「バカな男子高校生が女子校に入学しました！」

第１４３話 廃墟アパートの住人

｢あ、あの～ですね…｣
何か引っかかる。このまま帰るのは違うと僕自身が訴えている。
沈黙が続く中、部屋の中からまたしても女の子の声が聞こえてきた。
｢まだ～、早くゲームの続きしようよ～｣
ん？ やっぱり聞き覚えがある気がする。でも、こんな喋り方じゃ無かったような…
｢そろそろ帰ってもらえますか？｣
｢ちょっと待った！｣
これは賭けだ。間違っていたら謝って帰ろう。
僕は目を閉じて、そして勢いよく開いた。覚悟を決めた。
僕は部屋の中にいるであろう女の子に向かって喋る。
｢佐奈か？｣
しかし、返事が返っては来なかった。どうやら違ったらしい。僕は帰ろうと気持ちを固める。
その時、部屋の中から音が聞こえてきた。中の女の子が動いた音だろうか？
すると、
｢誰？｣
女の子が部屋の中の玄関から見える場所に姿を現した。
その姿は…やっぱり佐奈だった。
｢よ！｣
手を挙げて挨拶をする。しかし…
｢誰？｣
分かってくれていなかった。
てっきりわかってくれていると思って手を挙げたりしたのに、恥ずかしいことをしただけだった。
と言うよりもどうして分からないんだ？
｢僕だよ。千穂の兄だよ。会ったよ、な？｣
すると、やっと分かってくれたようで、笑顔を見せてくれた。すぐに嫌な顔になったのは気にしないようにしよう…多分アレが普通の顔なのだろう。うん、そう思うことにしよう。
｢上がってく？｣
｢いや、今日はもう帰るよ｣
｢そう｣
｢じゃ、邪魔したな｣
｢うん｣

部屋のドアが閉まる。
さて、帰るか。
僕は振り返り帰ったら、真城さんの顔が目の前にあった。その顔は何かを聞きたげだった。なので、先に僕は説明しておくことにした。
｢さっきの女の子知り合いなんだ！｣
｢そうなの｣
｢そうそう、まさかあんな所に住んでるのは知らなかったんだけどね｣
｢そうなんだ｣
僕たちは話をしながら、アパートを後にした。そして、すぐ近くには真城さんの家がある。もう、お別れの時間だ。
｢ちょっといいかな…｣
｢ん？ 何｣
｢ちょっと近くに公園があるから、そこで話したいことがあるんだけど｣
｢…分かった｣
近くの公園向かうことになった。
いったい何だろう。もしかして告白とか…ないな。
少しすると公園に着いた。
もう外も暗いので、公園には誰もいなかった。それは不気味そのものだった…