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狙われている大聖女
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「……仕方ありませんね」
白衣のイガルク先生は、諦めて肩を落とす。
「頼みますよ、イガルク。それでは、キエルくん」
「はい」
「三日後の朝にプリミティブ辺境伯のお屋敷へ参ります。その日から指導スタートという事で宜しいですね」
「よろしくお願いします!」
僕は、頭を深く下げた。
学校への入学は叶わなかったけれど、それでも、校長先生自らが指導してくれる。それだけでも十分な成果だ。
これから、魔法スキルを学び……上位職を目指す! 今はそれだけを目標に進んでいこう。
「では、イガルク。キエルくんをお願いします」
「分かりました」
イガルク先生についていく。
校長室を出ていき、そのまま外へ。
「あの、イガルク先生……」
「ほう、この私をそう呼んでくれますか」
「この学校の生徒にはなれなかったですけど、先生は先生です。だって、魔法使いなら誰もが憧れる『メフィストフェレス』ですよ! 凄いです」
「いえいえ、私はセドナ校長先生の足元にも及びませんよ。あの方こそ、真の魔法使いといいますか……まあ、そんな感じな人なんです」
メフィストフェレスであるイガルク先生がそこまで言うだなんて、やっぱり凄い人なんだなぁ。
魔法学校を出て、イガルク先生とは別れた。
そのまま真っ直ぐ屋敷を目指し、裏通りを歩いていた時だった。いきなり、男達に囲まれてしまった。
「…………」
四人、いや五人はいる。
あの悪い顔つきは、とても帝国の住人とは思えない。というよりは、見覚えのある顔だった。この人達は……まさか。
「お前達、砂漠の鷲か」
僕がそう言い放つと、一人が前へ。
「……久しぶりだな、キエル」
「お前は『アイリッド』か!」
アイリッドは、砂漠の鷲の初期メンバーらしい。ウィルとは幼馴染だとか。
「今更僕になんの用だ」
「用があるからお前を探していたんだよ、キエル! お前、大聖女を奪いやがったな!!」
「アイルか。ウィルが酷い事をしようとしたからだ。彼は、アイルを傷つけようとしていたんだぞ」
「うるせぇ! ウィルが欲しいってモンは、ウィルのモノなんだよ。それを横取りしたお前を許せん。だからなぁ……!!」
五人は、一斉に剣を抜く。
まずいな、距離も近いし魔法の詠唱が間に合うかどうか。いや、間に合わせて見せる。
「やるのか、この僕と」
「キエル、お前を半殺しにして大聖女の居場所を吐かせてやる」
「そう簡単に言うかよ」
「そうか。そう言うと思ったよ。ならな……」
ニヤニヤと笑うアイリッドは、無関係なエルフの女の子を人質に取っていた。……あの制服は、魔法学校の生徒じゃないか!!
「……た、助けて」
「助けて~だってさ! キエル、お前のせいでこの美人エルフはズタズタに引き裂かれてしまう。それが嫌なら素直に大聖女の居場所を教えるんだ」
「アイリッド、おまえ……」
「睨んでも無駄だ。さあ、ナイフが胸元にきたぞ~…、このままだとこのエルフのバカでけぇおっぱいが丸見えだ!!」
エルフの子は、ぼろぼろ泣き出していた。
関係のない人を巻き込むとか……砂漠の鷲、そこまで堕ちたか!! アイルを狙ったのもそうだし、もう絶対に許さない。
『……ライトニング!!!』
瞬間で魔法スキルを発動し、電撃でナイフを弾く。
「――ぐッ!? 風属性魔法だと……キエルが魔法を使えるという噂は本当だったか!!」
どうやら、情報が耳に届いていたようだな。でも、もう遅い。僕は手加減せず次なるスキルを放つ。
『ファイア!!!』
火属性魔法を四回連続で起こす。
アイリッドの周囲にいる四人を一気に排除した。
「馬鹿な!! こんな、たった一瞬で……ありえねえッ!!! なぜだ、なぜそんな力を持っている、キエル!!!」
「アイリッド、その子を放して貰うぞ!!」
「仕方ねえ、このエルフには死んでもら――」
『コールド!!!』
それよりも先に水属性魔法を穿つ。
槍の形となった氷の塊が飛んでいくと、アイリッドの左肩に命中。貫いた。
「ぐあああああああああああ……ッ!!!」
僕は、その隙にエルフを助けた。
「大丈夫か」
「……は、はい! 助けて戴きありがとうございます、ウォーロック様」
え? 僕がウォーロック?
