「バカな男子高校生が女子校に入学しました!」

晴樹

文字の大きさ
17 / 155

第十七話

しおりを挟む
そして事件は起こるのだった…

「ではこれで帰りのHRを終わります」
と伊藤先生の掛け声でみんな一斉に動き始める。
僕もカバンを取り帰る準備を始めた。
だが、立ち上がった時に伊藤先生に呼ばれた。
「みくり君、ちょっとノート運ぶの手伝ってもらえる?」
と言われた僕は、持っていたカバンを机の上に置き先生の手伝いに向かった。
僕は、ノートを持って先生の後について行った。
その道中先生が
「いやー、でも助かるよ。みくり君がいてくれて」
そう言われるのは悪い気はしない。
でも
「先生、さすがに女の子だらけだから男の僕に頼みやすいとはいえ、僕ばかりに頼むのはどうかと思いますよ」
「それはわかってはいるんだけど、やっぱりみくり君は頼みやすいから頼んじゃうんだよね」
と話して目的地に着くとノートを置いてそそくさと教室に戻った。
後ろから、ありがと~う!という先生の声がしたので手を振っておいた。

教室に戻ると真城さんの姿はなくその代わり教室にあいつの姿があった。
そう、そのあいつとは
「早かったじゃない、花園さん」
この上から目線の喋り方をするいやらしい女だ。
特に話したくもなかったから、そうかな~と言って適当に答えて僕は自分の机の上に置いてあるカバンをとって帰ろうとした。
しかし、
「何帰ろうとしてるの?」
と僕の前に立ちふさがる。
邪魔だ。帰れない。とは口には出さなかったけど、多分顔には出てると思う。
「私はあんたが帰ってくるのを待ってたんだから」
「!?」
びっくりしてる。
僕はこの女に待たれるようなことをした覚えがない、それにこれから何が起こっても嫌な予感しかしない。
多分良くないことなんだろうと思うと帰りたくなるが、邪魔をされているにで帰れない。
「単刀直入に聞くけど、あんたと伊藤先生は付き合ってるの」
「え…」
またっく予想外な質問だった。
まさか、男の僕にこんなことを聞いてくるとは…
と思ったがこの女は僕のこと男だと知らないから、この質問もあながちな違えではない気もする。
でも、それは間違いだ。
だから僕は
「いや、付き合ってない…ただの友達だよ」
「絶対嘘だ。名前で呼び合ってるし、昼も一緒に食べてるし、それで付き合っていないなんて言える」
なぜ真実を言っているのに信じてもらえないのか、謎でしかない。
でも、僕がこの女の立場なら信じられないのも不思議ではない。
でもそれは僕が女だったらの話だ。
僕が男であることをしゃべることができれば今すぐにでも誤解を解いて帰ることができるのに…
てか、もしそんなデマが広まってみろ俺も伊藤先生も立場が悪くなってしまう。
もしかして、僕を脅迫するために教室に残っていたのか、この女は。
しかし、この女は予想とは違う脅し方をしてきた。
「もう、伊藤先生に近づかないで」
めちゃめちゃ怖い目で脅してくる。
この脅しは何を考えての脅しなのかさっぱり僕には理解ができなかった。
僕が伊藤先生に近づかないからって、この女に何のメリットがあるんだ。
それに伊藤先生と僕は友達だ。
だから
「それはできない」
「!」
女は僕の強気な発言に驚いていた。
大体の普通の女の子であればあんな目で見られた時点で、素直に従ってしまうところだろうけれど、あいにく僕は男だからそんな脅しには負けない。
と少し強気すぎたのがダメだったらしい。
僕の発言で相手の怒りをかってしまったみたいだ。
みるみる女の右手の拳に力が込められ、顔は怒りで真っ赤だ。
今にも沸騰しそうなほどに…
と次の瞬間、僕は吹っ飛ばされた。
僕の後ろにあった机は倒れ、僕は地面に叩きつけられる。
頬にはジリジリと痛みが走りようやく理解できた。
僕は殴られたのだと…
「イテッ!」
僕の口癖が出てしまう。
特に痛くなくても殴られたら言ってしまう。
だが、今回はまた違う。
いつものように出てしまった言葉だが、今回は本当に痛かった。
ものすごく痛かった。
しかし、それでも怒りが収まらないらしい女は倒れた僕に蹴りを入れてくる。
それもなんども。
痛みが全身にわたり始める。
その暴力は僕には長い間続いたように感じたが、実際は1分も経っていなかった。
そして、僕もそろそろ我慢の限界で反撃しようと思った時に、相手の女は蹴るのをやめてしまった。
「はぁはぁ…」
息が切れているようだ。
そして、スタミナ切れで我に返った女は自分がやり過ぎてしまったことを知る。
しかし、女のプライドもあるため謝るなんてできなかった。
だから「思い知った?これ以上されたくなければ私の言ったことを守ることね」
と言って教室から足早に去って行った。
教室に取り残された僕は思った。
あいつ、僕に教室のカギ押し付けやがった、と…
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...