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第120話 堀田秋4
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僕は昼休憩を終え2人よりも先に教室の方に戻ってきていた。戻ってくるなり自分の席に着いて時計を見る。
授業が始まるまでまだ10分残っていた。僕は残り時間を確認してから自分の机にうつ伏せとなり寝むる体制に入る。
どうも昼休みでどっと疲れてしまったので、少しでも体力を回復させておきたかったのだ。僕は目を閉じ、昼休みの出来事を考えないようにして意識の奥底の暗闇にへと落としていった…
トントン。
眠っていた僕の肩を誰かが叩いた。僕は急に眠りから覚まされたことで、まだ半分ぐらい意識は眠ったままだ。
僕は上半身を持ち上げた。
目で周りを見渡すと、すぐ横に僕の肩を叩いたであろう堀田秋の姿があった。
秋は僕の隣の席に座っていた。まるでそこが自分の席のように座っている。
「何か用?」
眠たい目をこすりながら秋に問いかけた。
「いや、寝てたから起こしてやったのさ」
さすが僕よりイケメンなだけある。僕が女の子だったなら、そんなイケメンボイスで起こされたら、キュンキュンしていただろう。
しかし、残念ながら僕は男だ。
秋の発言には苛立ちしか覚えない。
「それだけか?」
苛立っているのを悟られないように話した。
しかし、秋は
「それだけ~」と返してきた。
殴っていいか。
寝ていた僕を理由なしに起こしただけでなく、その態度にも腹が立った。なんでこいつイケメンな男のくせに女子高生の格好してんだ…
…僕も、か…
僕は寝ぼけた頭で秋について考えていたが、思考が追いつかない。
「昼どうしてたんだ?」
苛立ちを忘れるために無理やり話題を作った。僕がやっと考えた結果、まともなことはこれしか思い浮かばなかった。
「昼? あぁ、昼な…」
なぜか言いづらそうだ。
「聞いちゃまずかったか?」
もしかしたら便所で飯をしていたかもしれない。聞かない方が良かったかもしれん。
と思ったがもう聞いてしまったものだから引き返せない。
でも秋がどんなにイケメンで便所飯してても僕は真剣に聞いてやるからな。
少しの間の後、秋が口を開いた。
「…今みくりが思ってるようなことないからな。心配するな」
「そうなの?」
お前まで僕の心を読んでくるのか。
と最近の悩みを思いながらも、便所飯をしていないようで安心した。
「なんか安心した顔してるな。そんな心配だったのか?」
「いや…」
僕はただ友達が1人で便所飯をしていたのかと心配してただけだ。
でも、秋まで僕の心の声を勝手に読んでくることは困った。僕の心の声が外に出ていないか、そちらの方が今は心配だ。
「心配なんてしてないけど、ならどこにいたんだ? 教室か?」
話を続ける。
「いや、教室はなんかいづらいかったから…」
そういえばクラスの女子からは敵視されていたな…
「ならどこにいたんだ?」
教室でもトイレでもないとするとどこだ?
「屋上に出る扉の前にある踊り場」
秋はちょっと嬉しそうに言った。
踊り場か…
僕も雨の日はそこでよく昼飯を食っていたのでよく知っていた。
「でも、どうして秋がそこで?」
「先生に誘われたんだ」
「先生って、伊藤先生か?」
「そう」
あの先生、今日屋上に姿を表さないと思ったらそんなところにいたのか。
だったら屋上に来ればいいのにと思った。
「なら、屋上に来ればよっかったのに」
あっさりと思ったことを口にしてしまった。
「そうしたかったんだがな…」
秋はなぜか僕から視線を外した。その行動の意味がわからなかった。
「どうしてしなかったの?」
と僕が聞くと、秋の視線が戻ってきた。
そして、ニヤリとして答えた。
「それは…みくりが女子とキスしようとしてたからだ!」
その秋の発言を聞いて思い出してしまう、あの出来事を…
「ななな、何言ってんだ! ききき、キスなんてしてないぞ」
動揺してしまう。僕はキスなんてしてないがあの出来事は自分で思い返してみてもよくわからなかった。
それよりも急に僕が自然と大きな声を出したので、秋は驚いていた。
「お、おい、そんな急に大きな声を出すな」
秋はボリューム小さめの声で僕に言った。
秋の言葉で僕は、ハッとしてあたりを見渡した。
すると女子たちは「またあの2人ですか」と僕まで秋と同じで問題児扱いをされていた。
そして「そういえばあのさっき転校生…」とひそひそ話を女子たちは始めた。
さっきという言葉が聞こえてきた。
なんのことを言ってるんだ?
気になった僕は話題を変えるためにも聞いてみた。
「なぁ、秋。お前また問題起こしたのか」
この問題というのは学校とかで悪いことをしたという意味ではなく、ただ女子たちの間で噂になるようなことをしでかしたのかという意味だ。
「問題…わからないな。でも、そういえばさっき先生と仲良く話しながら教室に帰ってきてたらさ、急に女子たちが俺の方を見てひそひそ話始めたんだよな…なんだったんだろ」
秋はわかっていない様子だが、明らかに女子たちがひそひそ話をしているのはそれのことだろう。しかし先生も先生だ。多分、秋のこと知ってるんだろうけど気にせず男に接するみたいにくるから、側から見たら勘違いされてしまう。
「お前も大変だよな…」
ポンと秋の方に手を置いた。そして、グッジョブと親指を立ててやる。
「急にどうした?」
秋は僕のしている事の意味が理解出来ていないようだった。
こういう時は心を読んでくれないので困る…
「なんでもない。もうチャイムなるぞ」
そう言ってチャイムが鳴る2分までだが秋を席に返してやる。まだ喋り足りなさそうだったが、何も言わず素直に席に帰って行ってくれて助かった。まぁ、秋のせいで全然眠れなかったわけだが…
すると、秋が去った席の住人が戻ってきて、僕にお辞儀をした。僕にはその意味がわからなかったが、こちらもお辞儀をして授業の準備を始めることにした。準備を終えると真城さんとミサキが教室に戻ってきた。僕が一足先に帰ってからもう8分が経っている。一体、2人はあの後何をしていたのか気になったが、その好奇心を心の奥にしまうことにした…
授業が始まるまでまだ10分残っていた。僕は残り時間を確認してから自分の机にうつ伏せとなり寝むる体制に入る。
どうも昼休みでどっと疲れてしまったので、少しでも体力を回復させておきたかったのだ。僕は目を閉じ、昼休みの出来事を考えないようにして意識の奥底の暗闇にへと落としていった…
トントン。
眠っていた僕の肩を誰かが叩いた。僕は急に眠りから覚まされたことで、まだ半分ぐらい意識は眠ったままだ。
僕は上半身を持ち上げた。
目で周りを見渡すと、すぐ横に僕の肩を叩いたであろう堀田秋の姿があった。
秋は僕の隣の席に座っていた。まるでそこが自分の席のように座っている。
「何か用?」
眠たい目をこすりながら秋に問いかけた。
「いや、寝てたから起こしてやったのさ」
さすが僕よりイケメンなだけある。僕が女の子だったなら、そんなイケメンボイスで起こされたら、キュンキュンしていただろう。
しかし、残念ながら僕は男だ。
秋の発言には苛立ちしか覚えない。
「それだけか?」
苛立っているのを悟られないように話した。
しかし、秋は
「それだけ~」と返してきた。
殴っていいか。
寝ていた僕を理由なしに起こしただけでなく、その態度にも腹が立った。なんでこいつイケメンな男のくせに女子高生の格好してんだ…
…僕も、か…
僕は寝ぼけた頭で秋について考えていたが、思考が追いつかない。
「昼どうしてたんだ?」
苛立ちを忘れるために無理やり話題を作った。僕がやっと考えた結果、まともなことはこれしか思い浮かばなかった。
「昼? あぁ、昼な…」
なぜか言いづらそうだ。
「聞いちゃまずかったか?」
もしかしたら便所で飯をしていたかもしれない。聞かない方が良かったかもしれん。
と思ったがもう聞いてしまったものだから引き返せない。
でも秋がどんなにイケメンで便所飯してても僕は真剣に聞いてやるからな。
少しの間の後、秋が口を開いた。
「…今みくりが思ってるようなことないからな。心配するな」
「そうなの?」
お前まで僕の心を読んでくるのか。
と最近の悩みを思いながらも、便所飯をしていないようで安心した。
「なんか安心した顔してるな。そんな心配だったのか?」
「いや…」
僕はただ友達が1人で便所飯をしていたのかと心配してただけだ。
でも、秋まで僕の心の声を勝手に読んでくることは困った。僕の心の声が外に出ていないか、そちらの方が今は心配だ。
「心配なんてしてないけど、ならどこにいたんだ? 教室か?」
話を続ける。
「いや、教室はなんかいづらいかったから…」
そういえばクラスの女子からは敵視されていたな…
「ならどこにいたんだ?」
教室でもトイレでもないとするとどこだ?
