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【188】 ホルダースキル
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「あら、いけませんね。逃げようなど考えない事です。わたくしの力は、あらゆる物体を停滞させるホルダースキル。貴方は今、わたくしに心臓を掴まれているも同然なのですよ」
な、なんだそりゃ。
んなムチャクチャな。
「もっと言い換えれば、心を掴んでいる、といっても差し支えありません。つまり、やろうと思えばマインドコントロールも可能です」
心を操れるって事かよ。
「ですが、それをすると、大抵の方の心は破壊されてしまうのです。となると、重要人物であるカイトさんには、使用できないのですよ。ですが、こうして体を止めるくらい容易いのです」
俺の手に指を絡めてくるエーデルは、顔を近づけて来る。……お、おい。この女、なにを。
「前にお会いした時、わたくしは、カイトさんに尊敬の念を抱いておりました。あの時、どうして告白しなかったのか……後悔ばかりの毎日でしたよ。でも、それももう関係ありません」
桃色の唇が接近してくる。
……くっ。
「――おや、その表情。もしかして、愛する女性がいるのですか。そうなのですか。それは許せませんね……。ああ、もしかして、あのとてもお美しいメイドですか。……そのようですね。では、あのメイドの心は破壊しておきます」
「ヤ、ヤメロ……」
どうにか抵抗できないかと、俺は必死に藻掻く。だが、表情が少し動かせるくらいで、他はまったくだった。
「……っぁ」
ルナ、ソレイユ、ミーティア。
誰でもいい、助けてくれ!
強く念じると、ルナが扉を開けた。
「カイト様……! こ、これは……」
「見つかってしまいましたか」
「……そ、そんな。カイト様、その女性はどういう事ですか」
「ち、違う! 勘違いするな。俺は……この女にスキルを掛けられているんだ。身動きできないんだ。信じてくれ!」
必死に状況を訴える。
ただ、エーデルとキス寸前の距離だから、信じて貰えるかどうか――。ルナは、一瞬泣きそうになっていたが、けれど、俺の言葉を信じてくれた。
「ええ、信じています……。ですから、そこの貴女、カイト様から離れなさい!」
「そうはいきません。ルナさん、でしたね。貴女の心を破壊します」
エーデルは、左手をルナに向けて――させるかッ!
「ソレイユ、ルナを守れ!!」
「分かっているわ! 任せて!」
廊下の奥から現れるソレイユは、機敏な動きでルナをお姫様抱っこして、後退した。入れ替わるように、ミーティアが現れた。
「お兄ちゃん! そっか、お客の中に敵が混じっていたのね。今、助ける」
インフィニティの杖を出すミーティアは、状態異常解除スキルを唱え、俺を自由にしてくれた。成程、あの『ホルダー』は、状態異常に属するものなのか。
「――ぉ。すげえ、さすがミーティア!」
「えっへん」
俺はすぐさま、ミーティアの方へ。
「……ちっ、ダークエルフの分際で! 下等な種族がエルドラド族に盾突こうなど百年早いのですよ」
ギリッと、ミーティアを睨むエーデルの顔は鬼の形相だった。そこまでダークエルフを目の仇にしているとはな。
「事情はなんであれ、出て行って貰うぞ、エーデル! 俺は、共和国に行くつもりもないし、ミーティアを侮辱したお前を許さない」
「いいえ、貴方は必ずブルームーンへ来る」
手を向けて来るエーデル。
また、ホルダースキルを!
な、なんだそりゃ。
んなムチャクチャな。
「もっと言い換えれば、心を掴んでいる、といっても差し支えありません。つまり、やろうと思えばマインドコントロールも可能です」
心を操れるって事かよ。
「ですが、それをすると、大抵の方の心は破壊されてしまうのです。となると、重要人物であるカイトさんには、使用できないのですよ。ですが、こうして体を止めるくらい容易いのです」
俺の手に指を絡めてくるエーデルは、顔を近づけて来る。……お、おい。この女、なにを。
「前にお会いした時、わたくしは、カイトさんに尊敬の念を抱いておりました。あの時、どうして告白しなかったのか……後悔ばかりの毎日でしたよ。でも、それももう関係ありません」
桃色の唇が接近してくる。
……くっ。
「――おや、その表情。もしかして、愛する女性がいるのですか。そうなのですか。それは許せませんね……。ああ、もしかして、あのとてもお美しいメイドですか。……そのようですね。では、あのメイドの心は破壊しておきます」
「ヤ、ヤメロ……」
どうにか抵抗できないかと、俺は必死に藻掻く。だが、表情が少し動かせるくらいで、他はまったくだった。
「……っぁ」
ルナ、ソレイユ、ミーティア。
誰でもいい、助けてくれ!
強く念じると、ルナが扉を開けた。
「カイト様……! こ、これは……」
「見つかってしまいましたか」
「……そ、そんな。カイト様、その女性はどういう事ですか」
「ち、違う! 勘違いするな。俺は……この女にスキルを掛けられているんだ。身動きできないんだ。信じてくれ!」
必死に状況を訴える。
ただ、エーデルとキス寸前の距離だから、信じて貰えるかどうか――。ルナは、一瞬泣きそうになっていたが、けれど、俺の言葉を信じてくれた。
「ええ、信じています……。ですから、そこの貴女、カイト様から離れなさい!」
「そうはいきません。ルナさん、でしたね。貴女の心を破壊します」
エーデルは、左手をルナに向けて――させるかッ!
「ソレイユ、ルナを守れ!!」
「分かっているわ! 任せて!」
廊下の奥から現れるソレイユは、機敏な動きでルナをお姫様抱っこして、後退した。入れ替わるように、ミーティアが現れた。
「お兄ちゃん! そっか、お客の中に敵が混じっていたのね。今、助ける」
インフィニティの杖を出すミーティアは、状態異常解除スキルを唱え、俺を自由にしてくれた。成程、あの『ホルダー』は、状態異常に属するものなのか。
「――ぉ。すげえ、さすがミーティア!」
「えっへん」
俺はすぐさま、ミーティアの方へ。
「……ちっ、ダークエルフの分際で! 下等な種族がエルドラド族に盾突こうなど百年早いのですよ」
ギリッと、ミーティアを睨むエーデルの顔は鬼の形相だった。そこまでダークエルフを目の仇にしているとはな。
「事情はなんであれ、出て行って貰うぞ、エーデル! 俺は、共和国に行くつもりもないし、ミーティアを侮辱したお前を許さない」
「いいえ、貴方は必ずブルームーンへ来る」
手を向けて来るエーデル。
また、ホルダースキルを!
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