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第150話 聖女の気持ち
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俺は、聖女ゼファに聞いた。
「結婚はしたいの?」
「……したくないです」
ぼそっとつぶやいた。
それから、少し怒りを露わにして――。
「そもそも……タイプじゃないんです。あの王子様」
「え」
「確かに顔はカッコいいですよ。でも、憧れではなかった」
「憧れ?」
「はい……。わたくしは、ずっと原初の予言を読み続けていました。祈りの時でさえ、それを都度繰り返して毎日、毎日……祈りを。その予言によれば、勇者は自由を求めて世界を救うとあったのです」
彼女は俺をジッと見つめて、話を続けた。
「だから、わたくしの憧れは『勇者』様だった。……そして、今、まさにわたくしの目の前に勇者様が……あの、勇者ユメ様。どうかこのまま、わたくしを連れ去って欲しい……。もうあの教会も王子様のところにも戻りたくありません」
それが、ゼファの望みだった。
気持ちだった。
「落ち着いて、聖女様。気持ちは分かった」
「では……」
「いや、俺の本当の目的は魔王の大幹部・大魔女のオルタ・ハークネスを倒しに来たんだよ。でも、キミの存在を知ってね」
「……!」
そこで、ゼファは驚いた。
「あの占い師様では……」
「ああ、だろうね。怪しすぎる」
「実は、あの占い師様、たまに嫌な気配を漂わせているのです。でも、わたくし、自信がなくて……。それに、頼れる人もいないから……」
そうか、頼れる人がいない……。
婚約の件も誰にも相談できず、か。
聞くところによれば、教会に拾われてからは、ずっと独りぼっちだったようだ。周囲からも浮いて、腫れ物扱い。だから余計に孤独だった。
「分かった。あの占い師を――」
その時。
コンコンと扉をノックする音が響く。
「フロントのお姉さんかな」
俺は向かって、扉を開けようと――
「ダメ」
フォースに止められた。
「……フォース、止めたって事は」
「うん。開けちゃダメ。この先は闇しかない。恐らく、大魔女のオルタ・ハークネスの『変化』スキル。とても厄介」
「――そうか。向こうから仕掛けて来やがったが。でもな、俺は闇を恐れないよ。俺自身が闇だからな」
扉を開けた。
そこには、フロントのお姉さんが――。
ぐしゃぁっとナイフが俺に刺さる。
「…………油断したな、小僧。……む? 貴様、血が流れていない!?」
「そうか、フロントのお姉さんは『大魔女のオルタ・ハークネス』だったか」
しゅるっと姿が変わる。
すると、そこにはイメージとはかけ離れた大人の女性が。……婆じゃねぇぞ! ギリギリ20代後半ってところだろう。赤毛の魔女だ。
「お前、何者だい。ただの人間じゃないね!」
魔女が引く。
「それはこっちのセリフだぜ、大魔女のオルタ・ハークネス」
「ほう。やはり、この私を探していたのかい」
「ああ、魔王の大幹部は全員倒す」
「……そうだろうねぇ、勇者。けど、いいのかい。私は王子の魂を掴んでいるんだよ。あの王子を操って、そこのゼファをくっ付けさせて……それから、喰ってやろうと思ったのさ。未婚状態の聖女は、そりゃ力が強くてね……でも、結婚させちまえば、こっちのモンさ。その力は万能ではなくなる」
――それは知らなかった。
俺は、ゼファに合図して確認する。
「ええ、その通りです。結婚してしまい、身を捧げてしまうと神には仕えられなくなってしまうのです。一説によれば、原初神に嫌われてしまうとか」
なるほど、神様も選り好みするんだな。
「そういう事でね、ゼファをただの女にしちまおうという計画だった。だから、明日の結婚式には必ず出てもらう。さもなければ、王子の魂を喰うぞ」
「……っ」
さすがの俺も見捨てる真似は出来ない。
もちろん、勇者としてな。
「分かりました。わたくしが結婚して、それで王子様が助かるのなら……」
「ほう、聖女は話が分かるようだねぇ。さすがだよ。さあ、残るは勇者と……」
そこで大魔女のオルタ・ハークネスは、ガタッと退いた。
「……極魔法使いだって!? このクソガキがあああああッ!!」
顔を青くして、いきなりフォースに襲い掛かった。
赤黒い波動が襲う。
だが――、
『ソウルテレキネシス』
その莫大な魔力を静止させ、無力化した。
……相手は、大魔女のオルタ・ハークネス。あの魔女も相当な魔力を持っているはずだが、フォースの相手ではなかったみたいだ。
ていうか、めっちゃビビってるな、魔女。
「……これだから、極魔法使いは!! いいかい、王子の命が惜しくば邪魔しない事よ!!」
どろーんと大魔女のオルタ・ハークネスは消え去った。……逃げやがったか。
「フォース、助かったよ」
「たいした事なかった」
だろうねえ、一歩も動いてなかったしな。
