異世界で勇者をすることとなったが、僕だけ何も与えられなかった

晴樹

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39話 任務7

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「きゃあ!」
前の方では逃げている女子が大型の生物に襲われている。大きな手が女子生徒の横っ腹を襲う。

「ぐ…」

ドサッと音と共に中に浮く体。そのまま飛ばされて木にぶつかる。
女子生徒は動かなくなった。

「うわああー」

近くにいた女子は叫ぶ。
次は自分の番じゃないか。このままさっきの女子みたいに襲われてしまうのではないか。彼女は必死な形相をして逃げる。

「ぐわぁーーーーー!!!!」

大型の生物は止まる事なく、次々と仲間たちを襲う。
既に現場はパニック状態。我先にて逃げる者でいっぱいで戦う者はいない。

「た、たすけてくれー!!」

男子が大声を上げる。しかし誰も助ける事をしない。
そして、大型の生物の下敷きにされる。

「ぎゃあああああ!!」

断末魔が辺りに広がる。
このままでは潰されて死んでしまう。
誰かが魔法でも攻撃すれば彼は助かるかもしれない。しかし…

「うわああー」

叫んで逃げる者しかいなかった。
そんな中、僕は少し離れた位置にいた。
そして、僕はホルスターに入れていた銃を抜き構える。反動が凄いので、両手で。

下敷きになっている男子には悪いが、動きを止めた今、アイツを狙いやすい。
まだ初心者だから、正確に銃弾を当てられるか心配だったが、止まって撃てる今ならば可能性は高い。

「これでもくらえ」

もちろん狙いは頭。
だが、外れた時のことを考えて少し下を狙い打つ。

引き金を引いた瞬間、辺りに破裂音のような大きな銃声が広がる。それと同時に独特の匂いも広がった。

そして、生物の肩を貫いた。

「ぐわぁああああ」

突然の痛みに大型の生物は痛がり始めた。
ゆらめいた事で、下敷きになっていた男子生徒の上から退いた。

狙い通り。

僕は続けて攻撃するために、銃口を向ける。下を狙ってしまうと他の人に当たる可能性があったから、上を狙うしかない。

「もう1発くらえ」

引き金を引くと、先ほどと同じように音が響く。

だが…

「外れた!」

生物は動いて的となっていた頭には当たらなかった。

「チッ…」

自然と舌打ちが出る。
それにしても銃を撃っても平静を保っている自分に驚く。

「今のうちに逃げろ」

僕は声を出した。こんなに大きな声を出したのは、異世界に来て初めてではないだろうか。
こんなに大きな声が出るとは思いもしなかった。

銃声を聞いて、止まっていた仲間たちは再び動き出す…

さて、これからどうしたものか…

大型の生物は立ち上がりコチラを見ている。

さて、僕も逃げるとするか…

「左右に散れーー!! 奴は僕が相手をする!!」

そう言って、僕は1人逃げる。
死んだな。これは…
僕はお人好しだったらしい。
全力で、森の中に入った。

「ぐわああ!」
言葉はわからないけれど、怒っているのがわかる。

「さぁ、こっちに来い…」
来てほしくはない。だけど自然と声が出てしまう。

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