「屋上に出る扉の前にある踊り場」
秋はちょっと嬉しそうに言った。
踊り場か…
僕も雨の日はそこでよく昼飯を食っていたのでよく知っていた。
「でも、どうして秋がそこで?」
「先生に誘われたんだ」
「先生って、伊藤先生か?」
「そう」
あの先生、今日屋上に姿を表さないと思ったらそんなところにいたのか。
だったら屋上に来ればいいのにと思った。
「なら、屋上に来ればよっかったのに」
あっさりと思ったことを口にしてしまった。
「そうしたかったんだがな…」
秋はなぜか僕から視線を外した。その行動の意味がわからなかった。
「どうしてしなかったの?」
と僕が聞くと、秋の視線が戻ってきた。
そして、ニヤリとして答えた。
「それは…みくりが女子とキスしようとしてたからだ!」
その秋の発言を聞いて思い出してしまう、あの出来事を…
「ななな、何言ってんだ! ききき、キスなんてしてないぞ」
動揺してしまう。僕はキスなんてしてないがあの出来事は自分で思い返してみてもよくわからなかった。
それよりも急に僕が自然と大きな声を出したので、秋は驚いていた。
「お、おい、そんな急に大きな声を出すな」
秋はボリューム小さめの声で僕に言った。
秋の言葉で僕は、ハッとしてあたりを見渡した。
すると女子たちは「またあの2人ですか」と僕まで秋と同じで問題児扱いをされていた。
そして「そういえばあのさっき転校生…」とひそひそ話を女子たちは始めた。
さっきという言葉が聞こえてきた。
なんのことを言ってるんだ?
気になった僕は話題を変えるためにも聞いてみた。
「なぁ、秋。お前また問題起こしたのか」
この問題というのは学校とかで悪いことをしたという意味ではなく、ただ女子たちの間で噂になるようなことをしでかしたのかという意味だ。
「問題…わからないな。でも、そういえばさっき先生と仲良く話しながら教室に帰ってきてたらさ、急に女子たちが俺の方を見てひそひそ話始めたんだよな…なんだったんだろ」
秋はわかっていない様子だが、明らかに女子たちがひそひそ話をしているのはそれのことだろう。しかし先生も先生だ。多分、秋のこと知ってるんだろうけど気にせず男に接するみたいにくるから、側から見たら勘違いされてしまう。
「お前も大変だよな…」
ポンと秋の方に手を置いた。そして、グッジョブと親指を立ててやる。
「急にどうした?」
秋は僕のしている事の意味が理解出来ていないようだった。
こういう時は心を読んでくれないので困る…
「なんでもない。もうチャイムなるぞ」
そう言ってチャイムが鳴る2分までだが秋を席に返してやる。まだ喋り足りなさそうだったが、何も言わず素直に席に帰って行ってくれて助かった。まぁ、秋のせいで全然眠れなかったわけだが…
すると、秋が去った席の住人が戻ってきて、僕にお辞儀をした。僕にはその意味がわからなかったが、こちらもお辞儀をして授業の準備を始めることにした。準備を終えると真城さんとミサキが教室に戻ってきた。僕が一足先に帰ってからもう8分が経っている。一体、2人はあの後何をしていたのか気になったが、その好奇心を心の奥にしまうことにした…
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