27 / 41
第26話 勇者死した?
しおりを挟む
勇者は倒れたまま動かなかった。
「死んだか?」
勇者殺しは倒れたままの動かない勇者に近付こうと、1歩1歩近づいてくる。
「来るな!」
近づく勇者殺しにヴェロニカが立ち上がり威嚇する。剣を構えて今にも飛びかかりそうな勢いだ。その勢いに圧されたのか勇者殺しはその場に立ち止まった。
「ふっ、まぁいいだろう…」
勇者殺しはそう言うと、闇の中へと姿を突如姿を消していった。ヴェロニカは勇者殺しの気配が全く感じられなくなったのを確認すると、剣を下ろした。そして倒れた勇者の元に駆け寄る。それでも勇者は動かない。ヴェロニカはその勇者に予想外の行動をする。
「いつまで寝てんのよ!」
地べたで寝ている勇者を足で思いっきり蹴飛ばしたのだ。そう思いっきり。その為勇者は地べたを転がっていった。少し転がると止まった。そして…
「痛い痛い! 何すんだよ」
勇者殺しのナイフによって倒れたはずの勇者が起き上がって、足で蹴飛ばされたことに激怒した。
「あんたがいつまでも死んだフリするからでしょ!」
と激怒返しされる。
「仕方ないだろ。勇者殺しに生きてるのがバレたら、殺されるんだからよ」
「あんたそれでも勇者?」
呆れ顔をされてしまう。なりたくて勇者になった理由じゃないからそんなこと言われても困るんだよな。
「はぁー、でもよく騙せたもんね…」
話は勇者殺しのことに戻った。
「あぁ、思ったよりも楽だったな。多分アイツバカだぜ?ハハハ」
と笑ってやった。僕の作戦通りに上手くいった嬉しい気持ちも含みながら。
「あんた絶対次殺されるわよ…」
とヴェロニカは言った。
それは僕も分かっていた。次会った時は容赦がないと言う事を。勇者として奴と戦わなければならないことを…
「生きてらしたんですね?」
城に着くと姫様が玄関で待っていた。そして僕を見るなりこう言ってきた。だから僕はそれに言葉を返す。
「生きてちゃ悪いんですか?」
少し皮肉さを込めて返事する。
「いえいえ、生きていてくださって良かったです」
と笑顔で返してくる。眩しい…夜なのに眩しいよ…
姫様の笑顔が眩しい…
僕は怒るに怒れなくなった。
「じゃあ、僕は部屋に帰らせてもらいます。それでは」
怪しむべきは姫様なのかもしれない…そう思った。
「死んだか?」
勇者殺しは倒れたままの動かない勇者に近付こうと、1歩1歩近づいてくる。
「来るな!」
近づく勇者殺しにヴェロニカが立ち上がり威嚇する。剣を構えて今にも飛びかかりそうな勢いだ。その勢いに圧されたのか勇者殺しはその場に立ち止まった。
「ふっ、まぁいいだろう…」
勇者殺しはそう言うと、闇の中へと姿を突如姿を消していった。ヴェロニカは勇者殺しの気配が全く感じられなくなったのを確認すると、剣を下ろした。そして倒れた勇者の元に駆け寄る。それでも勇者は動かない。ヴェロニカはその勇者に予想外の行動をする。
「いつまで寝てんのよ!」
地べたで寝ている勇者を足で思いっきり蹴飛ばしたのだ。そう思いっきり。その為勇者は地べたを転がっていった。少し転がると止まった。そして…
「痛い痛い! 何すんだよ」
勇者殺しのナイフによって倒れたはずの勇者が起き上がって、足で蹴飛ばされたことに激怒した。
「あんたがいつまでも死んだフリするからでしょ!」
と激怒返しされる。
「仕方ないだろ。勇者殺しに生きてるのがバレたら、殺されるんだからよ」
「あんたそれでも勇者?」
呆れ顔をされてしまう。なりたくて勇者になった理由じゃないからそんなこと言われても困るんだよな。
「はぁー、でもよく騙せたもんね…」
話は勇者殺しのことに戻った。
「あぁ、思ったよりも楽だったな。多分アイツバカだぜ?ハハハ」
と笑ってやった。僕の作戦通りに上手くいった嬉しい気持ちも含みながら。
「あんた絶対次殺されるわよ…」
とヴェロニカは言った。
それは僕も分かっていた。次会った時は容赦がないと言う事を。勇者として奴と戦わなければならないことを…
「生きてらしたんですね?」
城に着くと姫様が玄関で待っていた。そして僕を見るなりこう言ってきた。だから僕はそれに言葉を返す。
「生きてちゃ悪いんですか?」
少し皮肉さを込めて返事する。
「いえいえ、生きていてくださって良かったです」
と笑顔で返してくる。眩しい…夜なのに眩しいよ…
姫様の笑顔が眩しい…
僕は怒るに怒れなくなった。
「じゃあ、僕は部屋に帰らせてもらいます。それでは」
怪しむべきは姫様なのかもしれない…そう思った。
0
あなたにおすすめの小説
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる