「バカな男子高校生が女子校に入学しました!」

晴樹

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第119話 堀田秋3

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今さっきミサキの魔の手から僕を救ってくれた真城さんが口を開いた。
「ありがとうミサキちゃん、変わってくれて」
それは僕に向けられたものではなくてミサキに向けられたものだった。
待てよ…変わってくれてっておかしくないか?
真城さんは僕を助けてくれたのではなかったか。
「仕方ねぇだろ。だってみゆきがあんな顔してるから…な?」
「あんな顔? してた?」
「してた」
楽しそうに話す2人は僕をかやの外に、まだ僕が理解出来ていない会話は進んでいく。
これは…どういう事なんだ?
それは考えるまでもなかった。
「さて、みくり…」
あ、ミサキが僕のことを初めてみくりって名前で呼んでくれた! 
でも今は喜んでいる場合ではない。
「…頑張れ」
「…へぇ?」
ミサキは僕に向かってガッツポーズをしているのが見える。さっきまで怒ってたヤツとは思えない…
ガシッ!
うわ、な、なんだ!?
僕の顔を掴まれる。それも、ものすごい力でだ。
「あの…真城さん? 離してくれるかな?!」
そう、僕の顔を左右両方の手で掴んでいたのは真城さんだった。この状況はちょうど2、3分前にも味わった不自由さだった。と言うかどんどん真城さんの顔が近づいてくる。さっきと状況が変わっていない!
「ま、真城さん? き、聞いてるかな?」
僕は恐る恐る問いかけるが、真城さんから返答は戻ってこない。
「聞こえてねぇんじゃねえか?」
代わりにミサキが答えてくれたが、それよりも助けて欲しかった。
それにこれじゃあ、ミサキと真城さんが入れ替わっただけで状況は全く変わってないじゃないか!
なら、どうすればいい。このままミサキに助けを求めてもまた2人が代わるだけで、僕が助かるわけじゃないだろう…
僕が考えているこの間にも真城さんの動きは止まらず、僕に近づいている。もう時間がない。仕方ない、ここは力ずくでいく。
そう決心した僕は、近づいてくる真城さんの顔をじっと見てタイミングを狙う。
どんどん近づく顔を見ていると恥ずかしくなってきて、心臓の鼓動が早くなっていく。こんな近くに同い年の女の子の顔があるんだと思うだけで、思春期の男には刺激が強い。目の前の真城さんは目をつむり始めた。まるでキスをするかのような顔になっていく。かわいい。そう思ってしまった。しかし、今は真城さんがキス顏をして迫ってきていてもキスをするわけにはいかない。なんたって僕は男だから! 問題を犯して男だとバレれば即退学になって、僕のこの先の人生お先真っ暗になってしまうだろう。
「真城さん、ごめん」
僕は今から真城さんに行うことを先に謝っておく。
そして、深呼吸を行う。
真城さんに言ったことは届いていないかもしれない。でも、ミサキには聞こえているから、あとで証言してもらうことも可能だろう。すまん、真城さん…痛いと思うが我慢してくれ。
僕は近づいてくる真城さんのおでこに目がけて、僕のおでこを思いっきりぶつけた。そうこれぞ、男の頭突きだ!
ゴンッ!
鈍い音がなった。考えるまでもなく僕のおでこは痛かった。でも、その頭突きのおかげで真城さんから解放された。真城さんは突然の衝撃に痛みを覚え、僕の顔をつかんでいた手でおでこを抑えがらその場に膝をついていた。僕の完全勝利だ!僕はおでこを赤く染め、目からちょっと涙を流しながら、膝をつく真城さんを見下ろしていた。
「痛い…」
真城さんはおでこを抑えながら僕のことを下から見上げた。その目には僕と同じく涙が出ていた。ごめん、やっぱり痛かったんだよね。でも、僕も痛かった…
「ごめん真城さんこれしか方法が思いつかなかったんだ…」
僕は頭を下げて謝った。女の子に頭突きをしたんだから当たり前だ。
そんな僕を真城さんは唇を噛み締めながら、悔しそうな顔をしていた。どうしてそんな顔をしているんだ? それが不思議だった。
その光景を見ていたミサキは予想外の出来事が起きたかのような驚きをしていたが、その後すぐに笑い出した。
「いや~、おもしろん見たぜ! まさか頭突きをするとは思いもよらなかったからな」
そういうとミサキは真城さんに近づいてこう言った。
「ドンマイ」
そう言ってまた笑い出した。もうどういうことかさっぱり理解できなかった。
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