「バカな男子高校生が女子校に入学しました！」

第八十七話 僕の妹たち

今僕は窮地に立っていた。
僕の正体がバレそうなのである…

｢で、あなたは誰なんですか？｣
と村野先生が聞いてきた。
｢え、えっと…｣
なんて言えばいいのか…僕が兄です。なんて言えないし、言った時点で、男だってバレちゃうよ！
でも、言わないと怪しまれ続け、家に帰してくれないだろう。
これは冷や汗ものだぜ！
そんな僕を見ていた、2人が僕の前に出た。その2人とは、一馬くんと佐奈の2人だった。村野先生はその2人を見て不思議そうな顔をした。それは、僕も同じだった。2人は何をしに出てきたんだ？僕も先生と同じで何をするのかを見ていた。
すると2人は村野先生にこう言った。
｢村野先生！この人は…千穂ちゃん家の近く住んでるお姉さんなんです｣
と一馬くんが言った。
｢そうなんです。いつも私たちと遊んでくれる優しいお姉さんなの｣
と佐奈が先生に言った。今までこんな子供っぽい喋り方しないのに…僕のために…
2人は僕が困っているのを見て助けてくれているようだ…なんて優しいんだ。涙が出そうだ。やっぱり持つべきものは妹たちだな！
と先生は2人が言っていることを聞いて、考えている。そして、僕の方を見てくる。
｢本当なの？｣
と半信半疑に聞いてくる。それもそうだろう。この状況では、聞いてくるわな。
｢そ、そうなんですよ！ ｣
と僕は、僕のことを助けてくれた2人の妹たちを抱き寄せてそう言った。2人は突然の事でびっくりした表情をした。しかし、先生が見ているというのもあり、無理やり笑顔を作ってくれる。
先生はその様子見て
｢うーん、まぁ、そういうことにしときましょうか！｣
と言ってくれた。話のわかる先生でよかった～。
僕は安心し、ホッと息を吐いた。近くで見守っていた、本当の妹である千穂も僕と一緒でホッとしていた。
｢さあさあ、もう遅いから帰りなさい｣
と村野先生は言った。もう疲れたようで、さっさと帰ってくれ言ったように、手でしっ、しと振っている。
｢わかりました。さぁ、帰ろうか｣
と僕は妹たちを促す。そして、妹たちは村野先生に｢さよなら～先生｣と言って歩き始めた。僕もそれについて歩き始めると、急に腕を掴まれる。な、なんだ。
僕の腕を掴んだのは、なんと先生だった。そして、先生は僕に向かってこういった。
｢あの子たちのことよろしくね｣
と言うと手を離して、僕の背中を叩いた。僕は先生にお辞儀をしてから、妹たちの後を追った。