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第五十一話 一馬くん
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「……」
「……」
「……」
僕たち三人は無言のまま机を囲んでいた。てか、気まずい。
どうして残ってしまったのか、今になると後悔が出てきた。
このままではダメなので、話をしないと。
いや、やめよう。そして、帰る!
僕は妹には悪いと思ったが、この一馬くんのことを考えると、二人っきりにしたほうがいいと思う。
だから、僕は腰を上げて、そして部屋のドアに手をかけた。
そしてこう言った。
「では、また!」
そう捨て台詞を吐いて部屋から出た。
部屋からは、
「ちょっとま…」
と言う、妹の声が微かに聞こえたが、そんなこともう知らん!
あんなところでいたら、窒息死してしまいそうだった。
僕は自分の部屋に戻り、着替えた。
そして、妹に悪いが、寝さしてもらおう。
一馬くんが帰るまで、寝て過ごすことにした。もし部屋から出た時に出会っちまったら、いろいろと厄介だからな。そこまで考えて、僕は眠ることにした。
バチンッ!
突然、寝ている僕の頬に痛みが走った。
何事かと思い、目を開けると、そこには妹の姿があった。
「ど、どうした?」
「どうしたじゃないでしょ!よくもあそこで自分の部屋に帰ったわね」
と妹が怒っていた。無理もないが。
「いや、待ってくれ!あれは仕方ないだろ、僕がいても何も変わらなかったはずだ」
「それでも、二人っきりになるよりマシよ」
「…待て、お前の友達だろ?」
「そうだけど…」
「だったらなぜそう、気まずくなるんだよ」
「気まずくなんて……そ、そういうお年頃なの」
自分で言うか…それを。
「一馬くんは、お前が好きなんじゃいのか?」
「…もういい!聞かないで!」
いや、お前が振ってきた話じゃないか。
まぁ終わりというならそれでいいが…
「で、なんのようだったの?」
「え?」
僕は急に言われて戸惑った。
なんのことを言っているのかわからなかった。
「何の用って、お前が寝てる俺を起こしに来たんじゃないか?」
「それは今の話でしょ!だ、か、ら、私の部屋に来た理由を聞いてるの!!」
あぁ、言われてやっと思い出した。
妹の部屋に行ったのは、一馬くんに会うわけじゃなくて、仲直りした話をしに行ってたんだった。
「そうだった。実は前々から相談してた件が、いい方向で解決しまして、そのご報告に行ったんでした」
「そうだったんだ、よかったね」
「うん、お前には世話になったから、伝えておかないとと思ってな」
「そういうところは律儀だね」
「えへへ、そうか」
と妹に褒められて喜ぶ。
しかし、
「いや、褒めてないよ」
という妹の言葉で僕は谷底に落とされた気分になった。
さっきの喜びを返せ!と言いたくなった。
「だって、感謝の気持ちがあるなら、さっきはもっと助けてくれてもよかったんじゃない?」
「…でも、あれは僕には荷が重すぎるよ」
「だったら最後までいるとかでもよかったのに、逃げるなんて信じられない」
「う…」
返す言葉が思い浮かばなかった。
妹の言うとおりだったからだ。
いつも、相談に乗ってくれているのに逃げてしまってはいけなかったな。
僕は少し反省をした。
そして
「わかった。一馬くんのことは僕も協力させてもらうよ!」
「ふふ、その言葉を待っていたわ!じゃあ、これからよろしくねお兄ちゃん!」
と不敵な笑みを受けべている妹。
もしかして僕はミスしてしまったのではないかと後悔しはじめるが、時すでに遅し。
僕はもうこう言うしかなかった。
「う、うん…」
そして、不敵な笑みを浮かべた妹はそそくさと僕の部屋を後にした。
「……」
「……」
僕たち三人は無言のまま机を囲んでいた。てか、気まずい。
どうして残ってしまったのか、今になると後悔が出てきた。
このままではダメなので、話をしないと。
いや、やめよう。そして、帰る!
僕は妹には悪いと思ったが、この一馬くんのことを考えると、二人っきりにしたほうがいいと思う。
だから、僕は腰を上げて、そして部屋のドアに手をかけた。
そしてこう言った。
「では、また!」
そう捨て台詞を吐いて部屋から出た。
部屋からは、
「ちょっとま…」
と言う、妹の声が微かに聞こえたが、そんなこともう知らん!
あんなところでいたら、窒息死してしまいそうだった。
僕は自分の部屋に戻り、着替えた。
そして、妹に悪いが、寝さしてもらおう。
一馬くんが帰るまで、寝て過ごすことにした。もし部屋から出た時に出会っちまったら、いろいろと厄介だからな。そこまで考えて、僕は眠ることにした。
バチンッ!
突然、寝ている僕の頬に痛みが走った。
何事かと思い、目を開けると、そこには妹の姿があった。
「ど、どうした?」
「どうしたじゃないでしょ!よくもあそこで自分の部屋に帰ったわね」
と妹が怒っていた。無理もないが。
「いや、待ってくれ!あれは仕方ないだろ、僕がいても何も変わらなかったはずだ」
「それでも、二人っきりになるよりマシよ」
「…待て、お前の友達だろ?」
「そうだけど…」
「だったらなぜそう、気まずくなるんだよ」
「気まずくなんて……そ、そういうお年頃なの」
自分で言うか…それを。
「一馬くんは、お前が好きなんじゃいのか?」
「…もういい!聞かないで!」
いや、お前が振ってきた話じゃないか。
まぁ終わりというならそれでいいが…
「で、なんのようだったの?」
「え?」
僕は急に言われて戸惑った。
なんのことを言っているのかわからなかった。
「何の用って、お前が寝てる俺を起こしに来たんじゃないか?」
「それは今の話でしょ!だ、か、ら、私の部屋に来た理由を聞いてるの!!」
あぁ、言われてやっと思い出した。
妹の部屋に行ったのは、一馬くんに会うわけじゃなくて、仲直りした話をしに行ってたんだった。
「そうだった。実は前々から相談してた件が、いい方向で解決しまして、そのご報告に行ったんでした」
「そうだったんだ、よかったね」
「うん、お前には世話になったから、伝えておかないとと思ってな」
「そういうところは律儀だね」
「えへへ、そうか」
と妹に褒められて喜ぶ。
しかし、
「いや、褒めてないよ」
という妹の言葉で僕は谷底に落とされた気分になった。
さっきの喜びを返せ!と言いたくなった。
「だって、感謝の気持ちがあるなら、さっきはもっと助けてくれてもよかったんじゃない?」
「…でも、あれは僕には荷が重すぎるよ」
「だったら最後までいるとかでもよかったのに、逃げるなんて信じられない」
「う…」
返す言葉が思い浮かばなかった。
妹の言うとおりだったからだ。
いつも、相談に乗ってくれているのに逃げてしまってはいけなかったな。
僕は少し反省をした。
そして
「わかった。一馬くんのことは僕も協力させてもらうよ!」
「ふふ、その言葉を待っていたわ!じゃあ、これからよろしくねお兄ちゃん!」
と不敵な笑みを受けべている妹。
もしかして僕はミスしてしまったのではないかと後悔しはじめるが、時すでに遅し。
僕はもうこう言うしかなかった。
「う、うん…」
そして、不敵な笑みを浮かべた妹はそそくさと僕の部屋を後にした。
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