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第七話 宿題

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そして、二時間目が始まる。
さっきの休み時間は前の時間に人見知りが発動したこともあり、イメージトレーニングをしていた。
だが、まったくどうするべきか思い浮かばなくて、無意味に時間だけを無駄にしてしまった。

はぁー、いったいどうすれば……

「今日は宿題をだしていましたね。」
と先生がいう。
この時間は伊藤先生ではない。
今は英語の時間で授業はきつそうなおばちゃんが担当なのである。
僕はまだ英語の時間は三回目ぐらいだがもうこのおばちゃん先生は苦手だった。
だって、すぐ怒るし、厳しいうえに元から僕はおばちゃんが苦手なんだ。
そのこともあり、英語の時間は嫌いだった。

「では、宿題を机の上に出してください。見て回るので。」

その言葉を聞いて宿題の準備をはじめる。
僕の席は窓側の一番前ということもあり、先生が来るのは一番最後なのだ。
順番待ちをしていて、やっと僕の後ろの真城さんのところにくる。

「真城さん、宿題は?」

真城さんは机の上に宿題を出していなかった。
何をしてるんだ。
宿題をしてきているのは朝の会話で知っていたのでなぜ出していないのか疑問に思った。
すると、

「宿題を忘れてきました。」

真城さんは先生に向かって小さな声で言う。
それを聞いた先生は瞬く間に怒り始めた。

だが、それはおかしい。
そんなわけがない……
まさか、返してもらってないのか。
そう思った僕は、真城さんに宿題を借りに来た女子の方を見た。
すると、その女子は真城さんが怒られているのを見て笑っていた。

わざとなのか……
そのとき僕は思った……
伊藤先生が気にしていたのはこのことなんだ。
でも、なんで真城さんはそのことを言わないのか。
何か理由があるのか。
しかし、僕は真城さん一人がおばちゃん先生に怒られているの見てられなかった。

「ペナルティーとして今日の放課後反省文を書いて持ってきなさい!」

クラスではクスクス笑う声が聞こえてくる。

「はい……」

真城さんが下を向いて返事をする。
僕は先生に向かって手を挙げる。

「先生、私も宿題忘れました!」

最後の一人である僕が立ち上がり先生に言う。
僕の一言に真城さんは驚いた様子で僕を見た。
僕は、無実な人が怒られているのは見ていられなかった。
だから、やってきた宿題を机の中にしまい、立ち上がったのだ
しかし、僕の行動は火に油を注ぐ行為だったようだ。
少し収まっていた先生の怒りを呼び戻してしまったらしい。

すまない、真城さん……

僕は心の中で真城さんに謝った。
それから三十分間の間僕と真城さんは無実の罪により怒れるのであった。



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