「バカな男子高校生が女子校に入学しました!」

晴樹

文字の大きさ
51 / 155

第五十一話 一馬くん

しおりを挟む
「……」
「……」
「……」

僕たち三人は無言のまま机を囲んでいた。てか、気まずい。
どうして残ってしまったのか、今になると後悔が出てきた。
このままではダメなので、話をしないと。
いや、やめよう。そして、帰る!
僕は妹には悪いと思ったが、この一馬くんのことを考えると、二人っきりにしたほうがいいと思う。
だから、僕は腰を上げて、そして部屋のドアに手をかけた。
そしてこう言った。

「では、また!」

そう捨て台詞を吐いて部屋から出た。

部屋からは、

「ちょっとま…」

と言う、妹の声が微かに聞こえたが、そんなこともう知らん!
あんなところでいたら、窒息死してしまいそうだった。
僕は自分の部屋に戻り、着替えた。
そして、妹に悪いが、寝さしてもらおう。
一馬くんが帰るまで、寝て過ごすことにした。もし部屋から出た時に出会っちまったら、いろいろと厄介だからな。そこまで考えて、僕は眠ることにした。


バチンッ!
突然、寝ている僕の頬に痛みが走った。
何事かと思い、目を開けると、そこには妹の姿があった。

「ど、どうした?」

「どうしたじゃないでしょ!よくもあそこで自分の部屋に帰ったわね」

と妹が怒っていた。無理もないが。

「いや、待ってくれ!あれは仕方ないだろ、僕がいても何も変わらなかったはずだ」
「それでも、二人っきりになるよりマシよ」
「…待て、お前の友達だろ?」
「そうだけど…」
「だったらなぜそう、気まずくなるんだよ」
「気まずくなんて……そ、そういうお年頃なの」

自分で言うか…それを。

「一馬くんは、お前が好きなんじゃいのか?」

「…もういい!聞かないで!」

いや、お前が振ってきた話じゃないか。
まぁ終わりというならそれでいいが…

「で、なんのようだったの?」
「え?」

僕は急に言われて戸惑った。
なんのことを言っているのかわからなかった。

「何の用って、お前が寝てる俺を起こしに来たんじゃないか?」
「それは今の話でしょ!だ、か、ら、私の部屋に来た理由を聞いてるの!!」

あぁ、言われてやっと思い出した。
妹の部屋に行ったのは、一馬くんに会うわけじゃなくて、仲直りした話をしに行ってたんだった。

「そうだった。実は前々から相談してた件が、いい方向で解決しまして、そのご報告に行ったんでした」
「そうだったんだ、よかったね」
「うん、お前には世話になったから、伝えておかないとと思ってな」
「そういうところは律儀だね」
「えへへ、そうか」

と妹に褒められて喜ぶ。
しかし、

「いや、褒めてないよ」

という妹の言葉で僕は谷底に落とされた気分になった。
さっきの喜びを返せ!と言いたくなった。

「だって、感謝の気持ちがあるなら、さっきはもっと助けてくれてもよかったんじゃない?」
「…でも、あれは僕には荷が重すぎるよ」
「だったら最後までいるとかでもよかったのに、逃げるなんて信じられない」
「う…」

返す言葉が思い浮かばなかった。
妹の言うとおりだったからだ。
いつも、相談に乗ってくれているのに逃げてしまってはいけなかったな。
僕は少し反省をした。
そして

「わかった。一馬くんのことは僕も協力させてもらうよ!」
「ふふ、その言葉を待っていたわ!じゃあ、これからよろしくねお兄ちゃん!」

と不敵な笑みを受けべている妹。
もしかして僕はミスしてしまったのではないかと後悔しはじめるが、時すでに遅し。
僕はもうこう言うしかなかった。

「う、うん…」

そして、不敵な笑みを浮かべた妹はそそくさと僕の部屋を後にした。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...