「バカな男子高校生が女子校に入学しました!」

晴樹

文字の大きさ
130 / 155

第130話 追試を乗り越えろ4

しおりを挟む
「ハイお茶」
そう言って妹がリビングにいる人数と同じだけの麦茶を運んできた。
「あ、ありがとうございます」
丁寧な口調で妹から麦茶を受け取った真城さん。気のせいか、少しキョドってるように見える。なぜだろう…
真城さんに麦茶を配った後、ミサキ、秋、そして僕に順番に配った。だが、妹は自分にだけオレンジジュースをコップについで持ってきた。しかしそれについては特に触れないでおこう。
僕はまた勉強の方に気持ちを向けた。しかし残念なことに真城さんの集中力が途切れてしまっていた。
「ま、真城さん?」
「あ、え? 何」
「いや…休憩しようか?」
「えっと…大丈夫。続きしようか」
そう言ってまた教科書の方に視線を落とした。
「……」
ダメだ。分からない。
再開して早速詰まってしまった。
3分ほど考えたが全く解けなかったので、ここは真城さんに助けを乞う。
「真城さんここって…」
と真城さんにここの問題の解き方を聞こうとした時、真城さんは心ここに在らずな状態となっていた。そのせいで僕の声が届いていない様だった。

僕は思った。
真城さんは一体どこを見ているんだ…と。

真城さんの視線の先を辿るとちょうど僕の隣に視線がいっていた。僕の横にいるのは…

…秋…

ではなくて、秋と僕の間に居座ってオレンジジュースをストローで飲んでいる妹だった。
どうやら妹のことが気になっている様子だ。でもここで妹と話し始めたりすると勉強所ではなくなる可能性が高い。だから、ここは真城さんには我慢してもらうしかない。それに今は秋がいるから妹と接するのはちょっと難しいしな。
と妹の方に視線を移す。
僕の視界に入る妹はテレビを見ていた。そして、たまにテレビではなく、隣に秋の方に視線がいっていた。

一体秋のどこがいいのやら…

まぁ、秋はちょっとイケメンではあるが、でもそれだけだ。それ以上いい所なんて…思い浮かばない。

僕は妹に言ってやりたい。
そんな男はやめときなさい!そんな男よりもお兄ちゃんの方がいいぞ! と…

でも、そんなこと言ったら嫌われるから言わないけど、妹にはもう少し好きになる相手を考えて欲しいと思う。
もしも、秋と妹が結婚なんてことになったら、秋が弟になるってことだろ。考えるだけで嫌になる。と言うより、そんな弟はいらない。もしできたら燃えるゴミの日に出したくなる。それほどいらないのだ。いっそ、そうなる前にもうゴミの日に出してしまおうか。なぁ、秋。

「ねぇ……」
「ふぇ」
突然話しかけてきたのは、真城さんだった。いつの間にか真城さんが向こうから戻ってきていた。逆に僕の方がどこかに行ってしまっていたようだ。
「ねぇ、大丈夫? 怖い顔してたよ」
「大丈夫、大丈夫! それよりもここ教えて欲しいんだけど」
「うん、ここはね」
とまた勉強を再開した。
どうやら、おかしなことを考えてしまっていたようだ。真城さんのおかげで未遂で済んでよかった。
これは真城さんに感謝しないと。
そんなことを考えながら、勉強を教えてもらっていると、今日の勉強会は終わりを告げた…
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...