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第153話 兄として
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「はぁ……」
母がため息を漏らす。
先ほどまでとはうって変わって、まるでお通夜のように暗い。
どうやらさっきの妹の件をだいぶ深刻に受け止めてしまっているようだ。
「みくり……」
突然話しかけられて驚く。
「な、なに?」
僕は床に散らばった僕の服(女性用)をかき集めていたところだった。
「お願いがあるの……」
「お願い?」
「そう」
先ほどの写真を撮らせてあげるというお願いを聞いてあげたばかりなのにまたお願いかよ!
と思ったのだが、決して口にはしない。
たぶんここで口にしたら、ここにある服を回収されるに違いない。今日くらいは……いや、この服たちを自分の部屋に持っていくまでは母の言うことを聞いておいたほうがよさそうだ。
「みくり、千穂をどうにかして元気にしてきてほしいの」
「は、はぁ……え、僕に励まして来いということ? 無理無理無理! 僕には無理だよ」
「なに言ってるの? みくりはお姉ちゃんでしょ!」
お兄ちゃんな!
しかし、このまま千穂が元気になってくれなければ明日に差し支える。
仕方ないここは兄として任務を遂行するしかないか。
「わかったよ、母さん。でも、できる限りはやってみるけど無理だったらごめんな」
「いいのよ、頼りにしてるから。頼んだわよ」
「了解」
僕は床に散らばった服を回収し終わると、机の上の服も手に取り二階に向かった。
これで失敗しても必要なものをすでにいただいているので問題なくなる。
僕は、妹の部屋を訪ねる前に自分の部屋に向かった。
その理由は手に持った大量の服を置きに来たというのと、そろそろ女装をやめたかったからだ。
兄としての僕の力で任務を遂行しないと意味がない。
女装姿のまま行っても、兄としての威厳ではなくなってしまう。
さて、と。
着替え終えた僕は妹がいる妹の部屋に向かうのだった……
母がため息を漏らす。
先ほどまでとはうって変わって、まるでお通夜のように暗い。
どうやらさっきの妹の件をだいぶ深刻に受け止めてしまっているようだ。
「みくり……」
突然話しかけられて驚く。
「な、なに?」
僕は床に散らばった僕の服(女性用)をかき集めていたところだった。
「お願いがあるの……」
「お願い?」
「そう」
先ほどの写真を撮らせてあげるというお願いを聞いてあげたばかりなのにまたお願いかよ!
と思ったのだが、決して口にはしない。
たぶんここで口にしたら、ここにある服を回収されるに違いない。今日くらいは……いや、この服たちを自分の部屋に持っていくまでは母の言うことを聞いておいたほうがよさそうだ。
「みくり、千穂をどうにかして元気にしてきてほしいの」
「は、はぁ……え、僕に励まして来いということ? 無理無理無理! 僕には無理だよ」
「なに言ってるの? みくりはお姉ちゃんでしょ!」
お兄ちゃんな!
しかし、このまま千穂が元気になってくれなければ明日に差し支える。
仕方ないここは兄として任務を遂行するしかないか。
「わかったよ、母さん。でも、できる限りはやってみるけど無理だったらごめんな」
「いいのよ、頼りにしてるから。頼んだわよ」
「了解」
僕は床に散らばった服を回収し終わると、机の上の服も手に取り二階に向かった。
これで失敗しても必要なものをすでにいただいているので問題なくなる。
僕は、妹の部屋を訪ねる前に自分の部屋に向かった。
その理由は手に持った大量の服を置きに来たというのと、そろそろ女装をやめたかったからだ。
兄としての僕の力で任務を遂行しないと意味がない。
女装姿のまま行っても、兄としての威厳ではなくなってしまう。
さて、と。
着替え終えた僕は妹がいる妹の部屋に向かうのだった……
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