意味が分からなかったけど、それよりも『ぎゅっ』と抱きつかれ、僕はドキッとした。エ、エルフって凄く柔らかい……。
いやそうじゃない。
まだ終わっていないんだ。
この五人を衛兵に突き出さないと。
白衣のイガルク先生は、諦めて肩を落とす。
「頼みますよ、イガルク。それでは、キエルくん」
「はい」
「三日後の朝にプリミティブ辺境伯のお屋敷へ参ります。その日から指導スタートという事で宜しいですね」
「よろしくお願いします!」
僕は、頭を深く下げた。
学校への入学は叶わなかったけれど、それでも、校長先生自らが指導してくれる。それだけでも十分な成果だ。
これから、魔法スキルを学び……上位職を目指す! 今はそれだけを目標に進んでいこう。
「では、イガルク。キエルくんをお願いします」
「分かりました」
イガルク先生についていく。
校長室を出ていき、そのまま外へ。
「あの、イガルク先生……」
「ほう、この私をそう呼んでくれますか」
「この学校の生徒にはなれなかったですけど、先生は先生です。だって、魔法使いなら誰もが憧れる『メフィストフェレス』ですよ! 凄いです」
「いえいえ、私はセドナ校長先生の足元にも及びませんよ。あの方こそ、真の魔法使いといいますか……まあ、そんな感じな人なんです」
メフィストフェレスであるイガルク先生がそこまで言うだなんて、やっぱり凄い人なんだなぁ。
魔法学校を出て、イガルク先生とは別れた。
そのまま真っ直ぐ屋敷を目指し、裏通りを歩いていた時だった。いきなり、男達に囲まれてしまった。
「…………」
四人、いや五人はいる。
あの悪い顔つきは、とても帝国の住人とは思えない。というよりは、見覚えのある顔だった。この人達は……まさか。
「お前達、砂漠の鷲か」
僕がそう言い放つと、一人が前へ。
「……久しぶりだな、キエル」
「お前は『アイリッド』か!」
アイリッドは、砂漠の鷲の初期メンバーらしい。ウィルとは幼馴染だとか。
「今更僕になんの用だ」
「用があるからお前を探していたんだよ、キエル! お前、大聖女を奪いやがったな!!」
「アイルか。ウィルが酷い事をしようとしたからだ。彼は、アイルを傷つけようとしていたんだぞ」
「うるせぇ! ウィルが欲しいってモンは、ウィルのモノなんだよ。それを横取りしたお前を許せん。だからなぁ……!!」
五人は、一斉に剣を抜く。
まずいな、距離も近いし魔法の詠唱が間に合うかどうか。いや、間に合わせて見せる。
「やるのか、この僕と」
「キエル、お前を半殺しにして大聖女の居場所を吐かせてやる」
「そう簡単に言うかよ」
「そうか。そう言うと思ったよ。ならな……」
ニヤニヤと笑うアイリッドは、無関係なエルフの女の子を人質に取っていた。……あの制服は、魔法学校の生徒じゃないか!!
「……た、助けて」
「助けて~だってさ! キエル、お前のせいでこの美人エルフはズタズタに引き裂かれてしまう。それが嫌なら素直に大聖女の居場所を教えるんだ」
「アイリッド、おまえ……」
「睨んでも無駄だ。さあ、ナイフが胸元にきたぞ~…、このままだとこのエルフのバカでけぇおっぱいが丸見えだ!!」
エルフの子は、ぼろぼろ泣き出していた。
関係のない人を巻き込むとか……砂漠の鷲、そこまで堕ちたか!! アイルを狙ったのもそうだし、もう絶対に許さない。
『……ライトニング!!!』
瞬間で魔法スキルを発動し、電撃でナイフを弾く。
「――ぐッ!? 風属性魔法だと……キエルが魔法を使えるという噂は本当だったか!!」
どうやら、情報が耳に届いていたようだな。でも、もう遅い。僕は手加減せず次なるスキルを放つ。
『ファイア!!!』
火属性魔法を四回連続で起こす。
アイリッドの周囲にいる四人を一気に排除した。
「馬鹿な!! こんな、たった一瞬で……ありえねえッ!!! なぜだ、なぜそんな力を持っている、キエル!!!」
「アイリッド、その子を放して貰うぞ!!」
「仕方ねえ、このエルフには死んでもら――」
『コールド!!!』
それよりも先に水属性魔法を穿つ。
槍の形となった氷の塊が飛んでいくと、アイリッドの左肩に命中。貫いた。
「ぐあああああああああああ……ッ!!!」
僕は、その隙にエルフを助けた。
「大丈夫か」
「……は、はい! 助けて戴きありがとうございます、ウォーロック様」
え? 僕がウォーロック?
意味が分からなかったけど、それよりも『ぎゅっ』と抱きつかれ、僕はドキッとした。エ、エルフって凄く柔らかい……。
いやそうじゃない。
まだ終わっていないんだ。
この五人を衛兵に突き出さないと。
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