだよ。

 聖女ゼファの顔は沈んでいた。
 悲しそうで、淋しそうで……誰かに連れていって欲しいという想いがヒシヒシ伝わって来ていた。


「フォース、聖女ゼファの心を読んでくれ」
「……」

 あ……スゲェいやそう。
 顔が引きつってる。

「あとでたい焼きいっぱい奢ってやる」
「……っ」

 ちょっと揺れ動いているな。
 さすがの好物には抗えないようだ。

「……ユメ、あの聖女様が気になるの? 好きになっちゃった? あたし……いらないの?」
「違うって。ほら、見てご覧、彼女を。結婚を望んじゃいない顔だ。あれは一方的な婚約なんだよ。多分、聖女ゼファは別の何かを求めている」

「別の、なにか」
「俺が思うに、自由じゃないかな。彼女はずっと水の聖国サンクの為に毎日祈って来たそうだし、それだけの人生だったらしい」

「うん」

「それで今度はいきなり婚約だぜ。しかも、満足に付き合いもしていない、ほぼ見知らぬの王子だ。そりゃ嫌だわな」

「……分かった。ユメがそこまで言うのなら」
「本当か!」
「でも、条件がある」
「条件?」

 深緑の瞳が揺れ動く。
 自分を持ち上げろと要求してくる。

 渋々俺は、フォースを持ち上げた。

「どうした」

「ん……」

 ちゅ~と唇が重なった。

 ……いきなりだな。


「……フォース、人前だぞ」
「ファーストキスは誰にもあげたくない」


 あー、いろいろ見透かされてるな、俺。
 そうだよ、俺は聖女ゼファが気になっている。


「キスを捧げたんだ。教えてくれ」
「うん。聖女様は、結婚を・・・望んでいない・・・・・・。寧ろ、世界の平和の為に尽くしたいと考えているみたい。世界の自由の為に、外へ出たいって」


 既に心を読んでいたらしい、結果を教えてくれた。……そっか、それが彼女の本心か。そうだな、今や世界は魔王に支配されかけている。

 その為に献身的に頑張りたいのだろう。みんなの為に祈りを捧げ続けたいのかもしれない。でも、それよりも外の世界を望んでいる。


 ……うん、そうだよな。


 ◆◇ ◆◇ ◆◇


 イベント事が終わって――俺は、聖女様に接近しようとした。相変わらず王子とちょっと離れた場所に占い師がいたが、気にせず行った。

「やあ、聖女様」
「…………」

 ゼファは、俯いて視線を合わせようとしなかったが……おや。

「…………あ」

 合わせてきた。

「初めまして、俺はユメ。聖女様、少しお話出来ませんか」
「……えっと、その……」

 王子の視線が気になるのだろうか、直ぐに返事はなかった。そして、その王子が横に入って来る。

「なんだね、キミは! 彼女は僕の婚約者だ。勝手に話しかけないでくれ」
「ただ話しかけただけだ。決めるのは彼女じゃないかな」
「なんだと……!」

 ギロっと睨まれるが、気にしない。
 王子が言葉を続けた。

「そもそも、なんだお前は。その小さな魔法使いを連れ歩いて……最近、噂の連れ去りか!? ほら、あの魔王の大幹部だよ。大魔女のオルタ・ハークネスとかいうクソ婆が魔力を持つ人間を捕らえては、食い荒らしているとかな」

 王子は興奮気味に、そう言った。
 本人らしきヤツを目の前にな。

 ぴくっと占い師は反応していた。
 ほーん。


「まあ、俺はちょっと聖女様と話がしたいんでね。あとで返す、いったん借りるよ」
「はぁ!? なんだと、小僧ォ! 衛兵、コイツを捕らえろ!!」

 発狂する王子は衛兵を呼んだ。
 20人ほどに一気に囲まれるが――俺の相手ではない。

「聖女ゼファ様、お手を」
「え……はい」


 フォースの肩に手を乗せてあげた。

 それから、フォースはこう唱えた。


「テレポート」


 ◆◇ ◆◇ ◆◇


 ――結果的に、連れ去りになっちまったが、話をするにはコレしか方法がなかったのだ。どのみち、明日には出立予定だったし、いいさ。


「こ、ここは……」

「安心して。水の聖国サンクの宿屋だよ」
「や、宿屋ですか……初めて入りました」

 緊張しているのか、ゼファは固かった。
 本当に外の世界を見たことがないんだな。

「そこのベッドに座って。まずは、自己紹介だね。俺はユメで、勇者だ。でも、勇者って肩書はあんまり好きじゃなくてね」

「ゆ、勇者様……あの原初の予言・・・・・にある。ということは、あなた様は……光の勇者様?」

「いや、それは違う。俺は【闇】だ。闇の勇者・・・・

 まあと両手で、上品に口元を押さえる聖女ゼファ。ひとつひとつの動作が神々しいっていうか、可愛く見えた。……さすがの俺も見惚れてしまう。

「――で、このちっこいのが極魔法使いアルティメットウィザードのフォース。世界で数える程しかいない凄腕の魔法使いさ」

「こ、こんな小さな子が……すごいです」
「……」

 フォースは警戒しまくりだった。
 ま、人見知りが激しいっていうのもあるけどな。


 ――さて、本題に入ろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...