「バカな男子高校生が女子校に入学しました！」

第１１２話 転校生５

「はぁ、帰るか」
放課後を迎えた後少し休憩してから帰ることにした。
妹たちに会いに行くか。そう思い腰を上げた。

「一緒に帰らない？」
クラスの中でそんな声が聞こえてきた。クラスの女子が転校生に一緒に帰ろうと声をかけ誘っているのだ。
「ごめん」
転校生は誘われたのを断った。誘った女の子がびっくりしたような顔をする。それもそのはずだ。断られるとは思っていなかっただろう。朝から転校生に話しかけていた子ならなおさらだ。
「ど、どうしてなの？」
その声は少し震えていた。怒っているのかとも思ったが、そうではなくショックを受けている様子だった。
「実は、一緒に帰る人いるから…」
転校生はそういうと席を立ち上がった。
「さよなら」
と転校生は女の子たちに別れの挨拶をして教室を出て行った。
その様子を見守っていた僕は、転校生が帰った後、誘った女の子の方を見てたらその子たちに「何見てるの！」と怒鳴られたので、鞄を手に持った。
僕は、その後残った女の子たちを見るのが怖くなって静かに教室を出て行った。

校門までくると転校生が門のところで待っていた。
まだ相手が来ていないらしい。
僕は転校生の横を通り過ぎようとすると、突然転校生が僕に話しかけてきた。
「お、おい！　何スルーしてんだ！」
それはさっきまでとは違ったまるで男のような喋り方だった。
それもそのはずだ。だって彼女は…
「やっぱり秋か」
僕は確信がなかったがこの喋り方でわかった。
こいつは俺の知っている堀田秋だということに。
「わかってたんならスルーするなよ！　悲しいだろ」
悲しくもないのによく言うぜ！
「そんなことは知らん！　というより一緒に帰る奴がいたんじゃないのか？」
と問いかけると秋は僕の方を指差した。
「あぁ、待ってたぜ」
やっぱり僕だったのか…
はぁ、と僕はため息をついた。
「それでどうしてこの学校にお前が転校してきたんだ？」
呆れながら秋に聞く。正直不思議で仕方なかった。どうして秋がこの学校に転校してきて僕と同じクラスになったのか。なぜなら堀田秋は僕の友達で、男なのだから…
しかし、期待した答えは返ってこなかった。
秋は首をかしげながら答えた。
「さぁ～」
とこの一言だけを。
さぁ～じゃないだろ。
「おい、どういうことなんだ！　説明しろよ」
と僕は真面目に聞いて問い詰めると秋は道を指して「帰ろうぜ」と言ったので仕方なしに帰りながら話を聞くことにした。