「バカな男子高校生が女子校に入学しました!」

晴樹

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第100話 真城さんの部屋

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「ここ」
真城さんは3階に上がる階段を上りきったすぐの部屋の前に止まりそう言った。
3階も2階とほとんど造りが一緒のようだった。ただ長い廊下があってその所々に部屋への入り口がある。2階と3階だけで部屋の数は10はいきそうだった。多分それ以上あると思う。

「入って」
僕は真城さんの部屋へと招かれた。
おそるおそる中に入ると、そこには女の子の部屋が広がっていた。部屋のいたるところに動物のぬいぐるみが置かれていた。まるで、子供部屋かのようだ…てか、広い!18畳くらいあるのかな?
1人部屋とは思えないくらいだ。
僕は、部屋を見回してから、不安になったので真城さんに聞いてみた。
「ここって真城さんの部屋?」
「そうだけど?」
「…ぬいぐるみ好きなんだね」
「う、うん」
真城さんはそれが? みたいな顔でこちらを見てくる。特におかしいとは思っていないようだ。僕も女の子の部屋にぬいぐるみがあるくらいなら、何も言わないけど流石にこの量はおかしい。
真城さんの部屋のほとんどをぬいぐるみが支配していた。この広い部屋にぬいぐるみでいっぱいなのだ。ぬいぐるみも大きさがまちまちで小さいものから大きなものまでバリエーションが豊富。その中でひときわ目を引いたのは間違いなくこいつだろう。僕の視線の先には僕よりも大きなクマのぬいぐるみがそこにはいた。そして、僕の方を見ている。その瞳には何も映らないくらい黒い瞳でこちらを見ている。なんか怖い…

「どうぞ、ここに座って」
とクッションが置いてあったところに僕は座った。そのクッションもクマさんだった。僕はクマさんの顔に堂々とケツを置いた。真城さんは自分のベットに腰掛けた。僕と真城さんは机を挟んで向かい合う形となった。普段は真城さんはこのクッションに座っているのだろう。そんな気がした。
僕はソワソワしながら部屋を見ていた。僕は、女の子の部屋に来たことなんてなかったので緊張していた。まぁ、妹の部屋には何度か入っているがそれはまた別だ。
僕は、真城さんの部屋を見ていると、ある異彩な雰囲気を放つものがあった。先ほどの大きなクマもそうだが、それとは違いサイズも普通のぬいぐるみ程度なのにそいつはこの部屋では浮いていた。それはぬいぐるみと一緒に戸棚の上に飾られてまるでぬいぐるみの友達のようにそこにいた。
それは…日本人形である。顔は白く髪は黒く和服を着ている普通の日本人形だ。しかし、いる場所がおかしい。それでなければ普通なのだが…
日本人形は1人ガラスケースに入ってこちらを見ていた。このぬいぐるみがわんさかしている中に混じっているのだからものすごく怖い…
「ん? どうしたの汗すごいよ」
「え!?」
僕は腕で額を拭った。拭った腕は濡れており、汗をかいていたことに今気づいた。
「暑いならエアコンつけようか?」
と気をつかって聞いてくれる。僕は、お言葉に甘えた。 
「お願いします…」
いつまでここでいるかわからないが、このままでは汗でビチャビチャになってしまいそうだった。この汗の原因はこの部屋に飾られている者たちのせいだろうとは思ったが、ちょっとでも頭を冷やしたかったのでこれでいい。
真城さんはエアコンのリモコンを手にとって、今年初めてのエアコンを起動させた。ピッピッピッと音が聞こえる。暖房から冷房に変えているようだ。ピッピッピッまた音がすると思ったら、ピピピピピと連打する音が聞こえていた。そして、その音が止む。真城さんの親指で押していたリモコンのボタンはまだ動いていたが限界を迎えたのか音が鳴らなくなった。そのあとエアコンから凄まじい冷気が流れて僕に直撃した。さむっ!! 
「ま、真城さん! り、リモコンかして」
真城さんは戸惑いながらリモコンを僕に渡した。僕は受け取ったリモコンを見た。そこには案の定温度16度と設定されていた。それがこのエアコンの限界なのだろう。
「真城さん下げすぎ! どうしてこんなに下げちゃうの」
「だって、花園さんが暑そうだったから…」
僕のことを考えてしてくれるなら、汗のかいた状態の僕にこの冷気を当てちゃうと風邪ひいちゃうよ。
僕は、24度に戻して、リモコンを返した。
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