元勇者は魔力無限の闇属性使い ~世界の中心に理想郷を作り上げて無双します~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第156話 トールダンジョンへ向かえ

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 ――翌朝。

 宿屋のベッドで目を覚ませば、重みを感じていた。――ああ、分かっている。どうせ、フォースとゼファがもぐり込んでいるんだ。

「おはよー」
「フォース……」

「おはようございます、ユメ様」
「ゼファまで……」

 各々おのおののベッドがあるというのに、これだ。毎晩これ。これでは広々とした部屋を取った意味がない気がするが――まあいいか。二人とも幸せそうだし、俺も幸せだった。


 ――で、嫌な予感がした。


「ふぁぁ……おはよー、ユメ…………って、なにこれええええええええ!?」


 あー、やっぱり。
 ネーブルが俺の状況を見て驚いていた。


「お、おはよう、ネーブル」


「わわわわわわあ……っ! フォースちゃんもゼファさんも何してるの!? ユ、ユメにそんなベッタリ……」


 顔を真っ赤にするネーブルは、ぷるぷる震えていた。そりゃ、こんな現場を目撃したらショッキングすぎるわな。なんだか浮気の現場を見られた気分で、ちょっとイヤだ。


「なにって、添い寝」

 フォースが淡白に答える。


「そ、添い寝って……そこまでする?」
「する。貴女にはここまでの覚悟ないでしょ」

 おや、ちょっととげのある。

「……ううっ。そ、それは……だって、まだユメの事とか、みんな事……あんまりよく知らないし、信用していいのかも分からないし」


「…………」

 フォースの瞳がキレ気味っぽい。


「落ち着けって、フォース。ネーブルをイジメるな。いや、すまなかった。ネーブル、時間はある。ゆっくりお互いを知っていこう」


「……う、うん」


 ◆


 自分もだが、皆を着替えさせて朝支度を済ませた。朝食もバッチリ食って、これでダンジョンへ行けるな。

 目的はひとつ、ネーブルの『覚醒』だ。


 昨晩、フォースはこっそり俺に耳打ちしてきた。


『ネーブルは、ある加護・・・・を持っている。でも、それはまだ開花に至っていない能力。その力を覚醒させるには、初心者クラスを超えるしかない。方法は、ただひとつ。この風の帝国キリエ近辺にある『トール』というダンジョンへ向かい、試練を受ければいい。それで彼女は目覚める』


 ――というわけだった。


「ネーブル、キミの実力も確認させてもらう。いいね?」
「わ、分かったわ。魔法も使えない初心者だけど、打撃とかは出来るから……! ま、任せて」


 顔色が緊張一色だ。
 うーん、ちょっと心配だ。


 ◆


【 風の帝国キリエ - 草原フィールド 】


「この草原フィールドは、初心者向け。まずは、この場所で実力を見せてもらう。あそこにいるグリーンスライムを倒してみてくれ」

「了解……」

 引きった顔で向かって行くネーブルは、拳を握って――スライムに対し、打撃を――。


 ポヨ~ンと弾かれて、ノックバックした。
 ネーブルが。


「きゃぁぁぁッ!」
「ちょ、嘘だろ!」


 スライムすら倒せないのか。
 これは参ったな。

「なあ、ネーブル。戦闘経験はあるんだよな?」
「あっ……あるわよ。スライムくらい倒せるわよ。今のはたまたまよ」
「たまたまねぇ」

「……ごめん。実はずっと荷物持ちポーターだった……。あまりに非力だから、雑用ばかり……」


 そういう事か。
 今まで散々な扱いを受けていたようだな。ネーブルは美人だけど、やっぱり最後にはお荷物認定され、追放されてしまっていたのだろうな。う~ん、なんとかしてやりたい。


「いいさ、これから戦闘経験を積んでいけばいい。超初心者になる為にな」

「見捨てないでくれるの?」
「当り前さ、キミを最強にしてやる」

「……ありがとう。わたし頑張るよ。諦めない。絶対に諦めない」


 泣きそうになりながらも嬉しそうにネーブルは、微笑んだ。うん、本人が言っていた通り、諦めない気持ちは強いみたいだな。


「その心意気しかと見せて貰った」
「え……」

 俺は、フォースとゼファに合図を送った。


「……ユメの指示なら仕方ない」

 フォースはいくつもの補助魔法を展開。


「グロリアスブレッシング&アジリティです……!」

 ゼファは支援魔法を掛けてくれた。
 これで能力補正がグンが上がった。


「わぁ、なにこれ……力が湧き出るようよ。これが極魔法使いアルティメットウィザードと聖女様の力……なの」

「そうさ、これが仲間の力だ。行こうか、トールダンジョンへ。そこでネーブルの力を覚醒させる」
「わたしの……力を……。スーパービギナークエストって事なのね」

「ああ、お前の為に行く。いいな」


「ありがとう……本当にありがとう。みんなにきっと迷惑を掛けるだろうけど……よろしくお願いします」


 フォースはクールに「うん」とうなずき、ゼファは優しく「ヒールはお任せ下さい」と笑った。フォースのヤツ、素直じゃないが返事はしているな。


 向かうはトールダンジョン。


 ――だが、そこは魔王軍幹部が支配しつつあるという風の噂もあった……。一筋縄ではいかないかもな。でも、いいぜ。この俺がぶっ倒す。
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