「バカな男子高校生が女子校に入学しました！」

第１０８話 転校生

｢真城くん…真城くん…｣
僕を呼ぶ声がする。
｢ん…あと５分…｣
｢あと５分も待ったら終わっちゃうんだけど？｣
ん、終わる？ 何が？
｢だから、起きてくれると助かるんだけど…｣
と声がするので、仕方ない起きてやるか…
｢んー｣
僕は体を起こして眠たい目を開ける。
そしてそこには、困った顔をした伊藤先生が立っていた。
｢どうしたんですか先生？｣
｢どうしたって見ればわかるでしょ｣
見ればわかる？
僕は周りを見渡す。そこは教室で、みんなが席について僕の方を見ていた。
なんだこの状況は…
僕の視界にミサキが見えた。クスクスッと笑っていた。
僕はそれを確認するとまた先生の方に視線を戻した。
｢今は授業中？｣
｢いや、HR中です｣
朝のHR中だったらしいな。
｢ごめんなさい、気にせず進めてください｣
｢わかりました。では気にせず進めます｣
てか、いつもだったら起こしたりしないだろう。どうして今日だけわざわざ起こしたりしたんだろう？
僕は後ろを向いて真城さんと目が合った。
｢ねぇ、今日今から何かあるの？｣
｢え、えっと…て、て…｣
｢て？ 何？｣
｢て、転校生が来るらしの｣
｢へー、転校生？ ｣
こんな時期に？
まだ６月だぞ？不思議だこんな時期に転校生なんて。もしかして、超能力者か？！
なんて訳ないよな～

｢じゃあ、転校生を紹介するよ｣
｢じゃあ入ってきて～｣
先生の声は廊下で待っているだろう転校生に届いたようで、ガラガラと教室のドアが開けられた。その子は黒髪ロングで背中まである長い髪。身長も高い。170cmはあると思う。
そして彼女は黒板の前に立ち、そして僕達に向かって自己紹介をはじめた。
「堀田秋です｣
と名前を名乗った。そして
｢宜しくお願いします｣
と頭を下げた。それだけ？とクラスのみんなが同じように転校生のことを見ていた。
でも、僕だけが違和感を覚えていた。
それもそのはずはじめて見る転校生のことを知っているような気がしたからだ。どこで知り合ったんだろう。そんなことを思いながら転校生の聞き覚えのある名前を思い出していた。