さすがソウルフォースを極めし者。
マスター・グレイスの弟子だよ。
「結婚はしたいの?」
「……したくないです」
ぼそっとつぶやいた。
それから、少し怒りを露わにして――。
「そもそも……タイプじゃないんです。あの王子様」
「え」
「確かに顔はカッコいいですよ。でも、憧れではなかった」
「憧れ?」
「はい……。わたくしは、ずっと原初の予言を読み続けていました。祈りの時でさえ、それを都度繰り返して毎日、毎日……祈りを。その予言によれば、勇者は自由を求めて世界を救うとあったのです」
彼女は俺をジッと見つめて、話を続けた。
「だから、わたくしの憧れは『勇者』様だった。……そして、今、まさにわたくしの目の前に勇者様が……あの、勇者ユメ様。どうかこのまま、わたくしを連れ去って欲しい……。もうあの教会も王子様のところにも戻りたくありません」
それが、ゼファの望みだった。
気持ちだった。
「落ち着いて、聖女様。気持ちは分かった」
「では……」
「いや、俺の本当の目的は魔王の大幹部・大魔女のオルタ・ハークネスを倒しに来たんだよ。でも、キミの存在を知ってね」
「……!」
そこで、ゼファは驚いた。
「あの占い師様では……」
「ああ、だろうね。怪しすぎる」
「実は、あの占い師様、たまに嫌な気配を漂わせているのです。でも、わたくし、自信がなくて……。それに、頼れる人もいないから……」
そうか、頼れる人がいない……。
婚約の件も誰にも相談できず、か。
聞くところによれば、教会に拾われてからは、ずっと独りぼっちだったようだ。周囲からも浮いて、腫れ物扱い。だから余計に孤独だった。
「分かった。あの占い師を――」
その時。
コンコンと扉をノックする音が響く。
「フロントのお姉さんかな」
俺は向かって、扉を開けようと――
「ダメ」
フォースに止められた。
「……フォース、止めたって事は」
「うん。開けちゃダメ。この先は闇しかない。恐らく、大魔女のオルタ・ハークネスの『変化』スキル。とても厄介」
「――そうか。向こうから仕掛けて来やがったが。でもな、俺は闇を恐れないよ。俺自身が闇だからな」
扉を開けた。
そこには、フロントのお姉さんが――。
ぐしゃぁっとナイフが俺に刺さる。
「…………油断したな、小僧。……む? 貴様、血が流れていない!?」
「そうか、フロントのお姉さんは『大魔女のオルタ・ハークネス』だったか」
しゅるっと姿が変わる。
すると、そこにはイメージとはかけ離れた大人の女性が。……婆じゃねぇぞ! ギリギリ20代後半ってところだろう。赤毛の魔女だ。
「お前、何者だい。ただの人間じゃないね!」
魔女が引く。
「それはこっちのセリフだぜ、大魔女のオルタ・ハークネス」
「ほう。やはり、この私を探していたのかい」
「ああ、魔王の大幹部は全員倒す」
「……そうだろうねぇ、勇者。けど、いいのかい。私は王子の魂を掴んでいるんだよ。あの王子を操って、そこのゼファをくっ付けさせて……それから、喰ってやろうと思ったのさ。未婚状態の聖女は、そりゃ力が強くてね……でも、結婚させちまえば、こっちのモンさ。その力は万能ではなくなる」
――それは知らなかった。
俺は、ゼファに合図して確認する。
「ええ、その通りです。結婚してしまい、身を捧げてしまうと神には仕えられなくなってしまうのです。一説によれば、原初神に嫌われてしまうとか」
なるほど、神様も選り好みするんだな。
「そういう事でね、ゼファをただの女にしちまおうという計画だった。だから、明日の結婚式には必ず出てもらう。さもなければ、王子の魂を喰うぞ」
「……っ」
さすがの俺も見捨てる真似は出来ない。
もちろん、勇者としてな。
「分かりました。わたくしが結婚して、それで王子様が助かるのなら……」
「ほう、聖女は話が分かるようだねぇ。さすがだよ。さあ、残るは勇者と……」
そこで大魔女のオルタ・ハークネスは、ガタッと退いた。
「……極魔法使いだって!? このクソガキがあああああッ!!」
顔を青くして、いきなりフォースに襲い掛かった。
赤黒い波動が襲う。
だが――、
『ソウルテレキネシス』
その莫大な魔力を静止させ、無力化した。
……相手は、大魔女のオルタ・ハークネス。あの魔女も相当な魔力を持っているはずだが、フォースの相手ではなかったみたいだ。
ていうか、めっちゃビビってるな、魔女。
「……これだから、極魔法使いは!! いいかい、王子の命が惜しくば邪魔しない事よ!!」
どろーんと大魔女のオルタ・ハークネスは消え去った。……逃げやがったか。
「フォース、助かったよ」
「たいした事なかった」
だろうねえ、一歩も動いてなかったしな。
さすがソウルフォースを極めし者。
マスター・グレイスの弟子だよ。
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